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31話 おそろいですね
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「ご婚約者がいらっしゃる方とは、もうダンスは踊りません!」
デイジーは毅然として言い放ちました。
「……っ!」
「……!」
婚約者のいる男性たちが、デイジーのはっきりした拒絶の言葉に、大きなショックを受けたかのように悲愴な顔をしました。
「デイジー嬢、私はまだ婚約しておりません。また私とダンスを踊ってくださいますか?」
バジル様がここぞとばかりにデイジーにそう言うと、デイジーは素っ気なく答えました。
「そうですね。バジル様はまだ婚約なさっていらっしゃらないものね。また踊りましょう。これからも仲良くしてください」
デイジーは台本を棒読みするような平坦な口調で言いましたが、バジル様は女神から言葉を賜ったかのごとく、あまり表情のないお顔に大きな喜びをにじませました。
「デイジー嬢にそう言っていただけるとは、光栄の極みです!」
デイジーとバジル様のその会話に、アイヴィー王子殿下を始めとする婚約者がいらっしゃる男性たちは、よほど苦い何かを噛み締めているかのような酷いお顔をなさいました。
「デイジー嬢、確認したいのですが……」
バジル様は目を爛々と輝かせてデイジーに問い掛けました。
「デイジー嬢はダリア嬢に葡萄酒を浴びせられる歓迎を受けたのですね? 相違ありませんか?」
「ええ、そうです」
「デイジー嬢の言葉を信じます! ちょっと葡萄酒を取って来るのでお待ちください」
「……?」
デイジーがバジル様の言葉に首を傾げている間に、バジル様は素早く葡萄酒のグラスを両手にして戻って来ました。
「デイジー嬢、私もダリア嬢の作法を手本にしたいと思います」
バジル様はそう言うと、両手に持っている葡萄酒のグラスを自分の頭の上に持っていき傾けました。
――パシャ、パシャ!
「……!」
バジル様は自らの手で葡萄酒を浴びました。
バジル様の髪から葡萄酒がポタポタと滴り落ちています。
礼服にも葡萄酒の真っ赤な染み。
「デイジー嬢、これでおそろいですね!」
葡萄酒まみれになったバジル様は晴れやかな笑顔で言いました。
「え、おそろいって……??」
バジル様の奇行に、デイジーの笑顔が少し引きつりました。
バジル様は、少々……、風変りな人なのかもしれませんね?
もしくは策士か……?
奇行ですが、しかし作法にかなった行動ではあるのです。
客人や淑女など、大切な誰かが失敗をしたときに、その誰か一人だけに恥をかかせないため、自分も同じことをしてみせて一緒に恥を被って助力することがあります。
必ずそうしなければならない絶対の作法ではなく、騎士道精神のような個人の裁量で行う類のものですが。
「私もウィード公爵にこのような斬新な作法を教えていただいたお礼をしたく存じます。ぜひデイジー嬢にご一緒させてください!」
デイジーは毅然として言い放ちました。
「……っ!」
「……!」
婚約者のいる男性たちが、デイジーのはっきりした拒絶の言葉に、大きなショックを受けたかのように悲愴な顔をしました。
「デイジー嬢、私はまだ婚約しておりません。また私とダンスを踊ってくださいますか?」
バジル様がここぞとばかりにデイジーにそう言うと、デイジーは素っ気なく答えました。
「そうですね。バジル様はまだ婚約なさっていらっしゃらないものね。また踊りましょう。これからも仲良くしてください」
デイジーは台本を棒読みするような平坦な口調で言いましたが、バジル様は女神から言葉を賜ったかのごとく、あまり表情のないお顔に大きな喜びをにじませました。
「デイジー嬢にそう言っていただけるとは、光栄の極みです!」
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バジル様は目を爛々と輝かせてデイジーに問い掛けました。
「デイジー嬢はダリア嬢に葡萄酒を浴びせられる歓迎を受けたのですね? 相違ありませんか?」
「ええ、そうです」
「デイジー嬢の言葉を信じます! ちょっと葡萄酒を取って来るのでお待ちください」
「……?」
デイジーがバジル様の言葉に首を傾げている間に、バジル様は素早く葡萄酒のグラスを両手にして戻って来ました。
「デイジー嬢、私もダリア嬢の作法を手本にしたいと思います」
バジル様はそう言うと、両手に持っている葡萄酒のグラスを自分の頭の上に持っていき傾けました。
――パシャ、パシャ!
「……!」
バジル様は自らの手で葡萄酒を浴びました。
バジル様の髪から葡萄酒がポタポタと滴り落ちています。
礼服にも葡萄酒の真っ赤な染み。
「デイジー嬢、これでおそろいですね!」
葡萄酒まみれになったバジル様は晴れやかな笑顔で言いました。
「え、おそろいって……??」
バジル様の奇行に、デイジーの笑顔が少し引きつりました。
バジル様は、少々……、風変りな人なのかもしれませんね?
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奇行ですが、しかし作法にかなった行動ではあるのです。
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必ずそうしなければならない絶対の作法ではなく、騎士道精神のような個人の裁量で行う類のものですが。
「私もウィード公爵にこのような斬新な作法を教えていただいたお礼をしたく存じます。ぜひデイジー嬢にご一緒させてください!」
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