かわいそうな欲しがり妹のその後は ~ 王子様とは結婚しません!

柚屋志宇

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20話 戦闘開始

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「ダリアさん、素敵な休憩室を用意してくださって感謝します。おかげでゆっくりくつろいでいます」

 私はにっこりと微笑んでダリアさんに言いました。
 もちろん皮肉です。
 ダリアさんたちに絡まれてしまい、休憩の邪魔をされている最中ですので。

「リナリアさん、妹さんを甘やかしすぎではないかしら? 私たち妹さんとお話がしたいのよ」

「ごめんあそばせ、ダリアさん。妹は恥ずかしがり屋なんですの。ご容赦くださいませ」


「妹さんは、恥ずかしがりには見えませんことよ?」
「男性の扱いには随分と慣れていらっしゃるようにお見受けいたしましたわ」
「女性とは話せないというのかしら?」

 ダリアさんと連れの令嬢たちは口々にデイジーに向けて悪口を浴びせかけました。
 デイジーは挑発には乗らずすまし顔で口を噤んでいます。

「妹をご心配いただき感謝いたします。妹は社交界デビューしたばかりですので至らぬところもあるかと存じますが、どうぞよしなに」

 デイジーに代わり私が微笑みながらそう答えると、ダリアさんはキッと私を睨んで言いました。

「貴女の妹さん、本当に無作法で至らなすぎるわ。リナリアさん、貴女、姉ならちゃんと妹さんを躾てくださらない? 妹さんは男性との距離がおかしくてよ」

 デイジーが無作法?
 躾ろですって?

 私の全身の血がカッと沸騰しました。

 私はデイジーを徹底的に淑女として調教いたしましたが?
 私が手塩にかけて育て上げたデイジーにケチをつけようというのですか?
 醜い感情を露わにしたみっともない顔を晒している、躾のなっていないダリアさんが?
 どの口で?

 至らないと言ったのは、謙遜しただけに決まっているではありませんか。
 私のデイジーはどこに出しても恥ずかしくない一級品の淑女に仕上がっていると自負しております。

 私はついイラっとしてしまい、微笑みを深くしました。

「それは殿方におっしゃってくださいませんか。婚約者がいながら、妹に近付いてくる殿方の多いこと、多いこと。皆様とても積極的に親切にしてくださるので、あまりのご厚遇にこちらは戸惑っております」

「……っ!」
「……!!」

 ダリアさんたちは一斉に顔を歪めました。

「先程もアイヴィー王子殿下が、妹の手を握ってくださって、あまりの光栄に妹は泣きそうになっておりました。身に余る光栄でしたのでご遠慮申し上げたかったのですが、王子殿下の積極的なご好意を辞退することは難しく、それで化粧直しをするという口実でここに逃げてまいりましたの」

「貴女の妹が男性たちを誘惑しているからでしょう。平民風情が調子に乗って」
「婚約者のいる男性と親密にするなんて、卑しい平民は節操がないわね」
「所詮は平民。とんだ阿婆擦れね」
「男に媚を売るしか能のない下品な平民を社交界に出して、恥ずかしくないの?」

 ダリアさんたちは怒りの形相で言いがかりをつけて来ました。
 男性たちが積極的にデイジーに近付いてくる様子をご存知のはずですのに。
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