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絶望と希望
出会い
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「こちら〇所属△部隊のシンヤだ。誰かいないか応答してくれ。」
ザザーーー
シンヤ「くそっ。どこも繋がらない。もう無線機の予備バッテリーなんか持ってないぞ。誰か!誰かいないのか!」
ザザーーー・・・
支給で渡された無線機で仲間を探してみているが応答は来ない。あるのは砂嵐のような音が延々と響くだけだ。
シンヤ「やっぱダメか。みんなやられちまったのか。」
もうとっくに諦めかけていたがやってみる。いつかどこかで誰かに会えるそう思いながら。
シンヤ「今日はこの辺にしとくか・・・」
ため息をこぼしたその時だった。
「ザザーー・・・もし・し・・・」
シンヤ「!?」
聞こえるはずが無いと思っていた人の声だった。久々に人の声を聞いたせいか驚きで声も出なかった。
「ザザー・・・もしもし?聞こえますか?・・・」
無線機からの信号は同じチームの番号だった。だが応答に出たのはチームの仲間ではなく明らかに少女の声だった。
シンヤ「せせ、生存者か!?俺はシンヤだ!そっちの状況を教えてくれないか?」
愛「わ、私は愛。急に施設がロボットに襲われて逃げてきたの。どこもかしこもビルが壊れてて・・・それでずっと歩いてたの。そしたら死んでる兵隊さんの胸から何か聞こえてこの無線機から発信があるって気づいたの。」
シンヤ「そうか、じゃあ生存者は君だけなんだね。君のいる場所もここと変わらないわけか。とりあえず合流しよう。救命信号発信のスイッチがあるはずなんだ。」
愛「これかしら」
シンヤ「ああ。それだよ。危ないからそこで待っていてほしい。そっちへ向かう。」
無線機に映し出される方角と距離。目的も無くただ歩くのとは違う。数日間生きている者と会っていない彼にはとても喜ばしい事であった。南に2㎞。まさかこんかにも近いとは思っておらず奇跡に近い。彼は久々に足早と駆け抜けた。
シンヤ「やっぱ神は見放しちゃいねーんだな!信じててよかったぜ!」
_____
着いたのは元大型ショッピングモールであっただろう残骸が建っていた。
シンヤ「着いたぞ。どこのフロアだ」
愛「一階の食べ物がたくさん並んでるとこよ。」
シンヤ「なるほどそれで腹をしのいだんだな。俺も腹が減ってたところだ。」
愛「生きてる人に会うの私久々で、すごく安心してる。」
少女からは安堵の息がもれる
シンヤ「そうか!それはよかったもうすぐ会えるぞ。」
愛「もう疲れてたとこだった。」
シンヤ「あぁ。俺もクタクタだ。」
愛「私、生きてて良かった。」
シンヤ「怖かったな愛。でももう大丈夫だ安心し」
愛「待って。何かいる」
和んでいたはずの空気が一気に緊張へと変わった。
シンヤ「おい待て!大人しく身を潜めろ。いいな今行くから絶対動くんじゃない。」
愛「ぅ・・怖いよ・・・早く来て・・・」
その震えた声は無線機からでも恐怖が分かる。忘れてはいけない。いつどこで殺人ロボットが現れてもおかしくないのだから。
シンヤ「待ってろ今行くからな」
電気は通っていない。幸い日が昇っていて隙間や天井の穴から光が溢れる。薄暗いこのフロアで無駄に広いこの建物から少女を探さなくてはならない。
シンヤ「まじか・・・食べ物が並んでる?ってことはスーパーかなにかか」
少女の身に危険が迫っているかもしれない状況でうかつに無線で喋らせるわけにもいかない。微かな光を頼りに周りを警戒しながら進んでいく。
「ん?あれはいったい・・・?」
ヒトのような物が奥の薄暗い陳列棚の並ぶフロアで見えた。
シンヤ(あれは愛と名乗る少女だろうか?)
