10 / 39
悪役令嬢が去ったあと
元同級生は本当に困っているそうです
しおりを挟む
専攻科に関わらず、教授室というのは高等部のおなじ棟にすべて並んでいる。
「…それから、草木学と薬学史です。記憶の件は先生がたには私からお知らせしておきますが、先ずはどれくらい記憶しているかテストをしたいと思いまして」
事務局の若い職員は教授棟の端にある談話室で、教科書を広げて話し始めた。
あら、と私はそれらの教科書を広げた。残念だけれど、私はけして才知たけたほうではないから、今渡されたテキストを読んだだけで満点というわけにはいかない。
「全く覚えてなければ、1年生からやり直しかしら?」
不安に思って呟くと、いいえ、と首をふった。
「本格的な薬学は4年次からでしたので、4年生から…マリア嬢は5年に上がったところですので、一年留年というかたちになってしまいますね」
愉快そうに言われて、これは大変なことになったわ、と唇を噛んだ。マリアの家の懐事情からいって、私のせいで留年させるのはまずい。
「《力を貸そうか?》」
いつの間に肩にとまったのか、ミルラが耳元で囁いた。
「《いいえ、カンニングなんてしたら、それこそルディ殿下の言ったことが本当になっちゃうもの》」
私は口をできるだけ動かさずに囁きかえした。
「《見かけによらず堅物だな》」
今の見かけはマリアなんだけど、と思うけれどチラッと視線を向けるくらいしかできない。
「マリア嬢、何か問題ですか?」
反応が薄い私に苛立ったのか、事務局員の声がなんとなく固い音になって談話室に響いて、私はいいえと首をふった。
「あ、でも、教科書に目を通す時間は頂けますか?」
その問いかけに事務局員はじろりと私を睨んだ。
「申し訳ありません。令嬢の記憶がどれ程あるのかを確認したいので、それはできかねます。テストは明日いたしますので、明日は通常の登校時間においでいただけますか?」
え?と私は事務局員を見返した。一晩もらえるの?
「一晩?」
レイモンド様もやはり甘すぎると思ったのか、眉をしかめた。そうよね、一晩もあったら教科書なんて丸暗記できてしまうもの。レイモンド様はそれは、と口をひらいた。
「妹は病み上がりなのですよ?8教科を1日でなんて、とても…」
ええ?魔法薬学ってそんなに難しいの?とおもうものの、事務局員は首をふる。
「それができないなら、4年生からでお願いすることになります」
ハァ、とレイモンド様は頭をかかえる。さっきは断ったけど、やっぱりミルラに力を借りないとだめかしら。
「いいわお兄様。私、できるだけやってみます」
まずは全力をつくしてみて、だめならその時よ!
「マリア、無理はするなよ」
レイモンド様は気遣ってくれるけれど、事務局員は冷たい微笑みを浮かべていた。…いやな感じだわ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
談話室を出てから、どれくらい覚えているかわからないからとレイモンド様が建物を案内してくれる。
「ここがカフェテラス。高等部のカフェテラスは久しぶりだな、なにか甘いものでも食べていこうか!」
懐かしいのか、ワクワクした様子のレイモンド様に連れられて、久しぶりにカフェテラスに足を踏み入れた。
貴族の子女が通うこの学園でも、カフェテラスは講堂とならんで豪華な建物だ。築年数はおよそ80年位らしいけれど、完璧にちかい管理のおかげでそんなに経ってるようにみえない。アーチ状になって並ぶ鉄色の、繊細な装飾のある柱。それに支えられたガラス製の高い天井。
置かれているテーブルには一つ一つに美しい生花が惜しげなく生けられ、席につくとすぐに給仕たちが寄ってきて注文を尋ねる。メニューがないのは、なんでも注文されれば作れるという矜持の表れだ。
「アフタヌーンティを1セット…あと、アイスクリームを二つ。一つはバニラ、一つは…そうだな…ブルーベリーのソルベで。バニラはあとから持ってきてくれるかい?」
