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第2章 蠱毒の頂
第24話 特訓 2
しおりを挟む瑛藍に導かれるままに、翠蓮は今度は寝椅子に腰かける。瑛藍がうしろにまわり、翠蓮の襟元をぐっと掴んだ。
「ちょっとごめんね」
「……きゃっ!」
がばりと単衣ごと大きく襟元を広げられ、二の腕と抱腹に覆われた胸が晒される。
「これも邪魔だから取っちゃおうね」
瑛藍は背中に手を回して抱腹の紐を二ヶ所ほどき、それを抜き去ってしまった。ふるりと胸が揺れて、緑基の視線をそこに感じる。
「やっべ……なにそれ、反則じゃね」
「ふっふっふ……大きさもさることながら、柔らかさも最高なんだよ」
「……っあ!」
うしろから手を伸ばした瑛藍が、翠蓮の胸をすくい上げて寄せ、離すとたゆんと波打つ。上から緑基が唾を飲む音が聞こえた。目の前の膨らみもこころなしか大きくなった気がする。興奮した雄の匂いがかすかに漂っていた。
「翠蓮、こうやって自分の手で胸を寄せて、そこに唾を垂らして」
「こう……ですか?」
寄せてあげた胸の谷間に、ぽとりと唾をこぼす。
「もっとたくさん」
瑛藍に言われるがままに口の中をもごもごと動かし、谷間に透明な水たまりができるほどに唾を落とした。
「うん、それくらいかな。それで……ああ、緑基は準備万端だね」
そう言われて胸から顔を上げると、腹につきそうなほど反り返った緑基のものが眼前にある。硬く昂った幹にはくっきりとした血管が見えた。裏側の段差もはっきりとしているし、傘の部分は大きく張り出している。
「うわぁ、なかなか凶悪なものをお持ちで。しかも若いだけあって、よく反ってるねぇ」
「男に褒められても嬉しくねぇよ」
「……短小早漏で包茎よりはマシかと」
「え、嘘でしょ、あいつさらに包茎なの⁉︎」
「比較対象がおかしくね?」
男性にとって、そこに関する談義はきっと大事なことなのだろう。けれども翠蓮は唾がこぼれ落ちてしまうから早くしてほしいということのほうが重要だった。
「……さ、翠蓮もお待ちかねなことだし」
きっと気づいていたであろう瑛藍が勿体ぶって言うと、緑基は一度ごくりと唾を飲んだあと、翠蓮の胸の下のほうから、その昂ったものを差し入れた。
「…………んっ!」
「……うっわ……これ、やべぇ……」
翠蓮の谷間を貫いて緑基のものが顔を出し、溜まっていた唾液を浴びる。ぬめりをまとった熱い塊は滑らかに胸の間を往復した。
「……なんだ、これ……柔らかいのに、すげぇ圧……」
思わず腰を振り始めた緑基を、瑛藍が制する。その瞬間にそれがぬるりと抜け出た。
「こーらこら、気持ちいのは分かるけどダメでしょ。これは翠蓮の特訓なんだから」
「いや、無理じゃね? こんなの耐えらんねぇだろ」
「じゃあこれで根元を縛りますか?」
いい笑顔で渓青が取り出したのは、ごくごく細い鉄線だった。なぜそんなものが咄嗟に出てくるのか、翠蓮はなにも考えないようにした。
「いやいやいや、それじゃ千切れんだろうが! 俺まで宦官にする気かよ⁉︎」
「せめて紐にしてあげたらどうかな……」
「仕方ないですね」
「やっぱ、渓青が一番おっかねぇわ……」
渓青が適当に探し出してきた紐が、緑基の根本に結ばれた。それはなぜか赤い紐で、さきほどまで凶悪な様相を呈していた緑基のものが、急に可愛らしく見えてしまうから不思議だと翠蓮は思う。
「はい、じゃあやっと準備が整ったところで、翠蓮もう一度挟んで」
「はい」
「最初は上下に揺すってみて。手を動かすのに慣れてきたら早さを変えたり、包む強さを変えてみてね。単調な動きだと飽きちゃうから」
「こんな感じですか」
