20 / 26
20話 風雲急を告ぐ
しおりを挟む
教皇庁の『鍵部屋の選挙』で十割の票を集め、リオネル枢機卿が新教皇に選ばれた。
新教皇リオネル一世就任の速報は、聖都テネブラエに集っていた各国の使者たちにより各々の祖国へと早馬で伝えられた。
完全に予想外だった者が新教皇に就任したことで、各国は騒然となった。
「リオネル様が新教皇に?!!」
「そうなんだ。まずい、非常にまずい!」
その日、王太子エルネストが王太子宮に帰宅できたのは夜遅くだった。
新教皇リオネル一世就任の速報が飛び込んで来たため、王宮で緊急会議が開かれたためだ。
「どうしてそんなことに?!」
予想もしていなかった事態にマリスは動転してエルネストに問い掛けた。
エルネストは眉間に深い皺を刻んだ。
「まったく解らない。でも抜け駆けを疑われる。こちらも寝耳に水なのに……!」
アルカナ王国に限らず、教皇選挙の結果を受け取った各国の上層部は騒然となっていた。
水面下の争いはあれど、戦争にまでは発展することなく、諸国は今まで均衡を保っていた。
しかし新教皇リオネル一世の誕生により、諸国は雨季の空のように不穏に揺れた。
各国間を連日、親書を持った使者が行き交う。
特に新教皇リオネル一世の母国アルカナ王国では、国王も王太子も大臣たちも、各国の要人との会談に明け暮れることとなった。
「兄上のおかげで散々な目にあった」
王太子エルネストは久しぶりの休日を王太子宮で過ごしていた。
「西方同盟に加入できたことは良いことではありませんか。貿易がしやすくなります」
マリスがそう言うと、エルネストは疲れたように笑った。
「貿易が発展するのは良いんだけど。その代わり有事には援軍を出さないといけない。アロガンティア帝国との間に火種を抱えている西方同盟には、できれば触りたくなかったんだよなあ。戦争が起これば、教皇の口添えも期待されるだろうね」
アルカナ王国の元王子リオネルが、新教皇リオネル一世となったことで、アルカナ王国は大陸の嵐の中心になった。
しかもリオネル一世は若い。
万が一のことが起こらない限り、半世紀ほど教皇の座に留まるだろう。
各国はアルカナ王国に様々な取引を持ち掛けて来た。
「でもまあ、ようやく落ち着けるかな」
新教皇リオネル一世の誕生に騒然となった諸国も、各国間での話し合いが進み、次第に落ち着きを取り戻しつつあった。
「このまま何事も起こらないことを祈るよ」
エルネストの願いむなしく。
ほどなくして次なる騒動が幕を開けた。
「聖職者の結婚を禁じる教会法を、撤廃する!」
教皇リオネル一世のその宣言は、大陸中のニール教徒たちを震撼させた。
新教皇リオネル一世就任の速報は、聖都テネブラエに集っていた各国の使者たちにより各々の祖国へと早馬で伝えられた。
完全に予想外だった者が新教皇に就任したことで、各国は騒然となった。
「リオネル様が新教皇に?!!」
「そうなんだ。まずい、非常にまずい!」
その日、王太子エルネストが王太子宮に帰宅できたのは夜遅くだった。
新教皇リオネル一世就任の速報が飛び込んで来たため、王宮で緊急会議が開かれたためだ。
「どうしてそんなことに?!」
予想もしていなかった事態にマリスは動転してエルネストに問い掛けた。
エルネストは眉間に深い皺を刻んだ。
「まったく解らない。でも抜け駆けを疑われる。こちらも寝耳に水なのに……!」
アルカナ王国に限らず、教皇選挙の結果を受け取った各国の上層部は騒然となっていた。
水面下の争いはあれど、戦争にまでは発展することなく、諸国は今まで均衡を保っていた。
しかし新教皇リオネル一世の誕生により、諸国は雨季の空のように不穏に揺れた。
各国間を連日、親書を持った使者が行き交う。
特に新教皇リオネル一世の母国アルカナ王国では、国王も王太子も大臣たちも、各国の要人との会談に明け暮れることとなった。
「兄上のおかげで散々な目にあった」
王太子エルネストは久しぶりの休日を王太子宮で過ごしていた。
「西方同盟に加入できたことは良いことではありませんか。貿易がしやすくなります」
マリスがそう言うと、エルネストは疲れたように笑った。
「貿易が発展するのは良いんだけど。その代わり有事には援軍を出さないといけない。アロガンティア帝国との間に火種を抱えている西方同盟には、できれば触りたくなかったんだよなあ。戦争が起これば、教皇の口添えも期待されるだろうね」
アルカナ王国の元王子リオネルが、新教皇リオネル一世となったことで、アルカナ王国は大陸の嵐の中心になった。
しかもリオネル一世は若い。
万が一のことが起こらない限り、半世紀ほど教皇の座に留まるだろう。
各国はアルカナ王国に様々な取引を持ち掛けて来た。