結構お菓子を頼むのね。お義兄様は甘いものを全く食べなかったけれど、レイモンド様は甘いものも食べるんだわ、などと考えているうちにティセットと4段組のお菓子が届いた。
早速上段からお菓子を皿にとり、満面の笑みのレイモンド様についつられてわらってしまう。レイモンド様は本当に甘いものがお好きなのね。
小さめのスコーンに木苺のジャムと、クロテッドクリームをたっぷりのせて、ひとくちでそれを口におさめてしまう。指についたクリームをなめとる仕草 は、思いもよらないところで男っぽい姿を見てしまった気がして、ドキドキしてしまう(いけないわ、今の私はレイモンド様の妹なんだから)。
私がじっと見つめていたことに気がついたのか、ちょっと照れ笑いをみせたレイモンド様は、ブルーベリーソルベを私の前に置き、どうかな?と尋ねる。
「マリアが好きだったんだ。試してみてくれる?」
おそるおそる口にいれる。新鮮な果物の香りと、控えめな甘さがひんやりと口にひろがった。
「美味しい…です」
こんなに美味しいソルベは珍しいくらい。学園のカフェテラス、侮れないわね。
「よかった。気に入ってくれて」
レイモンド様は家令顔負けの手つきでお茶を淹れている。医学生のはずなのに、なんでもできるのね。
「あれ、レイモンドさんだ。あ、妹さんも…ごきげんよう」
後ろから来た男子生徒のひとりが、驚いたというように私たちに声をかけてきた。
「ふふ、ちょっと用事があってね。皆元気かい?」
ちょっと気恥ずかしそうにレイモンド様は応える。そういえばお義兄様とレイモンド様は生徒会にいらしたんだわ。お義兄様は二年先に卒業なさったけど、レイモンド様もきっと高等部卒業まで生徒会にいらしたのね…。
「レイモンドさん、聞いてもらえます?」
男子生徒はレイモンドにすすめられた席につき、話し始めた。
「政治経済専攻、失くなるらしいです」
えっ!と私はスプーンを取り落としそうになる。
「どうして?」
ふむ、と指先を交差してレイモンド様は男子生徒を見た。
「政治経済専攻の下級生が、殆ど来なくなってしまって…なんでも、今までは授業を分かりやすく教えてくれていたり、進路の相談にのってもらったりしていた“先生”が、いらっしゃらなくなったからだって。それに、上級生も外部の有名講師に連絡をとっていたツテがなくなって…ここの教授は自分の研究にしか興味がないし…その研究も、公爵家の寄付に頼ってた研究費用がなくなって、もう無理だろうってことでした」
レイモンド様は首をかしげた。
「その先生って、もしかして」
「アシュレイ嬢だったんだそうです。令嬢については俺たちも、全く誤解してました…なんで皆ルディ殿下達の言ったことを鵜呑みにしてたんだ?毎日罰当番みたいなことしてるから、よっぽどのアホかと思ってたんですよ
…ミュシャさんが毎日、アシュレイ嬢のそばにバケツ持ってきて立ってたし…そうとう酷い女だって。あれ、本当にただ立ってたらしいんです。アシュレイ嬢のあとをつけ回してたって、アシュレイ嬢のファンの下級生が行動を帳面につけてて。なら、早く言ってくれよ」
男子生徒は頭をかかえた。
「皆勉強の途中で放り出されるんです、辞めた下級生たちは大抵、別の専攻の編入試験を受けたみたいですが…卒業間近の俺たちはどうしたらいいか…」
困ったね、とレイモンド様も眉を下げる。
「家令や侍従を育てる王立の専門学校なら、編入試験はないけど、学園の大学部に進学するにはここと違って外部入学試験がある。頑張らないとねえ」
うう、と生徒はあたまをかかえてから、
「アシュレイ嬢、戻ってきてくれるといいねえ」
というのんびりしたレイモンド様のいいかたに、はい、と頷いてから他の生徒達のところへ戻っていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
なんだか疲れきった気分で帰りつき、キャルに着替えをさせてもらう。明日の試験にむけて教科書に目を通している私の周りを、ミルラがとびまわった。
