無字の後宮 ―復讐の美姫は紅蓮の苑に嗤う―

葦原とよ

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第1章 獣の檻

第36話 連夜

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 夜更すぎ、渓青に案内されてもはや堂々と琰単えんたんが入室してきた。翠蓮は寝衣の前を必死に握りしめ、琰単を睨みつける。

「……おまえも愚かな女だな。これだけ抱かれているのだから、満更ではないのだろう?」
「誰が、そんなこと……っ!」
「口では抗っても、体は本音をこぼしておるぞ。どれ……」
「嫌ぁっ! ……っ、ん……っ!」

 立ったまま寝衣をはだけられ、剥きだしになった胸をまさぐられる。そうこうしているうちに合わせ目を割り、下帯の隙間から指が侵入してきた。太腿にとろりと雫が伝い落ちる。

「もうこんなに濡らしおって、我のおらぬ間にどれほど疼いておるのだ。可哀想に、すぐに挿れてやるぞ」

 その言葉どおり、寝台に行く暇もなく立った状態で獣のように後ろから挿入された。ぐちゃぐちゃと卑猥な水音が上がり、翠蓮は手で口を覆い、頭をふるふると振る。

「声を、聞かせよ……っ」
「……っあ! だ、めぇっ……いやぁ……っ……今日は、今日は……っ!」

 口を覆っていた手を無理やり剥がされると、翠蓮の口からは絶え間ない喘ぎが溢れる。翠蓮は辛い体勢を堪えて、なんとか後ろを振り返り、切なげに琰単を見上げると首を何度か横に振った。

「どう、したっ……もう、いくか……っ? よいぞ、いつもの、ようにっ、いけ……っ!」
「ち、がっ……っああ! 今日、はっ……なかっ、ださない、でぇ……っ!」
「中に、出さぬと……っ……満足、できぬっ、であろう……っ?」
「だめっ! だめぇっ! 今日はっ……みご、もっちゃ、う、からぁ……っ!」

 翠蓮が叫ぶと、琰単がぴたりと抜きさしを止めた。止めてくれたのかと安堵して、翠蓮は琰単を見やる。
 しかし琰単はその美麗な顔ににたりといやらしい笑みを浮かべた。

「……それはよいことを聞いた」
「……っあ! い、やぁ……っ!」
「今日は、何度でもっ……出して、やるぞ……っ!」
「だめぇっ! っあ、赤子が……っ」
「我の、子をっ……孕め……っ‼︎」
「いやああっ! いく、いくっ、い、っちゃ……っ‼︎」

 身を震わせて絶頂し、泣き崩れる翠蓮を琰単は片腕で支えると、寝台へと連れこんだ。その日、琰単が東宮へと戻ったのは夜も白みはじめてからだった。



   ***



 翌日の夜も琰単はやってきた。
 いままで、琰単が連続して来たことはさすがにない。翠蓮は驚くとともに嫌悪感を浮かべて精一杯琰単を睨んだ。

 だが体の調子がおかしかった。顔は熱に浮かされたように火照っているし、こらえても涙が滲んでくる。震える体を必死に抱きしめて抑えていると、琰単がにやにやと笑いながら問うてきた。

「……どうした? 顔がやけに赤いぞ?」
「……貴方がっ……媚薬を、盛ったのでしょう⁉︎」

 翠蓮は琰単をキッと睨んで激昂したが、琰単はどこ吹く風で愉しそうに告げた。

「媚薬だけではない、孕みやすくする薬もだ」
「貴方の、子なんて……っ!」
「今宵は我も尽きぬ心地だ。肚があふれるまで注いでやろう」
「い、や、ああっ! 触らっ、ない、で……っ……い、やあっ……なに、これぇ……だめ、だめぇっ!」

 琰単が胸に触れただけで、足ががくがくと震えて翠蓮は立っていられずに琰単にしがみつく。琰単を睨みつけて文句を言おうとしたが、見上げて口をぱくぱくとさせ浅い息をするのがやっとだった。無意識に腰が揺らめき、琰単の太腿に股を擦りつけてしまう。

 翠蓮のそんな媚態に、琰単はごくり、と生唾を飲みこんだ。

「だめ、だめなのに……とま、らない……っ」
「おまえは……どこまで、淫乱なのだ……っ!」



 床に押し倒されて、寝台の上で大股を開かされて、琰単の上で腰を振らされて。翠蓮は何度も何度も果て、それと同じだけ琰単も翠蓮の中に放ちつづけた。



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