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第9話 辣腕侍女の婚活戦略、異常ナシ 1 ☆
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私は結構な上機嫌で歩いていました。
友人のところへ、借りていた書物を返却するためです。
季節は折しも春。外を散策するにはちょうど良い季節です。私の春もそろそろかな、なんて思いながら歩いているといくらも経たないうちに友人の邸宅へと到着しました。
取り次ぎの方に名前と用件を告げると、友人の私室の方へと案内されます。こちらの御宅の中庭も丁寧に手入れされ、李がもう少しで咲きそうな頃合いです。
案内されて友人の私室へ着くと、友人もまた上機嫌で待っていました。
「あら、英凛。いらっしゃい」
「こんにちは、紫喜さん。書物を返しに来たの。ありがとう」
「まあ、もう少し借りていても良かったのに」
「でも、もう随分と堪能させてもらったから」
「そう。それは良かったわ。ふふふ」
「うふふふふ」
どこか白々しいような含むような微笑みの応酬ですが、お互いにこれはいつものこと。
勧められて席に座ると、お茶とお菓子が出されました。
あらこのお菓子、この間旦那様がお土産に買ってきたものと一緒です。さては旦那様、こちらの近くで手っ取り早く買って済ませましたね。まあ多分、旦那様のことですからとりあえず思いついて買っただけでしょうけど。
「でも英凛、折角私がこれを貸したのに、縛りの方はイマイチだったわよ」
「それはだって貴女と違って付け焼き刃なんですから。ちなみにどの辺がまずかったの?」
彼女が空中にすすっと図を書いて説明しました。あの一瞬しか見ていないのに指摘できるほど覚えているとは流石です。
「まずは結び目の位置ね。腹筋を強調したいのは分かったけど、お臍は隠しちゃダメよ。お臍を責めることもあるんだから」
「なるほど……」
彼女のこの手のことに関する造詣の深さにはいつも舌を巻く思いがします。もっともいつだったかそれを言ったら、「貴女の技術には負けるわ」と返されましたが。
「それから余った縄の処理が雑すぎ」
「だって……旦那様の体が大きいから長めのを借りたら、流石に長すぎて」
「そう言う時は後ろで飾り結びを作るのよ。可愛いわよ?」
旦那様に飾り結び。それは確かに可愛らしそうです。
そう言えば縄も借りていたのですが、旦那様の汗とかアレとかアレとかが染み込んでしまったので弁償すると彼女に言ったら、いいものを見せてくれたお礼にあげると言われました。
また楽しみが増えそうです。
「でも……ふふふ」
彼女がにんまりと笑います。おそらく上機嫌の理由はこれです。
「もう、あの胸筋! 本当、堪んないわ! ぱんぱんに膨らんだ胸板に赤い縄が食い込んで、どれだけいやらしい仔猫ちゃんなの⁉︎」
突っ込みたいところは色々ありますが、とりあえず縛られた旦那様の胸筋が彼女を満足させてくれたようなのでヨシとします。
「でも亀甲だと胸筋と腹筋が主体なのが残念だわ……二の腕とか太腿とか……はっ、お尻とか! ねぇ、英凛。またちょっと貸して……」
「ダメ」
有無を言わさず黙らせます。この間、縛った上半身を見せたのだってかなり譲歩した結果なのです。私の旦那様のいやらしい姿を、これ以上みだりに他人に見せる訳にはいきません。
「ちょ、ちょっとした冗談よ……それにしてもよく躾けたわね。私、結構笑いを堪えるのに必死だったのよ?」
「旦那様、単純ですから」
冷静に考えれば、私が提示した策には一つ抜け穴があるのです。
もしも相手が、「再調教」も好むところだった場合、あの手は通用しません。