音を立てずに近づいていく・・・
かすかに聞こえる。何か喋っているようだ。
?「万引キハ犯罪デス。万引キハ犯罪デス。」
シンヤ「げっ・・・!?まじかロボットじゃねーかっ。」
軍で鍛えた彼の目はどんなに暗くても感じる事ができる。その目はあるものとらえた。その瞬間状況を把握した。ロボットがいる陳列棚の下に少女らしき者がいる。もはや時間の問題であろう。
シンヤ「くそっなにが神様だクソくらえっ。」
どうしようか悩んでいるとある物が目に映った。小さく砕けた建物の一部。
シンヤ(よし。これを遠くに。)
彼はその砕けたコンクリート片を遠くに投げた。
ロボット「・・・?誰カイルノデスカ?」
シンヤ「よし、うまくいった。」
やや急ぎめ。ほふく前進で一気に少女の元へと駆け寄る。
シンヤ「助けに来たぞ。」
愛「あ!もしかして無線の!」
シンヤ「シー!急いでここから出よう。危険だ」
愛「グス・・ありがとうおじさん・・」
シンヤ「俺はまだ38だ。まだおっさんではないぞ・・・。」
周りを確認してそっと少女を抱き抱え動いたその時だった。
パキッ
シンヤ(やべ!!)
落ちているガラスの破片に気づかず踏んでしまったようだ。
ロボット「万引キハ犯罪デス。万引キハ犯罪デス。」
シンヤ「やばい!!逃げるぞ!!」
少女を右肩に担ぎ驚きの速さで走っていく。
ロボット「待チナサイ!!」
シンヤ「コンビニでタバコ持ってったりしたぐらいどうでもいいだろ!!しつこいんだよこの鉄くず!!」
ロボット「アナタヲ確保シマス!」
愛「キャーーーー!!」
シンヤ「あー!うるせー!!とりあえず表へ出てこい!」
入った時とは違ってすぐに明るい外へ出た。
シンヤ「ここでなら見晴らしもいい。お前なんかいい的だ。」
ロボット「万引キハ犯罪デス」
愛「こ、こっちへ来る!?」
シンヤ「まあ落ち着けって。すぐにスクラップにしてやる。」
バーン
愛「ヒィッ!」
崩れ落ちるように倒れこむヒト型の機械
シンヤ「ざまあ見ろ人間にたてつくからだ」
愛「こ、殺したの?」
シンヤ「いいや。元々生きてないさ。人間の真似するようプログラミングされた無機物だよ。殺すって言葉はふさわしくないな。」
愛「・・・」
シンヤ「そういえばまともに自己紹介をしてないな。俺はシンヤ、松永慎也。元軍人だ。この日本を守るために機械共と戦ったが負けてしまってこのザマだ。あ、あとまだおじさんじゃないからな、38だいいな。」
愛「あ、う、うん。私は愛。物心つく頃には両親がいなくて、孤児を預かってくれる施設に居たの。名前もそこでつけてもらった。でも施設にもいっぱいロボットが居たからみんなやられちゃった。」
シンヤ「出てこれたのは、君だけなのかい?」
愛「分からない。でも1人で逃げてきたわ。」
シンヤ「そうなのか。気の毒だな。」
愛「そんなことないよ。他の子と喋れないの。私はいつも個室でいろんな勉強しながら生活してたから。友達なんかいなかったわ。ロボットの犬くらいしか。」
シンヤ「そうか、その歳だったら今頃小学校にでもいけるはずだったのに不平等な世界だよ。」
愛「14歳なんですけど・・・。」
シンヤ「・・・ごめん。」
愛「まあいいけどさ。これからどうするの?」
シンヤ「君と同じ生存者を探す。」
愛「どうやって?」
シンヤ「ん?・・・ひたすら歩くしかないだろうな!」
愛「うわあ。一寸先は闇だわー。」
シンヤ「お前それ最近覚えたんだろ。あれだ旅だよ旅。嫌なら置いていくが。」
愛「分かりました。ついてってもいいの?」
シンヤ「任せるよ。」