「ハハハハハ、ザマをみたな!あいつら!な、スッキリしたろ?これでフィヨールトにいけるか?」
なんでそうなるのよ、と私は肩を落とす。
「どっちにせよマリアの体を借りてるんだから行けないわよ!そもそも彼女、どうしてるの?まさか死んだりしてないわよね?」
私が手を差し出すとミルラは私の掌の上へおさまった。
「大丈夫!そのうち目を覚ますよ。彼女はバロウズ…緑の精霊王のお気に入りだから、せいぜい喜ばしてやらないと!」
私はミルラをじっとみつめてみた。
「マリアは、私の体をどうすると思う?」
「しらねえよ、多分、隅々まで記録するんじゃないのかな、あと、自画像とか…彫像つくったり?」
怖い怖い怖い。傍目からみたときに頭のおかしな女になってしまうわ。なんとしてでも止めないと…
「ミルラ、マリアが目を覚ましたら教えてくれないかしら?」
ミルラはちょっと考えてから、おっけー、と両手で丸をつくってくれた。
「そんときにその体、貰えるかちゃんと訊くんだぜ?多分アシュレイならすぐくれると思うけどさ!」
「いや、それは駄目でしょ」
妖精ってやっぱりちょっと、どことなく変だわ。
「しかたねえなあ。勉強はおわったのか?」
くるりと弧をえがき、どこからか例の金粉の入った袋を取り出した。
「おわってる、けど、またそれ?」
じりじり、と片手を握りしめて近づいているミルラと、そろそろと逃げ出そうとするわたし。
「いいから、おとなしくいい夢をみろよ!」
そんな、といいかけた私はまた、金色の粉を頭から浴びてしまっていたのだった。
「…それから、草木学と薬学史です。記憶の件は先生がたには私からお知らせしておきますが、先ずはどれくらい記憶しているかテストをしたいと思いまして」
事務局の若い職員は教授棟の端にある談話室で、教科書を広げて話し始めた。
あら、と私はそれらの教科書を広げた。残念だけれど、私はけして才知たけたほうではないから、今渡されたテキストを読んだだけで満点というわけにはいかない。
「全く覚えてなければ、1年生からやり直しかしら?」
不安に思って呟くと、いいえ、と首をふった。
「本格的な薬学は4年次からでしたので、4年生から…マリア嬢は5年に上がったところですので、一年留年というかたちになってしまいますね」
愉快そうに言われて、これは大変なことになったわ、と唇を噛んだ。マリアの家の懐事情からいって、私のせいで留年させるのはまずい。
「《力を貸そうか?》」
いつの間に肩にとまったのか、ミルラが耳元で囁いた。
「《いいえ、カンニングなんてしたら、それこそルディ殿下の言ったことが本当になっちゃうもの》」
私は口をできるだけ動かさずに囁きかえした。
「《見かけによらず堅物だな》」
今の見かけはマリアなんだけど、と思うけれどチラッと視線を向けるくらいしかできない。
「マリア嬢、何か問題ですか?」
反応が薄い私に苛立ったのか、事務局員の声がなんとなく固い音になって談話室に響いて、私はいいえと首をふった。
「あ、でも、教科書に目を通す時間は頂けますか?」
その問いかけに事務局員はじろりと私を睨んだ。
「申し訳ありません。令嬢の記憶がどれ程あるのかを確認したいので、それはできかねます。テストは明日いたしますので、明日は通常の登校時間においでいただけますか?」
え?と私は事務局員を見返した。一晩もらえるの?
「一晩?」
レイモンド様もやはり甘すぎると思ったのか、眉をしかめた。そうよね、一晩もあったら教科書なんて丸暗記できてしまうもの。レイモンド様はそれは、と口をひらいた。
「妹は病み上がりなのですよ?8教科を1日でなんて、とても…」
ええ?魔法薬学ってそんなに難しいの?とおもうものの、事務局員は首をふる。
「それができないなら、4年生からでお願いすることになります」
ハァ、とレイモンド様は頭をかかえる。さっきは断ったけど、やっぱりミルラに力を借りないとだめかしら。
「いいわお兄様。私、できるだけやってみます」
まずは全力をつくしてみて、だめならその時よ!