ただ今回は彼女が相手だったのでその心配はなかったのですが、旦那様はそこには全く突っ込むことなく、全面的に私を信頼して下さいました。旦那様、チョロすぎです。チョロすぎて本当に心配になります。私みたいな悪い女に引っかかったりしないかと。
「でも本当に残念。滅多にいない逸材だったのに、英凛のじゃ仕方ないわ」
「あら、紫喜さんの好みはもう少し違うのではありません?」
「なんのことかしら?」
「もっと自分に自信を持っていて、自尊心や向上心が高めで――そしてその心をへし折って服従させる方がお好きでしょう?」
「いやね、全部見透かされてる気分だわ」
そう言いながらも彼女はふふっと笑っています。早く彼女にも素敵な人と出会いがあったらいいのに、と思います。私と旦那様みたいな。
「それで……貴女の『旦那様』はまだお見合いを続けるの?」
「そうみたいです」
「懲りないわね。さっさと諦めればいいのに」
そう、旦那様はまた清寧王様のところへ出かけて行きました。お仕事、なんて仰ってましたけど、多分今回の苦情と次回の依頼でしょう。目が泳いでいましたから。本当に分かりやすい旦那様です。
「……でも、鯉は既に生け簀に入っていますから」
「……『旦那様』に同情するわ」
彼女に苦笑されましたが、私としては彼女のお父上にもっと同情します。
「そうそう、英凛。これ、貴女にあげるわ」
「まあ、これ……」
「私の飼ってる豚の一人が持って来たの。ちょうどいいからどうぞ。ふふふ」
「ありがたく頂戴します。うふふ」
おそらくこんなものを持って来られるのは、彼女の飼っている豚――よく躾けられた奴隷たちのうちでも、薬府にいるあの方でしょうね、と今頃は宮中にいるさる高官を思い浮かべます。
そう言えば、彼女と知り合ったのもとある高官が縁でした。彼女の奴隷だった高官が、たまたま清寧王様のところへ出かけていた私に一目惚れして、一悶着あったのがきっかけです。
彼女は偶然にもご近所さんで年も近く、話も合ったので、原因となった高官そっちのけで意気投合したのでした。ちなみにその高官は「再教育」されて、今でも彼女の良き信者です。
お土産をいただいて、別れの挨拶をすると私は上機嫌で帰路につきました。
さっきから上機嫌な理由は、まあ彼女と似たり寄ったりなのですが、昨日の旦那様があまりにも可愛らしかったからです。
縛られた状態で身動きが取れないし、約束した報酬だから「仕方なく」を言い訳に腰を揺らす旦那様は、可愛いの一言につきました。思い返しただけで、お菓子を食べた時よりも涎が零れそうです。
私は彼女と違って緊縛の趣味はなかったのですが、なかなかどうしていいものでした。旦那様を縛っている時は、あの大柄な旦那様が幾分か不安そうにでも少し興奮しながら私の言いなりになっているのが、可愛らしすぎて悶え死にするかと思いました。
練習台と称して旦那様に縛られた時は、文字通り旦那様に束縛されているかと思うとたまらなく欲情しましたし、そんな私を見て昂らせている旦那様を見てまた私も……というある意味「悪循環」でした。
紫喜さんからいただいたお土産を使ったら、きっと旦那様はもっと愛らしくなるんだろうな、と思うとこれも楽しみです。
ああ、そう言えば昨日これがあればもっと楽しめたのに……と私は昨日のことに想いを馳せました。
***
紫喜さんのところから帰宅して浮かれている旦那様の縄を解いて差し上げると言えば、旦那様は全く疑うことなく私に身を委ねて、そしてあっという間に縛り上げることができました。
本当にチョロい旦那様です。
きっと辺境でも父様と清寧王様にいい様に遊ばれていたんだろうな、と容易に想像できます。
寝台に押し倒して(旦那様が重量級すぎて、どちらかと言うと突き飛ばして、が正確な表現ですけれど)、既に膨らんだ部分を下衣の上からさわさわとなぞります。
顔を真っ赤にさせて震えている旦那様の可愛いことと言ったら!