無機物の魂が宿る人ならざる物が徘徊するこの世界で1人の男と1人の少女の先が見えない旅が今ここで始まる。
ザザーーー
シンヤ「くそっ。どこも繋がらない。もう無線機の予備バッテリーなんか持ってないぞ。誰か!誰かいないのか!」
ザザーーー・・・
支給で渡された無線機で仲間を探してみているが応答は来ない。あるのは砂嵐のような音が延々と響くだけだ。
シンヤ「やっぱダメか。みんなやられちまったのか。」
もうとっくに諦めかけていたがやってみる。いつかどこかで誰かに会えるそう思いながら。
シンヤ「今日はこの辺にしとくか・・・」
ため息をこぼしたその時だった。
「ザザーー・・・もし・し・・・」
シンヤ「!?」
聞こえるはずが無いと思っていた人の声だった。久々に人の声を聞いたせいか驚きで声も出なかった。
「ザザー・・・もしもし?聞こえますか?・・・」
無線機からの信号は同じチームの番号だった。だが応答に出たのはチームの仲間ではなく明らかに少女の声だった。
シンヤ「せせ、生存者か!?俺はシンヤだ!そっちの状況を教えてくれないか?」
愛「わ、私は愛。急に施設がロボットに襲われて逃げてきたの。どこもかしこもビルが壊れてて・・・それでずっと歩いてたの。そしたら死んでる兵隊さんの胸から何か聞こえてこの無線機から発信があるって気づいたの。」
シンヤ「そうか、じゃあ生存者は君だけなんだね。君のいる場所もここと変わらないわけか。とりあえず合流しよう。救命信号発信のスイッチがあるはずなんだ。」
愛「これかしら」
シンヤ「ああ。それだよ。危ないからそこで待っていてほしい。そっちへ向かう。」
無線機に映し出される方角と距離。目的も無くただ歩くのとは違う。数日間生きている者と会っていない彼にはとても喜ばしい事であった。南に2㎞。まさかこんかにも近いとは思っておらず奇跡に近い。彼は久々に足早と駆け抜けた。
シンヤ「やっぱ神は見放しちゃいねーんだな!信じててよかったぜ!」
_____
着いたのは元大型ショッピングモールであっただろう残骸が建っていた。
シンヤ「着いたぞ。どこのフロアだ」
愛「一階の食べ物がたくさん並んでるとこよ。」
シンヤ「なるほどそれで腹をしのいだんだな。俺も腹が減ってたところだ。」
愛「生きてる人に会うの私久々で、すごく安心してる。」
少女からは安堵の息がもれる
シンヤ「そうか!それはよかったもうすぐ会えるぞ。」
愛「もう疲れてたとこだった。」
シンヤ「あぁ。俺もクタクタだ。」
愛「私、生きてて良かった。」
シンヤ「怖かったな愛。でももう大丈夫だ安心し」
愛「待って。何かいる」
和んでいたはずの空気が一気に緊張へと変わった。
シンヤ「おい待て!大人しく身を潜めろ。いいな今行くから絶対動くんじゃない。」
愛「ぅ・・怖いよ・・・早く来て・・・」
その震えた声は無線機からでも恐怖が分かる。忘れてはいけない。いつどこで殺人ロボットが現れてもおかしくないのだから。
シンヤ「待ってろ今行くからな」
電気は通っていない。幸い日が昇っていて隙間や天井の穴から光が溢れる。薄暗いこのフロアで無駄に広いこの建物から少女を探さなくてはならない。
シンヤ「まじか・・・食べ物が並んでる?ってことはスーパーかなにかか」
少女の身に危険が迫っているかもしれない状況でうかつに無線で喋らせるわけにもいかない。微かな光を頼りに周りを警戒しながら進んでいく。
「ん?あれはいったい・・・?」
ヒトのような物が奥の薄暗い陳列棚の並ぶフロアで見えた。
シンヤ(あれは愛と名乗る少女だろうか?)
