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【92】
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「ねえ、見つけたわ」
キルファンは、思いのほか簡単に見つかった。
屋台で串焼きを食べているところをあっさりと発見したのだ。
そもそも服装も目立つし身長も高くてスラっとしているので、遠目にも分かりやすくある。もちろん、それでも皇都は大勢の人たちが行き交うので、見つけるのが大変だと思っていたのだが……。
「おや? おやおや……? そこにおられるのは、もしや私の女神では?」
すると、どうやらキルファンも気付いたらしい。
串に刺さった肉を食べながら目を輝かせ、手を振ってくる。
「おぉ、こんなところで再会するとは、まさに運命としか言いようがありません」
一気に肉を食べ終える。
串を屋台のゴミ箱に捨てると、キルファンは軽快な足取りで近づいてくる。そして一言、
「神の思し召しに感謝しましょう」
そう言って、ナーナルと握手を交わした。
「こんにちは、キルファンさん。またお会い出来ましたわね」
「ええ、ええ。ナーナル様、貴女と昨日別れてからというもの、心にぽっかりと穴が開いてしまい、落ち着かなかったのですが……それがまるで嘘のように晴れました」
ナーナルに会えたのが嬉しかったのだろう。
頬を緩ませ笑いかけ、そしてキルファンは横を向く。その視線の先にいるのはエレンだ。
「そして貴方が、女神と共にカロック商会を倒したもう一人の寵児ですね」
ナーナルと手を離すと、今度はエレンに近づき左手で握手を求める。それを見て、一瞬間が空いたが、エレンは同じく左手で応じる。
「エレン・クノイルです。うちのナーナルがお世話になったみたいで」
「いえいえ、お世話になったのは私の方ですね。それも一度だけではなく、招待祭のときからずっとです」
うちの、とエレンがさらっと告げる。
それを聞いたキルファンは、肩を竦めて笑い、言葉を返した。
「ところで、二人揃って私に何か御用でもありましたか?」
「ええ、折り入ってお願いしたいことが……」
「ふむ、私に? なるほど、それは実に興味深いですね」
ふむふむと頷き、辺りをきょろきょろとする。
「では、そこですね。そこの飲み屋に入って早速話をしましょう」
あっさりと応じるキルファンに肩透かし気味だが、話が早くて助かる。
ナーナルとエレンは、キルファンの背について飲み屋に入ることにした。
キルファンは、思いのほか簡単に見つかった。
屋台で串焼きを食べているところをあっさりと発見したのだ。
そもそも服装も目立つし身長も高くてスラっとしているので、遠目にも分かりやすくある。もちろん、それでも皇都は大勢の人たちが行き交うので、見つけるのが大変だと思っていたのだが……。
「おや? おやおや……? そこにおられるのは、もしや私の女神では?」
すると、どうやらキルファンも気付いたらしい。
串に刺さった肉を食べながら目を輝かせ、手を振ってくる。
「おぉ、こんなところで再会するとは、まさに運命としか言いようがありません」
一気に肉を食べ終える。
串を屋台のゴミ箱に捨てると、キルファンは軽快な足取りで近づいてくる。そして一言、
「神の思し召しに感謝しましょう」
そう言って、ナーナルと握手を交わした。
「こんにちは、キルファンさん。またお会い出来ましたわね」
「ええ、ええ。ナーナル様、貴女と昨日別れてからというもの、心にぽっかりと穴が開いてしまい、落ち着かなかったのですが……それがまるで嘘のように晴れました」
ナーナルに会えたのが嬉しかったのだろう。
頬を緩ませ笑いかけ、そしてキルファンは横を向く。その視線の先にいるのはエレンだ。
「そして貴方が、女神と共にカロック商会を倒したもう一人の寵児ですね」
ナーナルと手を離すと、今度はエレンに近づき左手で握手を求める。それを見て、一瞬間が空いたが、エレンは同じく左手で応じる。
「エレン・クノイルです。うちのナーナルがお世話になったみたいで」
「いえいえ、お世話になったのは私の方ですね。それも一度だけではなく、招待祭のときからずっとです」
うちの、とエレンがさらっと告げる。
それを聞いたキルファンは、肩を竦めて笑い、言葉を返した。
「ところで、二人揃って私に何か御用でもありましたか?」
「ええ、折り入ってお願いしたいことが……」
「ふむ、私に? なるほど、それは実に興味深いですね」
ふむふむと頷き、辺りをきょろきょろとする。
「では、そこですね。そこの飲み屋に入って早速話をしましょう」
あっさりと応じるキルファンに肩透かし気味だが、話が早くて助かる。
ナーナルとエレンは、キルファンの背について飲み屋に入ることにした。
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