一体昨日の私は、何回可愛いと思ったことでしょうか。愛らしすぎて悶え死にする、そんな状況をもっと簡潔に適切に表現する言葉があればいいのですが。
そんな可愛らしい旦那様のものは、可愛らしさとは縁遠い凶悪な大きさです。まあ、お体に見合った大きさと言えばそうなのですが、これだけ大きいと軍装した時に邪魔になったりしないのかしら、と思ってしまいました。
取り出した旦那様の屹立は既に涙を零していて、そっと優しく口付けて涙を拭いていきます。もう本当に旦那様のこれは私にとって愛おしすぎて、何時間でも口付けられそうです。
「英、凛……っ」
旦那様が私を制止させるように、私の髪を梳きました。大きな手で撫でられるのは本当に気持ち良いのですが、旦那様、そんな顔で私を見ても逆効果ですよ。
お顔には「もっと」と書いてありますから。
口付けだけのもどかしい刺激に焦れた旦那様から無言の催促を受けたので、仕方なく手を伸ばして竿を握ってあげました。
熱くて太い幹には血管がくっきりと浮き出ていて、先走りを絡めて擦り上げると旦那様の眉根が少し寄せられます。この表情がたまりません。
でも今日は、旦那様の「躾」をもう一段階進めようと思っていました。
さっきから私は竿だけをひたすら攻めています。時々裏筋に触れそうで触れないところまで指を滑らせたり、亀頭に息を吹きかけたりはしているのですが、蜜を零すそこには一切触れていません。
「え、英凛……っ」
ようやくそれに気づいたらしい旦那様から声がかかりますが、私はシラを切ります。
「何ですか? 気持ち良くありませんか?」
「い、いや……気持ちは、良いんだが……」
言いたい、でも恥ずかしくて言えない、そんな風に身悶えしている旦那様の可愛さは本当に殺人級です。乙女ですか、まったく。
「言いたいことは、ちゃんと仰って下さいね」
そう言ってにっこり笑うと、旦那様も意図を悟ったようです。
「……っ! う…………」
それでもまだ旦那様は躊躇っているようでしたので、後押しするように手を握る形にしたまま竿から浮かせ、ゆーっくりと先端の方へ滑らせます。そして手を開いて手のひらで亀頭をぐりぐりとするいつもの動作を、触れないように見せつけるようにすれば、流石に旦那様も陥落しました。
「……っく…………さ、先も……して、くれ……っ」
聞こえるか聞こえないかの小さい声で、顔を背けて言う旦那様の可愛らしさは(以下略)
私、興奮しすぎて脳の血管切れるかと思いました。
まあ、「おねだり」の仕方としては正直落第点なのですが、今日は初日なので許して差し上げます。あんまり急いで躾しても楽しくないですしね。
「ちゃんと言えた旦那様に、ご褒美です」
わたしはよいしょっと自分の胸を抱腹ごと持ち上げると、口の中をモゴモゴと動かして唾液を溜め、それを自分の谷間に垂らします。
「え、英凛……? 何を……?」
そしてその状態の胸を、ばっきばきに勃起した旦那様のものにズボッとはめました。
「…………‼︎」
旦那様は言葉さえ出ない状態で、口をぱくぱくとさせています。本当に鯉みたいです。生け簀どころか、俎板の上で今まさに捌かれている鯉ですけど。
私はもう一度唾液を追加で垂らすと、挟んだ旦那様のものをゆっくり揺らします。旦那様のが大きすぎて、最初の唾液だけじゃ足りなかったんですよね。これは想定外でした。
それにしても私の胸はそれなりに大きい方だと自覚していますが、それでも全部包むのにぎりぎりな旦那様って、やっぱり規格外です。
「うっ……あ……っ」
胸で圧迫したり揺らしたりしながら震える先端をぺろぺろと舐め回すと、旦那様の丸太みたいな硬い太腿が一層強張ります。
旦那様は顔を真っ赤にさせながらも未知の体験から目を逸らせないようでした。私は旦那様の体の中で唯一柔らかいと言っていい先っぽを食むと、味わうように舌の上で転がします。
