妹に婚約者を寝取られましたが、未練とか全くないので出奔します

ひじり

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【101】

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 それは、朝食での一コマ。

「……んー」

 ナーナルが腕によりをかけて作った料理をもぐもぐと食べながら、エレンは考えていた。
 ここ最近ずっと考えていたものだが、なかなか形にすることができず、綺麗にまとまらないでいた。
 これ以上、考えていても仕方がない気がする。だとすればいっそのこと、思い切った行動を取るべきか。一言も発さず黙々と食べ続ける。

 そんなエレンの姿を見て、ナーナルは不安げに口を開く。

「もしかして……美味しくなかった?」
「ん?」
「ほら、表情が硬いから……」
「……ああ、すまない。別のことを考えていただけだ。今日の料理ももちろん美味い。特に朝食用に作ったスープの味が優しくて心を包まれるようだ」
「そ、そう? それならいいのだけれど」

 言われて安心する。
 いつもは一口食べるとすぐに美味しいと言ってくれるエレンが、珍しく考えごとをして忘れていた。これは非常に珍しい光景といえるだろう。
 だからナーナルは訊ねてみる。

「それで、何を考えていたの?」
「店のことだ」
「お店の? ……それって、わたしたちが開く貸本喫茶のこと?」
「そうだ」

 エレンは頷き、スープをお代わりする。

「急ぐ必要があるわけではないが、一度想像を形にしてみた方がいいと思うんだ」
「想像を形に……それってつまり、お店を開くの?」
「ああ。店舗の完成自体はまだまだ先だが、試しに一度、開店してみよう。招待するのは親しい人に限定して、意見を求めたい」

 招待客を二人で持て成し、対価として意見を求め、喫茶造りの参考にする。
 それがエレンの出した案だ。

「……うん。それいいわ、やってみましょう」

 確かにこのままぶっつけ本番で開店したとして、不測の事態がないとも限らない。何かが起きてからでは遅いのだから、改善できるところがあれば、二人だけでなく、みんなの力を借りる必要がある。
 だとすれば、ゆっくりはしていられない。

「エレン。わたし今から作りたいものがあるから、しばらく部屋に籠るわね」
「それは俺が手伝ったらダメなものか?」
「うん。ダメよ。わたし一人でできるから、エレンはもう一つ、果実水のメニューを考えておいてちょうだい。あとで味見するから」
「一杯だけだからな」
「ケチね」

 味見が楽しみなのだろう。一杯だけと言いつつ、エレンはナーナルの楽しみを奪わないためにも、新メニューを考えることにした。

「それじゃあ、ごちそうさま!」

 朝食を平らげ、ナーナルは食器を洗う。
 そして準備万端とばかりに部屋に籠るのだった。
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