オカルト結婚式 浮気した王子の末路が世界の支配者だった件

柚屋志宇

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22話 聖婚

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 ――良き日。

 聖都テネブラエの大聖堂カテドラルで、教皇リオネル一世と聖女アンジェリクの婚礼の儀が行われた。

 教皇の結婚という前代未聞の奇妙な慶事に、諸国は驚嘆した。

 教皇から婚礼の儀の招待状が各国の国王に送られた。
 各国の国王は名代を立て、名代が教皇の婚儀に参列した。

 アルカナ王国からは、王太子夫妻、エルネストとマリスが参列した。

 大聖堂で厳かに婚儀が行われた後、新郎新婦である教皇と聖女は、大聖堂のバルコニーに姿を現した。

「なんと神々しいお二人だ……」

 バルコニーに現れた教皇と聖女の姿に、聖都テネブラエの聖職者たちは惜しみない祝福を与えた。

「これほど美しく気高い夫婦は、世界中を探してもそうはいないだろう」

 聖職者たちは美しい二人の姿を賞賛し、また教皇の英知を称えた。

「リオネル聖下は教皇としての地位を良く理解していらっしゃる。さすがは王太子であらせられたお方だ」
「教皇聖下と聖女様がご結婚なさったのだ。聖職者の結婚に異を唱える者はこれでいなくなるだろう」
「これから聖職者の結婚が増えそうだな」
「今まで聖職者は当然のように秘密結婚をしていたからな。代々の教皇ですら。しかしリオネル聖下はその歪みを正された。素晴らしい教会改革だ」
「新しい歴史の始まりだ」
「リオネル聖下に神の祝福があらんことを」





「聖下、ご結婚おめでとうございます」

 婚礼にまつわる一連の行事が終わると、エルネストとマリスは親族として、リオネルとアンジェリクに個人的に面会する機会を得た。

(アンジェリクが実在したなんて……)

 リオネルの隣に、ピンク髪に金の瞳の花嫁アンジェリクが本当にいた。
 実在した。

 マリスはアンジェリクを目の前にしても、まだ信じられない気分だった。

「聖女猊下、お初にお目文字いたします。お会いできて光栄に存じます」

 釈然としないながらもマリスはアンジェリクに挨拶をした。

「あら、妃殿下、私たち何度もお会いしていましてよ?」

 アンジェリクは朗らかに微笑みながら言った。

「学院や王宮でお会いしましたわ」
「……大変失礼いたしました。再びお目にかかることができて嬉しく思います」

(何度も? 聖女の霊魂の話が本当だったということかしら?)





「リオネル聖下が本当に『アンジェリク』と結婚するなんて、驚いたわ……」

 大聖堂での婚儀が終了した後、マリスとエルネストは滞在している聖宮殿の部屋へと戻った。

「現実味がないけれど、本当に現実かしら」

 マリスのその呟きにエルネストは頷いた。

「空想の恋人が実在したんだ。現実味がないよね」
「幻覚を見ているような妙な気分です」
「うん……」
「アンジェリクが実在の女性だったなら、聖女の霊魂の話は何だったのかしら……」
「さあ……。でもこれで、しばらくは落ち着くんじゃないかな。このところずっと兄上に振り回されてたけど。兄上は念願の『アンジェリク』と結婚できたんだから、これからは大人しくなるんじゃないかな」

 エルネストのその甘い期待は、すぐに打ち砕かれることになる。

 アロガンティア帝国の皇帝が、教皇リオネル一世に宣戦布告をしたからだ。
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