旦那様の呼吸が早くなってきました。お預けさせて、縄で縛られているせいかいつもより少し早いみたいです。もう少し味わっていたかったのですが仕方ありません。
あんまり我慢させすぎたら、旦那様泣いちゃいそうですし。
「えっ……り、ん……っ……離、せ……っ」
この後に及んで外に出そうとしている往生際の悪い旦那様を追い詰めるように、先端をちゅうちゅうと吸い上げると旦那様の腰がびくびくと震えました。
「…………っく! 出、る…………っ!」
その瞬間に、熱い飛沫が口の中に一気に広がって、喉に絡みつくそれをごくりと嚥下しました。この間は本当に一雫といった程度でしたけど、今日は満足です。
「……ご馳走様です」
「~~~~っ!」
旦那様は未だに精飲に慣れないようで、何だか恥ずかしさのあまり震えています。私は名残惜しみながら旦那様のものを胸から抜くと、トドメを刺すように自分の体に指を滑らせました。
「旦那様の精液が……喉から食道を通って……熱さで私の臓腑を犯しているみたいです」
あ、旦那様が固まりました。
ちょっとやりすぎましたかね。
私は苦笑して旦那様の頬に小さく口付けると、旦那様を戒めていた縄を今度こそほどきました。それで旦那様も正気に返って、体からも気持ちからも緊張が解けたようです。
「成功報酬、しかといただきました。またのご利用お待ちしてます」
「次はないっ!」
強がる旦那様にクスリと笑って、私は旦那様の部屋を退出しました。
***
「英凛、帰ったぞー」
玄関の方から旦那様の声が聞こえて、私はハッと我に返りました。
いけない、昨夜の旦那様があまりにも可愛いものだから、ついつい物思いにふけってしまいました。
「おかえりなさいませ、旦那様」
厨房を出てパタパタと旦那様に駆け寄れば、ごくごく当たり前のように旦那様が薄い外套を手渡してきます。
いいですね、こういうの。まるで新婚みたいで。
「今夜は肉団子の甘酢あんかけですよ」
「楽しみだ。それ、好きなんだ」
「良かったです」
ええ、知ってます。旦那様の好みの味つけも苦手な食べ物も、好きな武具や気に入ってる馬の性格も、それこそ旦那様が知らないような見えないところにある黒子まで知ってますとも。
だから早く諦めて下さいね、旦那様。
友人のところへ、借りていた書物を返却するためです。
季節は折しも春。外を散策するにはちょうど良い季節です。私の春もそろそろかな、なんて思いながら歩いているといくらも経たないうちに友人の邸宅へと到着しました。
取り次ぎの方に名前と用件を告げると、友人の私室の方へと案内されます。こちらの御宅の中庭も丁寧に手入れされ、李がもう少しで咲きそうな頃合いです。
案内されて友人の私室へ着くと、友人もまた上機嫌で待っていました。
「あら、英凛。いらっしゃい」
「こんにちは、紫喜さん。書物を返しに来たの。ありがとう」
「まあ、もう少し借りていても良かったのに」
「でも、もう随分と堪能させてもらったから」
「そう。それは良かったわ。ふふふ」
「うふふふふ」
どこか白々しいような含むような微笑みの応酬ですが、お互いにこれはいつものこと。
勧められて席に座ると、お茶とお菓子が出されました。
あらこのお菓子、この間旦那様がお土産に買ってきたものと一緒です。さては旦那様、こちらの近くで手っ取り早く買って済ませましたね。まあ多分、旦那様のことですからとりあえず思いついて買っただけでしょうけど。
「でも英凛、折角私がこれを貸したのに、縛りの方はイマイチだったわよ」
「それはだって貴女と違って付け焼き刃なんですから。ちなみにどの辺がまずかったの?」
彼女が空中にすすっと図を書いて説明しました。あの一瞬しか見ていないのに指摘できるほど覚えているとは流石です。
「まずは結び目の位置ね。腹筋を強調したいのは分かったけど、お臍は隠しちゃダメよ。お臍を責めることもあるんだから」
「なるほど……」
彼女のこの手のことに関する造詣の深さにはいつも舌を巻く思いがします。もっともいつだったかそれを言ったら、「貴女の技術には負けるわ」と返されましたが。
