僕と精霊〜A journey of heroes〜

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生徒会出張調査

調査ファイル2 生徒会緊急任務

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 ちょうど正午をすぎた頃だろうか、アドロン達生徒会は龍神に呼ばれて学園の生徒会室に集まった。

 生徒会室にはアドロンとランパ、男が2人女が1人
「確認をとります、3年生ダスト先輩とラッシュ先輩、2年生は俺とルシェさん、1年生はランパさん」
アドロンは指差し確認をする

「会長さん、アンタのクラスメイトは大丈夫なのか?」
ダストはアドロンを心配する
「こっちは大丈夫です、今は龍神様からの伝言を待ちましょう」
アドロンは冷静に答える

「フッ流石生徒会長になれる人だ、肝っ玉が違うな」
ラッシュは笑う

「ランパさんは生徒会の活動には慣れましたか?」
ルシェはランパに優しく尋ねる
「はい!生徒会の仕事は大変ですが精一杯先輩達についていきます!」
ランパは敬礼をする

「まぁ俺達も今年から生徒会になったんだけどな」
「そーそー、俺らは3年の寄せ集め、生徒会長は前生徒会長の紹介で今年から活動に参加、生徒会に詳しいのはルシェ副会長だけ」
ダストとラッシュは椅子に座りながら言う

(集まったようだな)
龍神の声が生徒会室に響く
(お前達に任務を伝える、今すぐ科学軍の国へ向かうのだ)

「科学軍の国!?何故ですか!龍神様」
アドロンは驚き不安になる
(まぁ聞け、今回は科学軍から調査依頼があってな、場所は遊学町、とにかく行けば分かるそうだ)

「了解しました、直ちに準備をします」
龍神の話は終わる

「みんな!そう言うことだすぐに行くぞ!」
「はい!」
「「あいよ」」
「...ん」
一同は早速、駅へ向かう


 龍神駅

 此処は魔法軍の国と科学軍の国を繋ぐ唯一の場所

「切符を買わなきゃいけないのか」
アドロン達は切符を買うのに苦戦をしている。無理もない此処は1年前にこの国で建てられたばかりの最初の駅だからだ。この国の人間には少し複雑だ

「なんだこれ?どうやって動かすんだ?」
ダストは券売機の文字を凝視する
「この光る板の文字を押せば良いんですかね」
ルシェは画面をタッチするところまではできたが切符を買うことはできなかった

「しっかりして下さいよ、ほら先輩達の分の切符買っておきましたよ」
ランパはアドロン達に切符を渡す

「けっ早速だらしない所を見せちまったな、これで向こうの国に行けるのか」
ラッシュは切符を見ながら言う

「ランパさんは電車に乗ったことがあるんだね」
アドロンは聞く
「え!あ、はいそんな感じです」
ランパは一瞬何かに怯えるように答える

 列車が来る音がする
「あっ!列車が来ますよ!急ぎましょう!」
ランパは皆を連れて列車に乗る

「頼もしいですね」
ルフェはランパの頭を撫でる
「そ、そんなことないですよ副会長..」
ランパは恥ずかしそうに言う

 列車が動き出した、白と黒のケムリを上げながら遊学町に向かって走り出す

(お兄ちゃん!凄い凄い!速いよ!外の景色も綺麗!)
アドロンは左腕をブンブン振る
「会長どうしたんですか?」
アドロンはすぐに右手で左腕を抑える

「い、いや何でもないよ」
(ロア、あまりはしゃがないでくれ体がうまく動かない)
(でもお兄ちゃんも凄いって思うでしょ)
(そりゃそうだけど)
(じゃあ良いじゃない)
アドロンの左腕は再び動き出す

