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第7話 本当、ついてない
しおりを挟む「奥様、大丈夫ですか?」
春梅に優しくそう問いかけられて、私は力なく微笑んだ。
「もう突っ込む元気もないわ……」
どこかで聞いたこのやり取り。
立ち上がろうとしたら足がふらついて、あえなく再び寝台に沈んだ。春梅が慌てて腰や足をさすってくれるのが有難い。
あいつらホント、容赦ないわ……
こっちは病み上がりだからって言ったら、ここしばらくの間は激しくはされなかった。けれどもねっとりじわじわ真綿で首を絞めるように責められて、かえって辛い。
それを愉しそうにやってる旦那様は鬼畜だし、それを見て興奮してる武松は武松でド変態だし。
武松の変態っぷりは筋金入りだった。
まず、私が旦那様に弄ばれてる状態じゃないと興奮しない。一度、武松がうっかり私の着替え中に乱入するというラッキースケベがあったんだけど、あいつ微塵も動じてなかった。
それでなんかムカついて、旦那様がいない時にかるーく誘ってみたけど、ピクりとも反応しなかった。どうなってんの、金蓮のスイカおっぱい晒したのに。晒し損だよ。寒いだけだったよ。
昔、金蓮が誘った時に拒否された本当の訳が分かった。
女性単体には興奮しないらしい。
そのくせ私がちょっとでも旦那様に手を出されてると、ありえない早さでギンギンになってる。おまけに基本的に中に挿れない。口か手でした後に顔か胸にぶっかけられるのが一番多い。
一回気を遣って、挿入しなくていいのかと聞いてみたんだけど、帰ってきた答えは「西門慶殿が中出しした後なら」と言われてドン引いた。
既に汚されてるのがポイントらしい。この人、本物だわ……と思った。
そんな訳で爽やかイケメン武松は、爽やか残念変態イケメンに降格した。
鬼畜と変態に挟まれて、私の体は休まる暇がない。
それで庭に出てぐったりしていようものなら、大奥様から「だらしない」と叱責され、嬌児姐様には体しか取り柄がないんだから精々頑張れと嫌味を言われ、玉楼姐様は相変わらずフラフラと通り過ぎて行き、厨房を受け持つ雪娥姐様には武松が増えたせいで食材の減りが早くなったと文句を言われる。
理不尽だ。
ゲームの世界に転生したらもっとイケメンにちやほやされるもんじゃないの⁉
何でこんなに私の転生はついてないの⁉︎
かくなる上は、この手段は取りたくなかったけど……
自分の体の休息のために、やるしかないのか。
私は隣でお茶のお代わりを淹れてくれている春梅をちらりと見た。
春梅は年齢は十七歳、身長は金蓮と同じくらいだけど童顔で可愛らしく、胸は現実世界での私といい勝負なレベルで足元を見るときに視界を邪魔しない優れた仕様になっている。
見た目は金蓮とは正反対だけれど、ハキハキとしたしっかりもので、姐様たちの侍女が相手でも物怖じしないので、金蓮とはウマが合っていい主従になっている。
が、そんな春梅も旦那様の餌食になる。
というか、この屋敷の女たちは上から下まで大体旦那様の手が付いていると思う。
もっとも、春梅が旦那様に食べられちゃうのは金蓮のせいだ。
ゲームの中で、金蓮は他の女たちを追い落とす。それは春梅とて例外ではなく、旦那様が春梅に手を出そうものなら春梅も対象になってしまう。
けれども金蓮は気が強いが結構情に厚い性格だ。自分に忠実に支えてくれている春梅を虐めるのは忍びない。
そこで金蓮が出した解決策は。
答え:春梅も交えて3Pをする
意味分からん!
敵にするくらいなら味方にひき込めってか⁉
金蓮の思考回路も分からんけど、開発元は本当に何がしたいの!
乙女ゲームにガールズラブ要素はいらないよ!
そんな訳で私はゲームのストーリーに忠実に、春梅を人身御供に差し出すことにした。
ごめん、春梅。本当に、ごめん。
この手だけはやりたくなかったけど、私もうあの鬼畜と変態のコンボに精神が耐えられない。
春梅が混ざっててくれれば、春梅が旦那様の相手をしている間、休めるし。
あわよくば春梅が旦那様持って行っていいから。
そうしてその日の夜、私は閨に何も知らない春梅を引っ張り込んだ。
――けれども、何も知らないのは私の方だった。
「……へぇ、今日はそういう趣向なの?」
閨へとやってきた旦那様が、春梅を見て意味深に笑った。
「……たまには、いいかと思いまして」
「金蓮も好きだねぇ……まあ、私はいいけれど。でも、いつもので足りなかっただなんて、それは申し訳なかったかな」
へ?
十分足りてますけど? お腹いっぱいで食傷気味なくらいですけど?
旦那様の言葉が理解できなくてきょとんとしていると、春梅が寝台に上がってきて、金蓮の体にするりと巻きついた。
わーお、春梅ってば積極的。
さすが金蓮の侍女だ。
「奥様……嬉しい、夢みたい」
え、えっ……春梅ってばそっち系?
ちょっと早まったかな……と思う間もなく春梅に口づけられた。
あの、春梅さん、すごく上手いです。
一体どこで経験積んできたんですか。
春梅の口づけにとろとろに溶かされてぼうっとする。春梅に縋りかけた私の手を、春梅がそっと取って自分の脚の付け根へと導いた。
「奥様を抱けると思うと……もうこんなになってしまいました」
抱く???
そしてこの、硬いものは何かな春梅さん。
レズプレイ用の張型でもつけてるの?
春梅がちらりと下衣をめくりあげる。下帯さえつけていなくて準備万端!って感じがしたけど、まさしくそこには準備万端!って感じのものがそそり立っていた。
ただ一つだけ。
よく見ると、玉がついてない。
――この子、宦官かっ!!!
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