「それから余った縄の処理が雑すぎ」
「だって……旦那様の体が大きいから長めのを借りたら、流石に長すぎて」
「そう言う時は後ろで飾り結びを作るのよ。可愛いわよ?」
旦那様に飾り結び。それは確かに可愛らしそうです。
そう言えば縄も借りていたのですが、旦那様の汗とかアレとかアレとかが染み込んでしまったので弁償すると彼女に言ったら、いいものを見せてくれたお礼にあげると言われました。
また楽しみが増えそうです。
「でも……ふふふ」
彼女がにんまりと笑います。おそらく上機嫌の理由はこれです。
「もう、あの胸筋! 本当、堪んないわ! ぱんぱんに膨らんだ胸板に赤い縄が食い込んで、どれだけいやらしい仔猫ちゃんなの⁉︎」
突っ込みたいところは色々ありますが、とりあえず縛られた旦那様の胸筋が彼女を満足させてくれたようなのでヨシとします。
「でも亀甲だと胸筋と腹筋が主体なのが残念だわ……二の腕とか太腿とか……はっ、お尻とか! ねぇ、英凛。またちょっと貸して……」
「ダメ」
有無を言わさず黙らせます。この間、縛った上半身を見せたのだってかなり譲歩した結果なのです。私の旦那様のいやらしい姿を、これ以上みだりに他人に見せる訳にはいきません。
「ちょ、ちょっとした冗談よ……それにしてもよく躾けたわね。私、結構笑いを堪えるのに必死だったのよ?」
「旦那様、単純ですから」
冷静に考えれば、私が提示した策には一つ抜け穴があるのです。
もしも相手が、「再調教」も好むところだった場合、あの手は通用しません。
ただ今回は彼女が相手だったのでその心配はなかったのですが、旦那様はそこには全く突っ込むことなく、全面的に私を信頼して下さいました。旦那様、チョロすぎです。チョロすぎて本当に心配になります。私みたいな悪い女に引っかかったりしないかと。
「でも本当に残念。滅多にいない逸材だったのに、英凛のじゃ仕方ないわ」
「あら、紫喜さんの好みはもう少し違うのではありません?」
「なんのことかしら?」
「もっと自分に自信を持っていて、自尊心や向上心が高めで――そしてその心をへし折って服従させる方がお好きでしょう?」
「いやね、全部見透かされてる気分だわ」
そう言いながらも彼女はふふっと笑っています。早く彼女にも素敵な人と出会いがあったらいいのに、と思います。私と旦那様みたいな。
「それで……貴女の『旦那様』はまだお見合いを続けるの?」
「そうみたいです」
「懲りないわね。さっさと諦めればいいのに」
そう、旦那様はまた清寧王様のところへ出かけて行きました。お仕事、なんて仰ってましたけど、多分今回の苦情と次回の依頼でしょう。目が泳いでいましたから。本当に分かりやすい旦那様です。
「……でも、鯉は既に生け簀に入っていますから」
「……『旦那様』に同情するわ」
彼女に苦笑されましたが、私としては彼女のお父上にもっと同情します。
「そうそう、英凛。これ、貴女にあげるわ」
「まあ、これ……」
「私の飼ってる豚の一人が持って来たの。ちょうどいいからどうぞ。ふふふ」
「ありがたく頂戴します。うふふ」
おそらくこんなものを持って来られるのは、彼女の飼っている豚――よく躾けられた奴隷たちのうちでも、薬府にいるあの方でしょうね、と今頃は宮中にいるさる高官を思い浮かべます。
そう言えば、彼女と知り合ったのもとある高官が縁でした。彼女の奴隷だった高官が、たまたま清寧王様のところへ出かけていた私に一目惚れして、一悶着あったのがきっかけです。
彼女は偶然にもご近所さんで年も近く、話も合ったので、原因となった高官そっちのけで意気投合したのでした。ちなみにその高官は「再教育」されて、今でも彼女の良き信者です。
お土産をいただいて、別れの挨拶をすると私は上機嫌で帰路につきました。
さっきから上機嫌な理由は、まあ彼女と似たり寄ったりなのですが、昨日の旦那様があまりにも可愛らしかったからです。
縛られた状態で身動きが取れないし、約束した報酬だから「仕方なく」を言い訳に腰を揺らす旦那様は、可愛いの一言につきました。思い返しただけで、お菓子を食べた時よりも涎が零れそうです。
私は彼女と違って緊縛の趣味はなかったのですが、なかなかどうしていいものでした。旦那様を縛っている時は、あの大柄な旦那様が幾分か不安そうにでも少し興奮しながら私の言いなりになっているのが、可愛らしすぎて悶え死にするかと思いました。
練習台と称して旦那様に縛られた時は、文字通り旦那様に束縛されているかと思うとたまらなく欲情しましたし、そんな私を見て昂らせている旦那様を見てまた私も……というある意味「悪循環」でした。
紫喜さんからいただいたお土産を使ったら、きっと旦那様はもっと愛らしくなるんだろうな、と思うとこれも楽しみです。
ああ、そう言えば昨日これがあればもっと楽しめたのに……と私は昨日のことに想いを馳せました。
***
紫喜さんのところから帰宅して浮かれている旦那様の縄を解いて差し上げると言えば、旦那様は全く疑うことなく私に身を委ねて、そしてあっという間に縛り上げることができました。
本当にチョロい旦那様です。
きっと辺境でも父様と清寧王様にいい様に遊ばれていたんだろうな、と容易に想像できます。
寝台に押し倒して(旦那様が重量級すぎて、どちらかと言うと突き飛ばして、が正確な表現ですけれど)、既に膨らんだ部分を下衣の上からさわさわとなぞります。
顔を真っ赤にさせて震えている旦那様の可愛いことと言ったら!
一体昨日の私は、何回可愛いと思ったことでしょうか。愛らしすぎて悶え死にする、そんな状況をもっと簡潔に適切に表現する言葉があればいいのですが。
そんな可愛らしい旦那様のものは、可愛らしさとは縁遠い凶悪な大きさです。まあ、お体に見合った大きさと言えばそうなのですが、これだけ大きいと軍装した時に邪魔になったりしないのかしら、と思ってしまいました。
取り出した旦那様の屹立は既に涙を零していて、そっと優しく口付けて涙を拭いていきます。もう本当に旦那様のこれは私にとって愛おしすぎて、何時間でも口付けられそうです。
「英、凛……っ」
旦那様が私を制止させるように、私の髪を梳きました。大きな手で撫でられるのは本当に気持ち良いのですが、旦那様、そんな顔で私を見ても逆効果ですよ。
お顔には「もっと」と書いてありますから。
口付けだけのもどかしい刺激に焦れた旦那様から無言の催促を受けたので、仕方なく手を伸ばして竿を握ってあげました。
熱くて太い幹には血管がくっきりと浮き出ていて、先走りを絡めて擦り上げると旦那様の眉根が少し寄せられます。この表情がたまりません。
でも今日は、旦那様の「躾」をもう一段階進めようと思っていました。
さっきから私は竿だけをひたすら攻めています。時々裏筋に触れそうで触れないところまで指を滑らせたり、亀頭に息を吹きかけたりはしているのですが、蜜を零すそこには一切触れていません。
「え、英凛……っ」
ようやくそれに気づいたらしい旦那様から声がかかりますが、私はシラを切ります。
「何ですか? 気持ち良くありませんか?」
「い、いや……気持ちは、良いんだが……」
言いたい、でも恥ずかしくて言えない、そんな風に身悶えしている旦那様の可愛さは本当に殺人級です。乙女ですか、まったく。
「言いたいことは、ちゃんと仰って下さいね」
そう言ってにっこり笑うと、旦那様も意図を悟ったようです。
「……っ! う…………」
それでもまだ旦那様は躊躇っているようでしたので、後押しするように手を握る形にしたまま竿から浮かせ、ゆーっくりと先端の方へ滑らせます。そして手を開いて手のひらで亀頭をぐりぐりとするいつもの動作を、触れないように見せつけるようにすれば、流石に旦那様も陥落しました。
「……っく…………さ、先も……して、くれ……っ」
