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第一章 短し0日目

運命、種明かし。

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 白いショートヘアに赤い瞳。背はアルテミアより少し低いくらいだろうか。
 少女は自己紹介を始めた。

「僕はノルン。ノルン・ロスタール。よろしく!」
「前の世界では少々手荒にしてしまったね。ごめんね、ハルト」

――「また会う日まで。ハルト」
――「また会えたね!ハルト」
 といったところかな?
 つながってしまった……。……僕?
「よろしくな、ノルン。……僕?」
彼女?いや彼?ノルンは?という顔をしてみせた。
 よく見たら胸が膨らんでいる。身体も曲線が多く、肩は健気にも滑らかだった。
 
 ボクっ娘ですねこの子。(確信)

 俺はあることに気づいた。
「エナジードレインだっけ? それをかけたのってもしかして……」
こいつらグルだ。
「つまり、このノルンと協力して、ハルトをどうしても異世界に連れて行きたかったの。……ごめんねハルト。でも、私が治したから、どうか許して?」
アルテミアは懺悔し、俺に慈悲を求めた。可愛らしい顔をしている。
 その顔に、俺はいつも負けてしまうようだった。
「確かに、最初異世界のことを聞いたときは、結構びっくりしたけど……案外楽しそうじゃん?危ないこともないって聞いたし。可愛いアルテミアのことだし、許すよ」

「か……可愛いなんて……」

やべ、口が滑った。

「あの……言いにくいんだけど……」
アルテミアはもごもごしながら言いにくそうに話を進めた。それに対し、俺は耳を澄まして待った。

「実はやることの無いなんて嘘だったの...。この世界には普通に魔物とかいるし、やるべきことがあるの」
 
 は??

怒り悲しみ焦り憤り悔やみその他諸々マイナスの感情がこんがらがり、時が止まった。

「えーー!? 言ってなかったの!? ハルト……可哀想に」
ノルンの同情で、時間は動き出した。
 「ごめんなさい……ハルト」
 やっぱ勝てない……と諦めた。
「いや……いいよ! なんかわくわくするし! 俺は賛成! 大丈夫!!」
一体何に賛成で何が大丈夫なのかわからなかったが、とにかく場の空気を悪くしたくなかった。また、何故かアルテミアに嫌われたくなかった。そしてアルテミアを嫌いになりたくなかった。
 
「僕が宿を用意しといたんだ!今日はとりあえずそこに行こうよ」
ノルンもまた空気をほぐし、みんなをほぐすため、宿で休むことを勧めた。
とりあえず、3人でパーティーを組み、宿へ向かった。
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