「マリア、無理はするなよ」
レイモンド様は気遣ってくれるけれど、事務局員は冷たい微笑みを浮かべていた。…いやな感じだわ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
談話室を出てから、どれくらい覚えているかわからないからとレイモンド様が建物を案内してくれる。
「ここがカフェテラス。高等部のカフェテラスは久しぶりだな、なにか甘いものでも食べていこうか!」
懐かしいのか、ワクワクした様子のレイモンド様に連れられて、久しぶりにカフェテラスに足を踏み入れた。
貴族の子女が通うこの学園でも、カフェテラスは講堂とならんで豪華な建物だ。築年数はおよそ80年位らしいけれど、完璧にちかい管理のおかげでそんなに経ってるようにみえない。アーチ状になって並ぶ鉄色の、繊細な装飾のある柱。それに支えられたガラス製の高い天井。
置かれているテーブルには一つ一つに美しい生花が惜しげなく生けられ、席につくとすぐに給仕たちが寄ってきて注文を尋ねる。メニューがないのは、なんでも注文されれば作れるという矜持の表れだ。
「アフタヌーンティを1セット…あと、アイスクリームを二つ。一つはバニラ、一つは…そうだな…ブルーベリーのソルベで。バニラはあとから持ってきてくれるかい?」
結構お菓子を頼むのね。お義兄様は甘いものを全く食べなかったけれど、レイモンド様は甘いものも食べるんだわ、などと考えているうちにティセットと4段組のお菓子が届いた。
早速上段からお菓子を皿にとり、満面の笑みのレイモンド様についつられてわらってしまう。レイモンド様は本当に甘いものがお好きなのね。
小さめのスコーンに木苺のジャムと、クロテッドクリームをたっぷりのせて、ひとくちでそれを口におさめてしまう。指についたクリームをなめとる仕草 は、思いもよらないところで男っぽい姿を見てしまった気がして、ドキドキしてしまう(いけないわ、今の私はレイモンド様の妹なんだから)。
私がじっと見つめていたことに気がついたのか、ちょっと照れ笑いをみせたレイモンド様は、ブルーベリーソルベを私の前に置き、どうかな?と尋ねる。
「マリアが好きだったんだ。試してみてくれる?」
おそるおそる口にいれる。新鮮な果物の香りと、控えめな甘さがひんやりと口にひろがった。
「美味しい…です」
こんなに美味しいソルベは珍しいくらい。学園のカフェテラス、侮れないわね。
「よかった。気に入ってくれて」
レイモンド様は家令顔負けの手つきでお茶を淹れている。医学生のはずなのに、なんでもできるのね。
「あれ、レイモンドさんだ。あ、妹さんも…ごきげんよう」
後ろから来た男子生徒のひとりが、驚いたというように私たちに声をかけてきた。
「ふふ、ちょっと用事があってね。皆元気かい?」
ちょっと気恥ずかしそうにレイモンド様は応える。そういえばお義兄様とレイモンド様は生徒会にいらしたんだわ。お義兄様は二年先に卒業なさったけど、レイモンド様もきっと高等部卒業まで生徒会にいらしたのね…。
「レイモンドさん、聞いてもらえます?」
男子生徒はレイモンドにすすめられた席につき、話し始めた。
「政治経済専攻、失くなるらしいです」
えっ!と私はスプーンを取り落としそうになる。
「どうして?」
ふむ、と指先を交差してレイモンド様は男子生徒を見た。
「政治経済専攻の下級生が、殆ど来なくなってしまって…なんでも、今までは授業を分かりやすく教えてくれていたり、進路の相談にのってもらったりしていた“先生”が、いらっしゃらなくなったからだって。それに、上級生も外部の有名講師に連絡をとっていたツテがなくなって…ここの教授は自分の研究にしか興味がないし…その研究も、公爵家の寄付に頼ってた研究費用がなくなって、もう無理だろうってことでした」
レイモンド様は首をかしげた。
「その先生って、もしかして」
「アシュレイ嬢だったんだそうです。令嬢については俺たちも、全く誤解してました…なんで皆ルディ殿下達の言ったことを鵜呑みにしてたんだ?毎日罰当番みたいなことしてるから、よっぽどのアホかと思ってたんですよ
…ミュシャさんが毎日、アシュレイ嬢のそばにバケツ持ってきて立ってたし…そうとう酷い女だって。あれ、本当にただ立ってたらしいんです。アシュレイ嬢のあとをつけ回してたって、アシュレイ嬢のファンの下級生が行動を帳面につけてて。なら、早く言ってくれよ」
男子生徒は頭をかかえた。
「皆勉強の途中で放り出されるんです、辞めた下級生たちは大抵、別の専攻の編入試験を受けたみたいですが…卒業間近の俺たちはどうしたらいいか…」
困ったね、とレイモンド様も眉を下げる。
「家令や侍従を育てる王立の専門学校なら、編入試験はないけど、学園の大学部に進学するにはここと違って外部入学試験がある。頑張らないとねえ」
うう、と生徒はあたまをかかえてから、
「アシュレイ嬢、戻ってきてくれるといいねえ」
というのんびりしたレイモンド様のいいかたに、はい、と頷いてから他の生徒達のところへ戻っていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
なんだか疲れきった気分で帰りつき、キャルに着替えをさせてもらう。明日の試験にむけて教科書に目を通している私の周りを、ミルラがとびまわった。
「ハハハハハ、ザマをみたな!あいつら!な、スッキリしたろ?これでフィヨールトにいけるか?」
なんでそうなるのよ、と私は肩を落とす。
「どっちにせよマリアの体を借りてるんだから行けないわよ!そもそも彼女、どうしてるの?まさか死んだりしてないわよね?」
私が手を差し出すとミルラは私の掌の上へおさまった。
