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【70】いざ、帝国へ
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「随分と大所帯になったわね」
帝国への行き方は、馬車移動になった。
ロックに関しては、帝王から飛行魔法が使えるだろうと指摘される一幕もあったけど、倒しに行くのは魔物だけではない。帝国には魔人がいるのだ。
魔人が相手ではすぐに見つかってしまうし、実際にギルデオルの古城へと向かった際も徒歩移動をしていた。
それに何より、魔力の消耗が激しい。そのまま戦闘に入ってしまえば不利になる。
ロックの説明を受け、帝王は納得した。
でも、今度は国王が口を挟んだ。禁呪を習得したのかと。
禁呪の習得、及び使用は、死罪か、よくて国外追放処分になる。
とはいえ、今はそれどころではない。
わたしが間に入って制すると、例の如く『溺愛』の効果を発揮する。わたしの顔に免じて特別にお咎めなしということになった。
そして、国王率いる王国軍は、三万の数を以って馬車と徒歩で移動していた。
「この数だ、魔物の軍勢にも対抗できるだろう」
ロックが言う。確かにと思った。
まさかこんなにも大所帯になるとは思いもしなかったけど、これなら魔人が相手でも何とかなりそうだと思った。
「ところで」
するとここで、ロックとわたしの会話に加わる人物が一人。
わたしの向かいの席に腰掛けるマルス様だった。
「ロック・クオール、何故貴様がオレ様と同じ馬車に乗っているのだ」
目を細め、睨み付けるような表情でロックを見る。
すると、ロックは何でもないことのように質問に答える。
「お前の元婚約者の師匠だからな」
「元、ではない! オレ様とメルは! 現在進行形で立派な婚約者同士だ! いや待て、貴様今、聞き捨てならないことを口走ったな? 師匠とは何だ? 今すぐに答えろ!」
「知らなかったか? お前の元婚約者は俺の弟子だ」
「弟子!? メルが……貴様の!? いやだから元ではなくてだな!」
「マルス様、馬車の中で立ち上がるのは危険ですよ」
「メル! お前も何か言ってやるといい! 何が師匠と弟子だ! そんな馬鹿げた関係はオレとメルの愛の前には遠く及ばんぞ!」
「と言ってるが、何か意見はあるか?」
そう言って、ロックが視線を向ける先にいる人物。
それは正真正銘わたしの元婚約者のエリック様だ。
「我が兄は自己中でね、思い通りに事が運ばなければすぐに機嫌が悪くなる。まるで子供さ」
「愚弟め! 貴様ッ、誰の温情で牢から出ることができたと思っているのだ! しかも何故貴様まで同乗している!」
「何故だって? そんなの決まっているだろう? 愚兄からメルを守るためさ」
「おのれ貴様ァ!」
「お二人とも座ってくださいっ」
この馬車には、マルス様とエリック様、それに加えてロックとわたしの四名が乗っている。
王族仕様の豪華な馬車なので、乗り心地は素晴らしい。でも、この狭い空間で争わないでほしい。
「先が思いやられるな」
「それを貴方が言うわけ?」
まるで他人事のような態度を取るロックにジト目を送り、わたしは深いため息を吐く。
それから二日が過ぎた。
わたしたちは国境を越えて無事に帝国入りを果たした。
遠目にも分かる。
帝国の王城の周辺は魔物だらけになっていた。
恐らく、王城にギルデオルが居るはずだ。
しかしながら、こちらから見えるということは、逆も然り。
いつ何時、開戦してもおかしくはない状況といえる。
「いよいよね……緊張してきたわ」
武者震いではなく、単に怖くて震えてしまう。
でも、ロックがその震えを鎮めてくれる。
「案ずるな」
手を握ってくれた。
ロックが、自分から。
「お前は俺が守る。必ずな」
「……ええ。心配なんてしないわ」
ロックの手の暖かさが伝わってくる。
わたしはギュッと握り返した。
「ロックはわたしの師匠だものね」
互いに顔を見合わせ、ニッと微笑んだ。
今回は、ギルデオルの古城まで向かう必要がないので、手間がかからずに済む。