「……っ……くっ……」
「……いいみたいだね」
翠蓮が胸を上下に揺すると緑基のものの先端が見え隠れする。この行為は翠蓮自身は気持ちよくもなんともないのだけれど、余裕のない緑基を見ているのは楽しかった。
「次は左右の胸を上下互い違いに動かして。そう、そんな感じ」
「ちょ……やばいって、それ……っ」
「あと、ぎゅーっと挟んで緩めたり、小刻みに挟んだり……うん、上手だね」
「……っ! くっそ……っ」
「それから……翠蓮の大きさならできるかな。緑基、辛いだろうけど一回抜いて」
すこし安堵したような表情を浮かべて緑基が腰を離した。そして瑛藍がぼそぼそと耳元で囁いたことに、翠蓮は顔を真っ赤にして瑛藍を睨む。
「その表情は緑基に見せてあげてね。じゃ緑基、今度は谷間じゃなくて翠蓮に対してまっすぐに入れて」
「えっ……」
「翠蓮の大きさがあれば大丈夫だから」
緑基はやや躊躇し、おずおずと怒張を差し入れた。さすがに全部は無理だが、八割がた緑基のものが胸に埋まる。
「翠蓮、さっき言ったとおり腕で挟んで」
翠蓮は瑛藍の言葉に頷き、一度手を離す。今まで翠蓮は手で自分の胸を寄せていたのだが、今度は脇を締めるようにして腕全体で挟んだ。
それを見た緑基が息を飲み、ゆるゆると腰を動かし始める。その動きは抱かれるときの腰使いにも似ていて、さきほどは瑛藍に口を犯されたが、今度は緑基に胸を犯されている、と翠蓮は思った。
ちらりと上を見上げると、緑基は眉根を寄せて苦しげな顔をしている。その脇で瑛藍が片目をつむって合図をしてきた。さっき囁かれたことをやれ、と言うらしい。
翠蓮は一度下を向き覚悟を決めると、顔を上げて緑基の目をじっとみつめ、切なさそうに見えるだろう表情で言った。
「……熱い、のっ……溶け、そう……っ」
「……ぐ、っ……!」
緑基はがばりと腰を引き剥がし、はぁはぁと肩で息をしている。
「……っぶねぇ……縛ってなきゃ暴発するとこだった……」
「翠蓮は合格だね。これは緑基のほうが「特訓」が必要かなぁ?」
「俺はやる必要ねぇだろうが!」
「敵に女を送り込まれたらどうするんですか」
「んなもん、こねぇよ!」
なるほど、緑基は意外と純情なのだな、と翠蓮は冷静に分析していた。さきほどの瑛藍のときもそうだったが、自分が狂わされていないのであれば、相手がどんな反応を返すのかきちんと観察することができる。
それにこういった方法ならば翠蓮自身の負担も少ない。最初、渓青にこのやり方を教えられたときは、そんなこととてもではないができない、と思ったのが、琰単に対しては非常に「効率的」な方法だと思った。
「……でも、こうやって来られたら……?」
翠蓮は長椅子から降り、緑基の前に膝立ちになった。赤い紐を引っ張ってそれを手繰り寄せると、紐も解いてしまう。
ゆっくりと見せつけるようにふたたび胸で挟み、揺さぶる。円を描くように圧迫し、飛び出た先端を――咥えた。
「…………っ⁉︎」
さきほど瑛藍にしたことを思い出しながら、緑基の反応をひそかに確認し、翠蓮は緑基を攻め立てる。段差の大きな雁首を舌先でちろちろと弾き、滲む汁を舌先でこそげ取った。挟む胸に緩急をつけることも忘れない。
ぽたりと緑基の汗が弾け落ちる。じっとりと緑基の瞳を見つめたまま、鈴口をすこし強いくらいにぐりぐりと抉ると、緑基の太腿が硬くこわばり――翠蓮は口の中に熱い飛沫を感じた瞬間にわざと口を離した。
そのせいで完全には飲みきれず、顔や胸に白い粘液がかかってしまう。
「……あーあ、緑基の完敗だね、こりゃ」
「アレよりは若干まし、くらいですかね」
「う、うっせーよ!」
「ああ、髪にまでかかってしまいましたね……これは洗わなければ」
