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第二章 一週間で光を探せ

みんなで。

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 次々と暴かれる、俺の正体に酔いしれて、ヒーロー気分になっていた俺だったが、ウルーナを探すという本当の目的は見失ってはいなかった。
 先程から物静かに本を読んでいたディーネが、その手に握っていた本をコトリと本棚に戻すと、息を大きめに次々と暴かれる、俺の正体に酔いしれて、ヒーロー気分になっていた俺だったが、ウルーナを探すという本当の目的は見失ってはいなかった。
 先程から物静かに本を読んでいたディーネが、その手に握っていた本をコトリと本棚に戻すと、息を大きめに吸ってから、
「さて……と」
と、放った後に、
「一通りわかりました……。とりあえず、この本は持っていくことにしましょう」
と、提案した。
 断る理由もなく、俺たちは、『柱妖精』をもって、書物庫を後にした。
 書物庫を出ると、先ほどとは打って変わって、廊下がしんと静まり返っていた。
 さっきまであんなに賑やかだったのに……。と、不思議に思う気持ちを抱きつつ、受付へと足を進め始めた。
 この状況からか、俺以外の三人は、声どころか物音すら立てず、そちらを確認しないといるかどうかわからないほど、存在感がなかった。
 まあ、そういった類の魔法かなんかを使っているのだろう。と俺は割り切った。
 歩きながら俺は、今思えば、ここに来るまでにいろんなことがあったなぁ、と今更回想に耽っていた。
 そういえば、まだここに来て一日しか経っていないよなぁ……、寝てないなぁ……、何も食べてないよなぁ…………。
 よく考えたら、今の俺は相当な極限状態にいるように感じてきた。
 そんなことを考えているうちに、俺たちは受付についた。
 だが、先程まで賑やかだったその宴会場は、夜の地下室のように静まり返っていた。
 理由は明確だった、時刻はもう深夜だったのだ。

 「うわ……だっれもいないね……」
と、アルテミアが目を丸くしながら言った。
 「私たちも寝なきゃなのだ……」
エレノアは、幼さ相応の焦りを見せた。
 確かにこれからのことを考えて、早く寝たほうがいいのは紛れもない事実である。が、場所がない。
 「ど……どこで寝ればいいんだ?」
俺は、独り言のように呟いた。
 仕方がないので、案内を見に行こうとすると、ディーネが、
「この先に、仮眠室があります。なまえこそ『仮眠室』で粗悪そうですが、王都の宿のように、とてもきれいですよ」
というふうに教えてくれた。
 さすがノルニア。本当に何でもあるな。
 俺が感心していると、先程の様子からは信じられないほど疲弊したアルテミアが、おぼつかない足取りで先陣を切って仮眠室へと向かった。
 「お、おい! 待てって……」
俺は小さな声で叫びながら、駆け足でアルテミアを追いかけた。他の二人は、俺の後ろについてきた。
 アルテミアに追いついた俺は、『仮眠室』と刻まれたドアのノブに手をかけ、力を入れた。
 俺は少しだけ足に力を入れて、心の準備をした。ドアが開く――

 ドアを開けた先には、本当に王都の宿、俺達が泊まったことのあるセレスの宿のような風景が広がっていた。
 お金は取っていないらしく、フロントのようなところに、名前を書く表が置いてあった。
 俺たちは、目を使い、無言で意見を揃えてから、俺が表に自分の名前を書いた。
 またもや、目を駆使しながら、開いている部屋がないか一本の廊下を隔てて無数に並んだ両側のドアを片っ端からチェックしていった。
 ――みんなの目が、暗い色になる。
 なんと、不運なことに、最後の一部屋しか空いておらず、ドアから察するに、相当小さい部屋のようだった。
 「まあ、しょうがない」と目で話し合い、ドアにかけてある、『空き』の札を『使用中』に裏返し、ドアをあけて中に入った。
 予想通り、王都の宿と比べると相当小さい部屋だった。
 また、この部屋にはもう一つ残念なところがあった。
 それは、驚くほどベッドが小さいというところだ。
 さらに、床はカーペットなしのただのフローリングが広がっていた。
 きれいではあったが、流石に床で寝るわけには行かず……、
「しょうがない…………、四人で寝るか」
と、アルテミアが自ら提案した。
 ということで、渋々小さいベッドに四つの体をくっつけて眠ることになった。

 俺とアルテミア、そしてディーネは渋々ではあるが、すんなりと受け入れた。が、エレノアだけ、妙に嫌がっていた。
 「どうしてそんなに嫌なんだ? 小さいベッドしか無いんだ。我慢してくれ……」
俺が懇願すると、
「えぇ……は、恥ずかしいんだよぉ……」
と、先程に引き続き年齢相応の理由だった。
 いつものだのだ言っていて、何かと態度が大きい場面もいくつかあったが、今のエレノアは可愛かった。
 というか、性別的にこの場面でその台詞を言うのは俺だろ! とか思いつつ、三人で協力してエレノアを説得すると、
 「うん……今日はみんなと寝る」
と、納得していただいたご様子だった。
 エレノアも説得し終わって、いざベッドに入るとなると、案の定、俺は恥ずかしくなってきた。
 俺は、恥ずかしさを軽減するため、ベッドの端を陣取ったのだが、なんとアルテミアが俺の方からベッドに入ってきたために、順番はアルテミア、俺、エレノア、ディーネの順にベッドに川の字になった。
 かつて、人生のうちで女……それも美少女に挟まれて夜を明かすことがあっただろうか。
 俺は緊張と恥じらいで汗が止まらず、なかなか眠りにつけなかった。
 俺だけではなく、みんな疲れていた。だからか、ピロートークは一切せず、部屋には、四人の息をする音が混ざりあった独特のリズムが響いていた。
 部屋が小さいためか、心なしかみんなの息の音がよく跳ね返ってくるように感じた。
 最初に眠りについたのは、隣にいたアルテミアだった。
 いや……寝相が悪すぎる……。すこしだけ、幻滅してしまった。
 続いて、ディーネが穏やかに眠りについた後、俺もそこから意識が無くなっていった。
 エレノアについては、眠りにつけたのかどうかわからない。明日の朝、聞いてみるとしよう。
 俺は、疲れから来る、深い眠りに落ちていった――
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