「大丈夫!そのうち目を覚ますよ。彼女はバロウズ…緑の精霊王のお気に入りだから、せいぜい喜ばしてやらないと!」
私はミルラをじっとみつめてみた。
「マリアは、私の体をどうすると思う?」
「しらねえよ、多分、隅々まで記録するんじゃないのかな、あと、自画像とか…彫像つくったり?」
怖い怖い怖い。傍目からみたときに頭のおかしな女になってしまうわ。なんとしてでも止めないと…
「ミルラ、マリアが目を覚ましたら教えてくれないかしら?」
ミルラはちょっと考えてから、おっけー、と両手で丸をつくってくれた。
「そんときにその体、貰えるかちゃんと訊くんだぜ?多分アシュレイならすぐくれると思うけどさ!」
「いや、それは駄目でしょ」
妖精ってやっぱりちょっと、どことなく変だわ。
「しかたねえなあ。勉強はおわったのか?」
くるりと弧をえがき、どこからか例の金粉の入った袋を取り出した。
「おわってる、けど、またそれ?」
じりじり、と片手を握りしめて近づいているミルラと、そろそろと逃げ出そうとするわたし。
「いいから、おとなしくいい夢をみろよ!」
そんな、といいかけた私はまた、金色の粉を頭から浴びてしまっていたのだった。
700
あなたにおすすめの小説
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
居場所を奪われたので逆襲させていただきます~黒幕令嬢の華麗なる逆転劇~
つくも茄子
ファンタジー
旧題:伯爵夫人のお気に入り
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。
数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。
喜ぶ伯爵夫人。
伯爵夫人を慕う少女。
静観する伯爵。
三者三様の想いが交差する。
歪な家族の形。
「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」
「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」
「家族?いいえ、貴方は他所の子です」
ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。
「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~
水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」
夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。
王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。
「左様でございますか」
彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
あなたの幸せを祈ってる
あんど もあ
ファンタジー
ルイーゼは、双子の妹ローゼリアが病弱に生まれたために、「お前は丈夫だから」と15年間あらゆる事を我慢させられて来た。……のだが、本人は我慢させられていると言う自覚が全く無い。とうとう我慢のしすぎで命の危機となってしまい、意図せぬざまぁを招くのだった。
ドアマットだと自覚してないドアマット令嬢のお話。
【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない
あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。
王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。
だがある日、
誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。
奇跡は、止まった。
城は動揺し、事実を隠し、
責任を聖女ひとりに押しつけようとする。
民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。
一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、
奇跡が失われる“その日”に備え、
治癒に頼らない世界を着々と整えていた。
聖女は象徴となり、城は主導権を失う。
奇跡に縋った者たちは、
何も奪われず、ただ立場を失った。
選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。
――これは、
聖女でも、英雄でもない
「悪役令嬢」が勝ち残る物語。
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
幼馴染に夢中の夫を捨てた貴婦人は、王太子に熱愛される
Narian
恋愛
アイリスの夫ロイは、新婚の頃から金髪の愛らしい幼馴染・フローラに夢中で、妻には見向きもしなかった。
夫からは蔑ろにされ、夫の両親からは罵られ、フローラからは見下される日々。そしてアイリスは、ついに決意する。
「それほど幼馴染が大切なら、どうぞご自由に。私は出て行って差し上げます」
これは、虐げられた主人公が、過去を断ち切り幸せを掴む物語。
※19話完結。
毎日夜9時ごろに投稿予定です。朝に投稿することも。お気に入り登録していただけたら嬉しいです♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる