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52話 王城へ行く前に
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「バジル様とシスル王子殿下は、何とか来ようとするはずよ。アイヴィー王子殿下に先を越されて、黙ってはいないと思うの」
私はデイジーに言いました。
「少なくとも、シスル王子殿下は来るわ。だって王城はシスル王子殿下の自宅ですもの」
私は昨日のうちに、アイヴィー王子殿下から結婚の申し込みがあったことを因縁のある方々に知らせました。
アイヴィー王子殿下の元婚約者だったダリアさんの父ウィード公爵。
シスル王子殿下の元婚約者だったアイリスさんの父ドラセナ侯爵。
そしてシスル王子殿下とバジル様です。
ウィード公爵とドラセナ侯爵は、娘が王子殿下に婚約破棄されたことで今や王家に反感を持っていますから、この縁談を不愉快に思うでしょう。
しかし今日の私たちと国王陛下との話し合いは、非公式とはいえ王城で行われますから、ウィード公爵とドラセナ侯爵が直接乗り込んで来て横槍を入れることは出来ません。
しかしシスル王子殿下とバジル様なら直接の横槍は有り得ます。
彼らは国王陛下の家族で、王城はシスル王子殿下の自宅であり、バジル様の伯父や祖母の家ですから。
シスル王子殿下とバジル様にこの縁談の存在を知らせたのは、ご存知でない可能性があると思ったからです。
そして知れば、この縁談に反対してくださると思ったからです。
彼らはデイジーの取り合いをしていましたので。
アイヴィー王子殿下が国王陛下の力を借りて、彼らを出し抜くことに良い気持ちはしないでしょう。
それに彼らは、困ったことがあったらいつでも言って欲しいと、デイジーに言っていましたもの。
相手が国王陛下ともなると、王命を使われる可能性がありますので、使える駒は使っておいたほうが良いでしょう。
◆
「お父様、私も呼ばれたということは、私はアイヴィー王子殿下とお話をするのでしょうか」
王城へ行くために馬車に乗り込むと、デイジーは父に質問しました。
「話くらいするだろう。わざわざデイジーを呼び出したのだ。顔を見ただけで、一言も話をしなかったらデイジーに失礼じゃないか」
「……」
デイジーは少し目を伏せて、考えるような顔をしながら言いました。
「もし私の気持ちを聞かれたら、嫌いって、本心を言っても良いのですか? それとも、にこにこ笑ってはぐらかしたほうが良いですか?」
「デイジーの本心を言えば良い」
父は堂々とした態度で、威厳を持ってデイジーに答えました。
「後の事は私に任せなさい」
何かあった場合、父は私たちに「後は任せた」と言うだけですから。
気楽なものですね。
ですが、今回に限っては、良いでしょう。
デイジーの完璧な笑顔では、遠回しにお断りしても、また誤解されてしまう可能性があります。
一生を左右する結婚という問題にまつわることですし、自分の本心をはっきり言うべきでしょう。
私はデイジーに微笑みかけながら言いました。
「デイジー、お父様の言う通りよ。多少の無礼は気にしなくて良いわ。本心で答えなさい」
「浮気者って言っても良いですか?」
デイジーの具体的な質問に、私はにっこりと微笑みを返しました。
「ええ、いいわよ」
私はデイジーに言いました。
「少なくとも、シスル王子殿下は来るわ。だって王城はシスル王子殿下の自宅ですもの」
私は昨日のうちに、アイヴィー王子殿下から結婚の申し込みがあったことを因縁のある方々に知らせました。
アイヴィー王子殿下の元婚約者だったダリアさんの父ウィード公爵。
シスル王子殿下の元婚約者だったアイリスさんの父ドラセナ侯爵。
そしてシスル王子殿下とバジル様です。
ウィード公爵とドラセナ侯爵は、娘が王子殿下に婚約破棄されたことで今や王家に反感を持っていますから、この縁談を不愉快に思うでしょう。
しかし今日の私たちと国王陛下との話し合いは、非公式とはいえ王城で行われますから、ウィード公爵とドラセナ侯爵が直接乗り込んで来て横槍を入れることは出来ません。
しかしシスル王子殿下とバジル様なら直接の横槍は有り得ます。
彼らは国王陛下の家族で、王城はシスル王子殿下の自宅であり、バジル様の伯父や祖母の家ですから。
シスル王子殿下とバジル様にこの縁談の存在を知らせたのは、ご存知でない可能性があると思ったからです。
そして知れば、この縁談に反対してくださると思ったからです。
彼らはデイジーの取り合いをしていましたので。
アイヴィー王子殿下が国王陛下の力を借りて、彼らを出し抜くことに良い気持ちはしないでしょう。
それに彼らは、困ったことがあったらいつでも言って欲しいと、デイジーに言っていましたもの。
相手が国王陛下ともなると、王命を使われる可能性がありますので、使える駒は使っておいたほうが良いでしょう。
◆
「お父様、私も呼ばれたということは、私はアイヴィー王子殿下とお話をするのでしょうか」
王城へ行くために馬車に乗り込むと、デイジーは父に質問しました。
「話くらいするだろう。わざわざデイジーを呼び出したのだ。顔を見ただけで、一言も話をしなかったらデイジーに失礼じゃないか」
「……」
デイジーは少し目を伏せて、考えるような顔をしながら言いました。
「もし私の気持ちを聞かれたら、嫌いって、本心を言っても良いのですか? それとも、にこにこ笑ってはぐらかしたほうが良いですか?」
「デイジーの本心を言えば良い」
父は堂々とした態度で、威厳を持ってデイジーに答えました。
「後の事は私に任せなさい」
何かあった場合、父は私たちに「後は任せた」と言うだけですから。
気楽なものですね。
ですが、今回に限っては、良いでしょう。
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私はデイジーに微笑みかけながら言いました。
「デイジー、お父様の言う通りよ。多少の無礼は気にしなくて良いわ。本心で答えなさい」
「浮気者って言っても良いですか?」
デイジーの具体的な質問に、私はにっこりと微笑みを返しました。
「ええ、いいわよ」
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