聞こえるか聞こえないかの小さい声で、顔を背けて言う旦那様の可愛らしさは(以下略)
私、興奮しすぎて脳の血管切れるかと思いました。
まあ、「おねだり」の仕方としては正直落第点なのですが、今日は初日なので許して差し上げます。あんまり急いで躾しても楽しくないですしね。
「ちゃんと言えた旦那様に、ご褒美です」
わたしはよいしょっと自分の胸を抱腹ごと持ち上げると、口の中をモゴモゴと動かして唾液を溜め、それを自分の谷間に垂らします。
「え、英凛……? 何を……?」
そしてその状態の胸を、ばっきばきに勃起した旦那様のものにズボッとはめました。
「…………‼︎」
旦那様は言葉さえ出ない状態で、口をぱくぱくとさせています。本当に鯉みたいです。生け簀どころか、俎板の上で今まさに捌かれている鯉ですけど。
私はもう一度唾液を追加で垂らすと、挟んだ旦那様のものをゆっくり揺らします。旦那様のが大きすぎて、最初の唾液だけじゃ足りなかったんですよね。これは想定外でした。
それにしても私の胸はそれなりに大きい方だと自覚していますが、それでも全部包むのにぎりぎりな旦那様って、やっぱり規格外です。
「うっ……あ……っ」
胸で圧迫したり揺らしたりしながら震える先端をぺろぺろと舐め回すと、旦那様の丸太みたいな硬い太腿が一層強張ります。
旦那様は顔を真っ赤にさせながらも未知の体験から目を逸らせないようでした。私は旦那様の体の中で唯一柔らかいと言っていい先っぽを食むと、味わうように舌の上で転がします。
旦那様の呼吸が早くなってきました。お預けさせて、縄で縛られているせいかいつもより少し早いみたいです。もう少し味わっていたかったのですが仕方ありません。
あんまり我慢させすぎたら、旦那様泣いちゃいそうですし。
「えっ……り、ん……っ……離、せ……っ」
この後に及んで外に出そうとしている往生際の悪い旦那様を追い詰めるように、先端をちゅうちゅうと吸い上げると旦那様の腰がびくびくと震えました。
「…………っく! 出、る…………っ!」
その瞬間に、熱い飛沫が口の中に一気に広がって、喉に絡みつくそれをごくりと嚥下しました。この間は本当に一雫といった程度でしたけど、今日は満足です。
「……ご馳走様です」
「~~~~っ!」
旦那様は未だに精飲に慣れないようで、何だか恥ずかしさのあまり震えています。私は名残惜しみながら旦那様のものを胸から抜くと、トドメを刺すように自分の体に指を滑らせました。
「旦那様の精液が……喉から食道を通って……熱さで私の臓腑を犯しているみたいです」
あ、旦那様が固まりました。
ちょっとやりすぎましたかね。
私は苦笑して旦那様の頬に小さく口付けると、旦那様を戒めていた縄を今度こそほどきました。それで旦那様も正気に返って、体からも気持ちからも緊張が解けたようです。
「成功報酬、しかといただきました。またのご利用お待ちしてます」
「次はないっ!」
強がる旦那様にクスリと笑って、私は旦那様の部屋を退出しました。
***
「英凛、帰ったぞー」
玄関の方から旦那様の声が聞こえて、私はハッと我に返りました。
いけない、昨夜の旦那様があまりにも可愛いものだから、ついつい物思いにふけってしまいました。
「おかえりなさいませ、旦那様」
厨房を出てパタパタと旦那様に駆け寄れば、ごくごく当たり前のように旦那様が薄い外套を手渡してきます。
いいですね、こういうの。まるで新婚みたいで。
「今夜は肉団子の甘酢あんかけですよ」
「楽しみだ。それ、好きなんだ」
「良かったです」
ええ、知ってます。旦那様の好みの味つけも苦手な食べ物も、好きな武具や気に入ってる馬の性格も、それこそ旦那様が知らないような見えないところにある黒子まで知ってますとも。
だから早く諦めて下さいね、旦那様。
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