「ほぇー、これが列車か初めて乗るな」
「すっげ!速いな」
「どうやって動いているんでしょうか?やはり科学は凄いですね」
他のメンバーもはしゃいでいる

「ちょっ!先輩!周りの人達が見ていますよ」
ランパは声を抑えながら注意をする


 遊学町

 生徒会は無事目的地に到着をした
「龍神様は此処に来れば分かるって言ってたけどどうなってるんだ?」
皆は駅を出る

「なっ!?」
アドロンは町の光景を見て驚く

 ほとんどの家に大きな植物のツタが巻き付いている
「どうなってるんだよこれ!」
ダストは町を見回す

「レイラ起きなさい!」
ルシェの背中からコウモリの精霊が飛び出す
「ふわぁ~..どうしたのルシェ?まだお昼じゃないの~」
レイラという名の精霊はあくびをしている

「急に起こしてごめんね、ちょっとお願いがあるの」
ルシェは手を合わせながら頼み込む
「その子がルシェさんのパートナー?」
アドロンはレイラに指を差す

「ええ、この子はレイラ、夜行性の精霊よ」
ルシェは皆にレイラを紹介する

「ルシェ~、頼みって何よ~」
レイラはまたあくびをする
「この町の状況を見てきて欲しいのお願いできる?」
「えー、眠いよ~」
レイラは翼で目を擦る

「そこをなんとか、今度美味しいパフェをご馳走するから、ね!」
ルシェはレイラを撫でながらお願いする

「うーんじゃあ此処にいる人達の血をちょうだい」
レイラは鋭い牙を見せながらいう

「あの~皆さん、少しばかり血を分けていただけませんか?」
ルシェは皆に向かって頭を下げる

「構わないぜ」
「俺もだ」
「私も」
3人は腕をまくる

「あげたいところなんだが、俺の体には血が流れてないんだよ」
アドロンがそう言うと皆が驚く

「血が無いのにどうやって生きているの~、私気になる!」
レイラは目を光らせ、アドロンを確認する

「あなたどうやら人間じゃ無いようね」
「ご名答」
アドロンは首を360度回す

「「「「えっ!?」」」」
皆は驚く
「言ってなかったね、俺は...私達はは人形に取り憑いた2人の魂なんです、双子の兄妹」
アドロンは暴露する

「なるほど、それで会長が男っぽかったり女ぽかったりしたのか」
ラッシュは納得する

「ふふっ、面白い物を見せてくれたから血はいらないわ、それじゃあ行ってくるわ」
レイラは分裂をし、町中に飛び回る

「気をつけて行ってくるのよ!」
ルシェは手を振る

「俺らは俺らで調査できる所を調査するぞ」
アドロンが指示を出すとそれぞれ分かれて行動を始めた

 市街地?
アドロンはランパと共に調査をしていた

「なんだこの植物、以前は無かったぞ」
アドロンは右手の人差し指を注射器に変形させ、成分を採取する

「会長は以前も此処に来たことがあるんですか?」
ランパは尋ねる

「ああ、1年ぐらい前にちょっと調べごとがあってな、科学軍の知り合いの人に連れて行ってもらったんだよ」
アドロンは注射器の中の液体を調べる

「科学軍の人に知り合いが...」
ランパの表情は暗くなる
「ランパさんにもいるのかい?」
アドロンはランパの表情が気になり、尋ねる

「私の死んだお母さんが科学軍の人間でした」
「ごめん、嫌なこと思い出させちゃったね」
アドロンは謝る

「良いんですよ、私...お母さんのことが嫌いですから」
ランパの言葉にアドロンは反応する
「どうして、ランパさんはお母さんが嫌い何ですか?」

「幼い頃はこっちの国で暮らしていたんですよ...でもお母さんが突然病気で亡くなって魔法軍の国へ引っ越したんです」
ランパは震えた手で服を少し上げるとお腹がアザだらけになっていた

「小学校では科学軍の国から来たって事で毎日みんなにいじめられました」
ランパは服を下ろす
「それでいじめられた原因の科学軍の人間だったお母さんが嫌いになったんですか?」
「はい...」

「ランパさんはお母さんに叩かれたり、殴られたりしたんですか?」
アドロンは質問を続ける
「い、いえ、そんなことは..」
ランパは否定する

「では、あなたなんか産まなきゃ良かったとか死ねとか言われたことはありますか?」
「そ、そんな恐ろしいことは言われた事ありません!」
ランパは強く言う

「ランパさん、お母さんが嫌いなんて言っちゃダメですよ!大切な家族なんですから!」
アドロンはランパの肩を掴みながら言う
「会長には分かりませんよ...」

「分かるわよ、私とお兄ちゃんは死んだお母さんが大好き、お父さんは私達を殺したけど、私はこうやってお兄ちゃんと一緒になれたから感謝はしている、だって家族なんだもん、だから家族を嫌いなんて言っちゃダメ」
アドロンはランパに強く訴える

「会長は過去に一体何があったんですか?」
「そうだよね、ランパさんは話したんだから私も話さなきゃダメだよね、良いよねお兄ちゃん...ああ、構わない」
アドロンは自分の過去をランパに話した、似た境遇を持つものとして自分と同じ道を歩まぬようにジャン達にも語っていない事も全てを話した


「すみません...会長」
ランパはアドロンのの胸の中で泣く

「日が暮れてきちゃったね、植物の成分は採取したし、一旦みんなの所に戻ろうか」
アドロンは立ち上がる

 バギッ!ガギッ!

 アドロン達の近くにあった家が崩れる
「何!?」
植物のツタから獣が飛び出してくる

「魔獣か!ランパさん!下がって」
アドロン達の調査は長くなりそうだ

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