オカルト結婚式 浮気した王子の末路が世界の支配者だった件

柚屋志宇

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20話 風雲急を告ぐ

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 教皇庁の『鍵部屋の選挙』で十割の票を集め、リオネル枢機卿が新教皇に選ばれた。

 新教皇リオネル一世就任の速報は、聖都テネブラエに集っていた各国の使者たちにより各々の祖国へと早馬で伝えられた。

 完全に予想外だった者が新教皇に就任したことで、各国は騒然となった。





「リオネル様が新教皇に?!!」
「そうなんだ。まずい、非常にまずい!」

 その日、王太子エルネストが王太子宮に帰宅できたのは夜遅くだった。
 新教皇リオネル一世就任の速報が飛び込んで来たため、王宮で緊急会議が開かれたためだ。

「どうしてそんなことに?!」

 予想もしていなかった事態にマリスは動転してエルネストに問い掛けた。
 エルネストは眉間に深い皺を刻んだ。
 
「まったく解らない。でも抜け駆けを疑われる。こちらも寝耳に水なのに……!」

 アルカナ王国に限らず、教皇選挙の結果を受け取った各国の上層部は騒然となっていた。

 水面下の争いはあれど、戦争にまでは発展することなく、諸国は今まで均衡を保っていた。
 しかし新教皇リオネル一世の誕生により、諸国は雨季の空のように不穏に揺れた。

 各国間を連日、親書を持った使者が行き交う。
 特に新教皇リオネル一世の母国アルカナ王国では、国王も王太子も大臣たちも、各国の要人との会談に明け暮れることとなった。





「兄上のおかげで散々な目にあった」

 王太子エルネストは久しぶりの休日を王太子宮で過ごしていた。

「西方同盟に加入できたことは良いことではありませんか。貿易がしやすくなります」

 マリスがそう言うと、エルネストは疲れたように笑った。

「貿易が発展するのは良いんだけど。その代わり有事には援軍を出さないといけない。アロガンティア帝国との間に火種を抱えている西方同盟には、できれば触りたくなかったんだよなあ。戦争が起これば、教皇の口添えも期待されるだろうね」

 アルカナ王国の元王子リオネルが、新教皇リオネル一世となったことで、アルカナ王国は大陸の嵐の中心になった。

 しかもリオネル一世は若い。
 万が一のことが起こらない限り、半世紀ほど教皇の座に留まるだろう。
 各国はアルカナ王国に様々な取引を持ち掛けて来た。

「でもまあ、ようやく落ち着けるかな」

 新教皇リオネル一世の誕生に騒然となった諸国も、各国間での話し合いが進み、次第に落ち着きを取り戻しつつあった。

「このまま何事も起こらないことを祈るよ」

 エルネストの願いむなしく。
 ほどなくして次なる騒動が幕を開けた。





「聖職者の結婚を禁じる教会法を、撤廃する!」

 教皇リオネル一世のその宣言は、大陸中のニール教徒たちを震撼させた。
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