渓青が布で顔や体を拭ってくれるが完全には取れない。緑基はまだ赤い顔のまま、急いでそれをしまっていた。
「じゃあ翠蓮、今日の感じを忘れずに。練習台が必要だったらいつでも言ってね」
「はい」
「緑基はもうちょっと「訓練」が必要そうだからね。僕が連れてくよ」
「だから必要ねぇって!」
瑛藍は手をひらひらと振ると、そのままわめく緑基を連れて出て行った。その様子を翠蓮はくすくすと笑って見送る。あの調子だと、このあと瑛藍の顔馴染みの妓楼にでも連れて行くのだろう、と思った。
「……さあ、翠蓮様。湯殿へまいりましょう」
「……ええ」
渓青に誘われ、差し出されたその手を翠蓮は取る。
すべて予定どおりだと。
***
賀成宮の女官たちににこやかに愛想を振りまきながら、瑛藍は緑基とともに馬車に乗り込んだ。
これから忙しくなるのだから、あれくらいは前報酬としてもらっておかないと、と瑛藍は思っていたのだが、緑基はじっとりと恨めしそうにこちらを見ている。それに気づいてくすりと笑った。
「……なにかご不満かな?」
「あんた……翠蓮の腹の子の父親なんだろ? 俺にあんなことさせていいのかよ」
「いいもなにも……僕は共犯者として子種を提供している間柄にすぎないからね」
「……わっかんねぇな……」
緑基は理解に苦しむと言った表情でぼりぼりと頭を掻く。この青年は知略にかけては右に出るものがいないが、色恋沙汰に関してはまだまだ仕込む余地がありそうだ、と瑛藍は微笑む。それはさながら年の離れた弟を見守るような気分でもあった。
「そもそもよ……俺らはその……すっきりさせてもらったけどよ、翠蓮のほうはいいのかよ」
「だからこうして出てきたんじゃないか」
「はぁ?」
「渓青が全部やってくれるよ。翠蓮もそれを見越してわざと飲まずに頭からかぶったんだろうし」
「えっ……わざとってなに……えっ、ちょ、待っ……あの二人って、そういう……っ⁉︎」
なんだそんなことにさえ気づいていなかったのか、と瑛藍はくすくす笑った。珍しくあたふたとしている緑基に、これは自分が色々と教授してやらねばと思う。
「後宮の妃と宦官が……なんて、よくあることでしょ」
「いや、そりゃそうだけどよ……二人ともそういう素振り全然見せねぇから……」
「……多分、お互いに口に出してはっきりとは言ってないと思うよ」
きっと普通に想い合う恋人たちよりもひそやかにけれども激しく。手管を尽くして駆け引きをして、互いが互いに溺れ合っている。
それでも想いは伝えられない。
二人には成し遂げなければいけないことがあるから。
そう考えながら、無意識に唇を触ってしまっている自分に気づき、瑛藍は苦笑した。それを誤魔化すように瑛藍はことさら明るく緑基に言った。
「……それにしても緑基はもうちょっと女性に慣れておいたほうがいいと思うけどねー」
「そんな暇なかったんだよ! 科挙に受かるまでは勉強ばっかで、そのあとも金貯めなきゃいけなかったし……」
「よぉし、じゃあお兄さんがいいところに連れていってあげよう! 中途半端にしちゃったから溜まってるでしょ?」
「おまえが連れてくとことかどうせ妓楼だろ⁉︎ お断りだ!」
「えー遠慮しなくていいのに」
「遠慮じゃねぇ! ……それに、あれ以上のは無理だろ……」
さきほどのを思い出したのか、緑基が赤い顔でそっぽを向く。まあ確かに翠蓮以上はそうそういないだろうなと思いながら、瑛藍は初手で失敗したかなとも思う。
あれだけ強烈なのを最初に経験してしまったら、そのあとはすべてが色褪せて見える。
緑基もか、と瑛藍はため息をついた。
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