音を立てずに近づいていく・・・
かすかに聞こえる。何か喋っているようだ。
?「万引キハ犯罪デス。万引キハ犯罪デス。」
シンヤ「げっ・・・!?まじかロボットじゃねーかっ。」
軍で鍛えた彼の目はどんなに暗くても感じる事ができる。その目はあるものとらえた。その瞬間状況を把握した。ロボットがいる陳列棚の下に少女らしき者がいる。もはや時間の問題であろう。
シンヤ「くそっなにが神様だクソくらえっ。」
どうしようか悩んでいるとある物が目に映った。小さく砕けた建物の一部。
シンヤ(よし。これを遠くに。)
彼はその砕けたコンクリート片を遠くに投げた。
ロボット「・・・?誰カイルノデスカ?」
シンヤ「よし、うまくいった。」
やや急ぎめ。ほふく前進で一気に少女の元へと駆け寄る。
シンヤ「助けに来たぞ。」
愛「あ!もしかして無線の!」
シンヤ「シー!急いでここから出よう。危険だ」
愛「グス・・ありがとうおじさん・・」
シンヤ「俺はまだ38だ。まだおっさんではないぞ・・・。」
周りを確認してそっと少女を抱き抱え動いたその時だった。
パキッ
シンヤ(やべ!!)
落ちているガラスの破片に気づかず踏んでしまったようだ。
ロボット「万引キハ犯罪デス。万引キハ犯罪デス。」
シンヤ「やばい!!逃げるぞ!!」
少女を右肩に担ぎ驚きの速さで走っていく。
ロボット「待チナサイ!!」
シンヤ「コンビニでタバコ持ってったりしたぐらいどうでもいいだろ!!しつこいんだよこの鉄くず!!」
ロボット「アナタヲ確保シマス!」
愛「キャーーーー!!」
シンヤ「あー!うるせー!!とりあえず表へ出てこい!」
入った時とは違ってすぐに明るい外へ出た。
シンヤ「ここでなら見晴らしもいい。お前なんかいい的だ。」
ロボット「万引キハ犯罪デス」
愛「こ、こっちへ来る!?」
シンヤ「まあ落ち着けって。すぐにスクラップにしてやる。」
バーン
愛「ヒィッ!」
崩れ落ちるように倒れこむヒト型の機械
シンヤ「ざまあ見ろ人間にたてつくからだ」
愛「こ、殺したの?」
シンヤ「いいや。元々生きてないさ。人間の真似するようプログラミングされた無機物だよ。殺すって言葉はふさわしくないな。」
愛「・・・」
シンヤ「そういえばまともに自己紹介をしてないな。俺はシンヤ、松永慎也。元軍人だ。この日本を守るために機械共と戦ったが負けてしまってこのザマだ。あ、あとまだおじさんじゃないからな、38だいいな。」
愛「あ、う、うん。私は愛。物心つく頃には両親がいなくて、孤児を預かってくれる施設に居たの。名前もそこでつけてもらった。でも施設にもいっぱいロボットが居たからみんなやられちゃった。」
シンヤ「出てこれたのは、君だけなのかい?」
愛「分からない。でも1人で逃げてきたわ。」
シンヤ「そうなのか。気の毒だな。」
愛「そんなことないよ。他の子と喋れないの。私はいつも個室でいろんな勉強しながら生活してたから。友達なんかいなかったわ。ロボットの犬くらいしか。」
シンヤ「そうか、その歳だったら今頃小学校にでもいけるはずだったのに不平等な世界だよ。」
愛「14歳なんですけど・・・。」
シンヤ「・・・ごめん。」
愛「まあいいけどさ。これからどうするの?」
シンヤ「君と同じ生存者を探す。」
愛「どうやって?」
シンヤ「ん?・・・ひたすら歩くしかないだろうな!」
愛「うわあ。一寸先は闇だわー。」
シンヤ「お前それ最近覚えたんだろ。あれだ旅だよ旅。嫌なら置いていくが。」
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