ロックは王城へと視線を戻し、不遜な笑みを浮かべながら呟いた。
「さあ、二度目の死を与えに行くか」
帝国への行き方は、馬車移動になった。
ロックに関しては、帝王から飛行魔法が使えるだろうと指摘される一幕もあったけど、倒しに行くのは魔物だけではない。帝国には魔人がいるのだ。
魔人が相手ではすぐに見つかってしまうし、実際にギルデオルの古城へと向かった際も徒歩移動をしていた。
それに何より、魔力の消耗が激しい。そのまま戦闘に入ってしまえば不利になる。
ロックの説明を受け、帝王は納得した。
でも、今度は国王が口を挟んだ。禁呪を習得したのかと。
禁呪の習得、及び使用は、死罪か、よくて国外追放処分になる。
とはいえ、今はそれどころではない。
わたしが間に入って制すると、例の如く『溺愛』の効果を発揮する。わたしの顔に免じて特別にお咎めなしということになった。
そして、国王率いる王国軍は、三万の数を以って馬車と徒歩で移動していた。
「この数だ、魔物の軍勢にも対抗できるだろう」
ロックが言う。確かにと思った。
まさかこんなにも大所帯になるとは思いもしなかったけど、これなら魔人が相手でも何とかなりそうだと思った。
「ところで」
するとここで、ロックとわたしの会話に加わる人物が一人。
わたしの向かいの席に腰掛けるマルス様だった。
「ロック・クオール、何故貴様がオレ様と同じ馬車に乗っているのだ」
目を細め、睨み付けるような表情でロックを見る。
すると、ロックは何でもないことのように質問に答える。
「お前の元婚約者の師匠だからな」
「元、ではない! オレ様とメルは! 現在進行形で立派な婚約者同士だ! いや待て、貴様今、聞き捨てならないことを口走ったな? 師匠とは何だ? 今すぐに答えろ!」
「知らなかったか? お前の元婚約者は俺の弟子だ」
「弟子!? メルが……貴様の!? いやだから元ではなくてだな!」
「マルス様、馬車の中で立ち上がるのは危険ですよ」
「メル! お前も何か言ってやるといい! 何が師匠と弟子だ! そんな馬鹿げた関係はオレとメルの愛の前には遠く及ばんぞ!」
「と言ってるが、何か意見はあるか?」
そう言って、ロックが視線を向ける先にいる人物。
それは正真正銘わたしの元婚約者のエリック様だ。
「我が兄は自己中でね、思い通りに事が運ばなければすぐに機嫌が悪くなる。まるで子供さ」
「愚弟め! 貴様ッ、誰の温情で牢から出ることができたと思っているのだ! しかも何故貴様まで同乗している!」
「何故だって? そんなの決まっているだろう? 愚兄からメルを守るためさ」
「おのれ貴様ァ!」
「お二人とも座ってくださいっ」
この馬車には、マルス様とエリック様、それに加えてロックとわたしの四名が乗っている。
王族仕様の豪華な馬車なので、乗り心地は素晴らしい。でも、この狭い空間で争わないでほしい。
「先が思いやられるな」
「それを貴方が言うわけ?」
まるで他人事のような態度を取るロックにジト目を送り、わたしは深いため息を吐く。
それから二日が過ぎた。
わたしたちは国境を越えて無事に帝国入りを果たした。
遠目にも分かる。
帝国の王城の周辺は魔物だらけになっていた。
恐らく、王城にギルデオルが居るはずだ。
しかしながら、こちらから見えるということは、逆も然り。
いつ何時、開戦してもおかしくはない状況といえる。
「いよいよね……緊張してきたわ」
武者震いではなく、単に怖くて震えてしまう。
でも、ロックがその震えを鎮めてくれる。
「案ずるな」
手を握ってくれた。
ロックが、自分から。
「お前は俺が守る。必ずな」
「……ええ。心配なんてしないわ」
ロックの手の暖かさが伝わってくる。
わたしはギュッと握り返した。
「ロックはわたしの師匠だものね」
互いに顔を見合わせ、ニッと微笑んだ。
今回は、ギルデオルの古城まで向かう必要がないので、手間がかからずに済む。
ロックは王城へと視線を戻し、不遜な笑みを浮かべながら呟いた。
「さあ、二度目の死を与えに行くか」
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