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14話 渦中のデイジー
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私はデビュタント舞踏会で、デイジーが皆の注目を集める様子を目の当たりにしました。
しかしこの時の私はまだ、デイジーが異性の目にどれほど魅力的に映っているのかという事について、認識が甘かったと言わざるを得ません。
デイジーが美しい娘だから声をかけたのだろう、くらいに思っていました。
まさかデイジーが、異性たちを盲目にさせるほどの魅力を持ち、わりとありきたりに見える招待状たちの裏にかなり本気度の高い執着があるとは想像すらしていませんでした。
彼らはすでに水面下では競い合い、争い合っていたのです。
◆
王弟殿下が離宮で主催する夜会に、デイジーは私と父と一緒に出席することになりました。
デイジーのエスコートは父で、私のエスコートは婚約者の侯爵令息ウィロウです。
招待状に出席の返事をすると、王弟殿下のご子息バジル様がデイジーにエスコートを申し込んで来ました。
しかし父は尊大に、得意気に、それを断りました。
「デイジー、素敵よ」
王弟殿下主催の夜会に出かける支度を整えたデイジーの装いを私は褒めました。
本当に美しいと思いましたので。
デイジーのあどけない天使のような美貌に、ふんわりとした甘いローズピンクのドレスはとてもよく似合っていました。
髪にも同じ淡いピンク色の薔薇の花を飾っています。
「ローズピンクが良く似合っているわ」
「リナリアお姉様のお眼鏡にかなっているでしょうか?」
「もちろんよ。今日のデイジーはまるで薔薇の妖精のよう」
「それは人間とは思えない異形だという皮肉でしょうか?」
デイジーが不安そうな顔で、私に問い掛けました。
貴族は笑顔で皮肉を言い合います。
褒めているように見せかけて、貶めます。
真っ直ぐなデイジーはそれが得意ではないのです。
「これは皮肉ではなくてよ。薔薇のように美しいという意味で言ったのよ」
これは私の本心です。
デイジーは私が手塩にかけて育て上げた淑女ですもの。
デイジーの成長が嬉しくないわけありません。
「でも、お姉様、妖精って異形ですよね? お姉様は遠回しで解り難い皮肉をおっしゃるので、言葉の裏に何かあるのではないかと、つい不安になってしまいます」
デイジーが消極的な発言をしているのは、初めての夜会に身構えているからだろうと思い、私はデイジーを励ましました。
「そんなに身構えなくても大丈夫よ。デイジーはどこに出しても恥ずかしくない立派な淑女よ。それに今夜は私が一緒にいるのだから、難しい会話は私に任せてくれて良いのよ?」
「お姉様、絶対に離れないでくださいませ」
デイジーは愁眉を顰めました。
「嫌な予感がするのです……」
デイジーのその予感は的中することになります。
波乱の幕開けでした。
しかしこの時の私はまだ、デイジーが異性の目にどれほど魅力的に映っているのかという事について、認識が甘かったと言わざるを得ません。
デイジーが美しい娘だから声をかけたのだろう、くらいに思っていました。
まさかデイジーが、異性たちを盲目にさせるほどの魅力を持ち、わりとありきたりに見える招待状たちの裏にかなり本気度の高い執着があるとは想像すらしていませんでした。
彼らはすでに水面下では競い合い、争い合っていたのです。
◆
王弟殿下が離宮で主催する夜会に、デイジーは私と父と一緒に出席することになりました。
デイジーのエスコートは父で、私のエスコートは婚約者の侯爵令息ウィロウです。
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デイジーが不安そうな顔で、私に問い掛けました。
貴族は笑顔で皮肉を言い合います。
褒めているように見せかけて、貶めます。
真っ直ぐなデイジーはそれが得意ではないのです。
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これは私の本心です。
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「でも、お姉様、妖精って異形ですよね? お姉様は遠回しで解り難い皮肉をおっしゃるので、言葉の裏に何かあるのではないかと、つい不安になってしまいます」
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「嫌な予感がするのです……」
デイジーのその予感は的中することになります。
波乱の幕開けでした。
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