やることの無い異世界で。

椚田雷兵衛

文字の大きさ
13 / 17
第二章 一週間で光を探せ

得たもの失ったもの。

しおりを挟む
 俺たちは戦いのあと、教会への旅路を再開した。バンシーは浄化されてしまったので、跡形もなく消え去った。
 バンシーの登場や奴の能力的な何かで、辺りが暗いのかと思っていたが、バンシーを倒しても暗いので、どうやら夜になってしまったようだ。

 そういえば、ゲームとかだと、倒した敵の技とか魔法とか使えるようになるよな……。
 「俺……なんか変わった?」
 俺はみんなに希望を添えて聞いた。
 「いや……特に変わってはいないようですね……」
 そうディーネに言われ俺は心でがっかりした。
 「いや、『ハルトは魔法をおぼえた』ってね」
と、アルテミアはRPGのメッセージボックスのように話す。
 「たぶん、アンデッドのバンシーを倒したってことは、アンデッド系の魔法とかスキルとか習得したはずだけど……?」
 したはず…………っておい!
 「だけどってなんだよ!!」
と俺はツッコミを炸裂させた。
 「アンデッド系の魔法ってどんなのがあるんだ……?」
みんなに尋ねると
「普通にドレインとかポイズンとかがあるよ。その中にも色んな種類があるけど、私はアンデッドじゃないからわからないのだー!」
と、エレノアの元気な返答が返ってきた。
 俺は試しに、ドレイン! やらポイズン! やら唱えてみたが、特に何も起こらず……。俺がバンシーを倒したことで得たものは何も無いように思えた。が、ディーネの一言で、俺はあるものを得ていたことに気がついた。

 「ハルトさん……その目、どうしたんですか?」
 目……?特におかしい感じはしないが……。俺は辺りをキョロキョロ見回してみたが、いつもと変わらない見え方で、なんの違和感も無かった。
 「あぁ! 本当だー!」
アルテミアとエレノアが口を揃えて言う。
 エリューシアにいた頃のアルテミアってあんなに若かったっけ……?なんてことを思いつつ、俺は近くに反射するものがないか、のそのそ探していると、アルテミアが、
「鏡ならあるよ? 貸そうか?」
と女子力砲を発射。
 「ああ……ありがとう」
と俺は受け止め、右手に持った手のひらサイズの鏡で、自分の首、顔、と進めていくと……
「なっ……なんだコレ!?!?!?」

 目を見ると、右目は普通に濃い茶色をしていたが、左目が瞳の部分だけ、赤い色をしていた。
 このままだとただの厨二病なのでどうにかしなきゃという思いから俺は左手で左目をおさえた。
 「な……何やってるの?」
アルテミアが心配もとい軽蔑を俺に刺してきた。
 な……何やってんだ俺。
 俺は、このやばい状況を打破するため
 「ど……どうするんだよ! これ! なんか目の色違うんだけどー!!!!」
と思いの丈をぶっぱなした。
 「俗に言うオッドアイだよね? かっこいいぞー?ハルトー?」
と、エレノアが少し馬鹿にしてきた。
 くっ……屈辱。
 何とかして何らかの能力を見出さなければ……!
 俺は鼓舞してあたりを見回しまくった。すると……
 
 アルテミアが次にいう言葉が分かる。俺はアルテミアと声を揃え、
「何してるの?」
と言い放った。
 アルテミアは、
「えっ……? なんでわかったの……?」
と動揺を隠せない様子だ。
 次にいう言葉もわかる。息を吸い、
「まさか……それが得た能力?」
と声を揃えた。
 「もしそれが本当なのでしたら……ハルトさんが得た能力は『見通す目プロビデンスアイ』という潜在能力ですね。普段は普通の目なのですが、強く念じた時、左右どちらの目……ハルトさんは左の目が別の色に変わり、相手の思うことや言うことが分かってしまうという能力です」
 す……すごいな、ぷろびでんすあい。
 ただ、やたら滅多にこの能力を使ってしまったら俺はただの変態になってしまう。でも、絶対にこの能力が役立つ日が来る。そんなことを思った。

 「でも……ハルトさんが失ったものものも大きなものです」
ディーネは神妙な面持ちで語りかけてきた。
 「エナジーがほとんど無いです。よく立っていられますね……」
 エナジー……?
 俺とアルテミアが出会って間もない頃…………。
 そういえば、エナジーって人間が生きる源とかだっけ……?
 俺は色んなことをつらつらと考えていると段々ボーッとしてきた。
 あぁ、倒れる、と思った瞬間、俺は地面にドサッと倒れ、意識を失った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話

カトウ
ファンタジー
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。 チートなんてない。 日本で生きてきたという曖昧な記憶を持って、少年は育った。 自分にも何かすごい力があるんじゃないか。そう思っていたけれど全くパッとしない。 魔法?生活魔法しか使えませんけど。 物作り?こんな田舎で何ができるんだ。 狩り?僕が狙えば獲物が逃げていくよ。 そんな僕も15歳。成人の年になる。 何もない田舎から都会に出て仕事を探そうと考えていた矢先、森で倒れている美しい女性騎士をみつける。 こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。 女性騎士に一目惚れしてしまった、少し人と変わった考えを方を持つ青年が、いろいろな人と関わりながら、ゆっくりと成長していく物語。 になればいいと思っています。 皆様の感想。いただけたら嬉しいです。 面白い。少しでも思っていただけたらお気に入りに登録をぜひお願いいたします。 よろしくお願いします! カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。 続きが気になる!もしそう思っていただけたのならこちらでもお読みいただけます。

アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

ma-no
ファンタジー
 神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。  その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。  世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。  そして何故かハンターになって、王様に即位!?  この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。 注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。   R指定は念の為です。   登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。   「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。   一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。

処理中です...