「でもまあ、ようやく落ち着けるかな」
新教皇リオネル一世の誕生に騒然となった諸国も、各国間での話し合いが進み、次第に落ち着きを取り戻しつつあった。
「このまま何事も起こらないことを祈るよ」
エルネストの願いむなしく。
ほどなくして次なる騒動が幕を開けた。
「聖職者の結婚を禁じる教会法を、撤廃する!」
教皇リオネル一世のその宣言は、大陸中のニール教徒たちを震撼させた。
10
あなたにおすすめの小説
王子様への置き手紙
あおた卵
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯
だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。
【完結】薔薇の花をあなたに贈ります
彩華(あやはな)
恋愛
レティシアは階段から落ちた。
目を覚ますと、何かがおかしかった。それは婚約者である殿下を覚えていなかったのだ。
ロベルトは、レティシアとの婚約解消になり、聖女ミランダとの婚約することになる。
たが、それに違和感を抱くようになる。
ロベルト殿下視点がおもになります。
前作を多少引きずってはいますが、今回は暗くはないです!!
11話完結です。
この度改編した(ストーリーは変わらず)をなろうさんに投稿しました。
ここに聖女はいない
こもろう
恋愛
数百年ぶりに復活した魔王を討伐するために、少数精鋭のパーティーが魔王のいる《冬夜の大陸》へと向かう。
勇者をはじめとするメンバーは皆優秀だが、聖女だけが問題児。
どうしてこんな奴がここにいる?
かなり王道ど真ん中かつ、ゆるゆるファンタジー。
【本編完結・番外編追記】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。
As-me.com
恋愛
ある日、偶然に「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言する婚約者を見つけてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃりますが……そんな婚約者様はとんでもない問題児でした。
愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私は他の女性を愛するあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄します!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
番外編追記しました。
スピンオフ作品「幼なじみの年下王太子は取り扱い注意!」は、番外編のその後の話です。大人になったルゥナの話です。こちらもよろしくお願いします!
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』のリメイク版です。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定などを書き直してあります。
*元作品は都合により削除致しました。
聖女クローディアの秘密
雨野六月(旧アカウント)
恋愛
神託によって選ばれた聖女クローディアは、癒しの力もなく結界も張れず、ただ神殿にこもって祈るだけの虚しい日々を送っていた。自分の存在意義に悩むクローディアにとって、唯一の救いは婚約者である第三王子フィリップの存在だったが、彼は隣国の美しい聖女に一目ぼれしてクローディアを追放してしまう。
しかし聖女クローディアには、本人すら知らない重大な秘密が隠されていた。
これは愚かな王子が聖女を追い出し、国を亡ぼすまでの物語。
捨てられた聖女、自棄になって誘拐されてみたら、なぜか皇太子に溺愛されています
h.h
恋愛
「偽物の聖女であるお前に用はない!」婚約者である王子は、隣に新しい聖女だという女を侍らせてリゼットを睨みつけた。呆然として何も言えず、着の身着のまま放り出されたリゼットは、その夜、謎の男に誘拐される。
自棄なって自ら誘拐犯の青年についていくことを決めたリゼットだったが。連れて行かれたのは、隣国の帝国だった。
しかもなぜか誘拐犯はやけに慕われていて、そのまま皇帝の元へ連れて行かれ━━?
「おかえりなさいませ、皇太子殿下」
「は? 皇太子? 誰が?」
「俺と婚約してほしいんだが」
「はい?」
なぜか皇太子に溺愛されることなったリゼットの運命は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる