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第2章 蠱毒の頂
第35話 狂宴
しおりを挟む緑基の上に倒れ伏し、翠蓮は粗い呼吸を整えていた。同じように緑基の胸板の下からも早い鼓動が聞こえる。
それに耳を澄ませていると、ぐいと二の腕を掴まれて体を起こされた。ぼうっとする頭でそちらを向くと、にっこりと笑った瑛藍が立っている。
「僕のも面倒見てくれると嬉しいな」
ぺちりと翠蓮の頬を叩いたのは、すでに熱く昂った瑛藍のものだった。促されるままに翠蓮はそれに手を伸ばし、ぺろりと舐めはじめる。
それは何度も咥えこんできたもので、まだうまく回らない頭でも無意識にどこをどう愛撫すればいいのか、翠蓮には手に取るように分かった。
翠蓮が条件反射的にそれを舐め回していると、緑基が不機嫌そうにむくりと体を起こす。
「……おい、邪魔すんなよ」
「え? いいじゃない。それに君一人じゃ翠蓮に搾り取られるだけでしょ?」
「……ちっ」
いつもの瑛藍を知る者からすれば、それは珍しく嘲りに満ちた口調だと感じただろう。ただこのとき翠蓮はそんなことにまで頭が回らなかった。この場でその瑛藍の口調に含まれた感情――緑基に対する嫉妬を感じとれたのは、すべてを観察していた渓青だけだった。
瑛藍は一度翠蓮の口からそれを抜くと、翠蓮の体を持ち上げて緑基のものから抜き去り、寝台の上に四つん這いにさせた。
そうしていつもの瑛藍に比べればやや性急に、うしろから翠蓮をずぶりと貫く。
「っああ!」
腰をがしりと掴まれて、まだ緑基のものが入っているようにさえ感じていた蜜壺は、今度は瑛藍の大きなもので掻き回された。
中に放たれていた緑基の白濁が掻き混ぜられて白く泡立ち、翠蓮の秘部を卑猥に彩る。
息つく間もないほどの責めに、翠蓮が呼吸を求めて開けた口は、そのまま滾った緑基のもので塞がれた。
「っん、んんーっ!」
前後から同時に串刺しにされて、翠蓮の頭は朦朧としてくる。体の中という中が肉塊で満たされ、白濁で染め上げられた。
それから瑛藍と緑基は何度か位置を変えて代わる代わる翠蓮を犯した。上からも下からも絶えず精液を流し込まれ、どちらのものがどこに何度放たれたのか分からなくなるころ、ようやく翠蓮は寝台の上に横たえられる。
呆然としていた翠蓮の口もとにこびりついていた白い残滓を優しく拭う手があった。落ち着いた香のかおりだけでそれが誰なのか翠蓮は気づき、そっと呟く。
「……水を……」
そう囁いた声は完全にかすれていた。喉奥まで何度も犯され、放たれた白い粘液がまだ喉に絡みついている心地がする。
うしろから優しく抱えられて、慣れ親しんだ手が顎に添えられ、冷たい水が口移しで流し込まれたとき、翠蓮は驚きに目を少し見開いた。
ちらりと視界の片隅で瑛藍と緑基を見やると、二人は体を拭ったり寝衣を纏ったりしていてこちらを見ていない。
水をすべて飲み干したあともひそやかにつづく口づけに、翠蓮はうっとりと溺れた。
二人にあれだけ激しく犯されても溶けずに残っていた核の部分が、瞬時にとろりと溶け出していくのを感じる。
だからそっと唇が離れていったとき、翠蓮はもっととねだるように口づけの主――渓青を見て、そしてとろけるようだった心地が一瞬にして凍りついた。
たったひとつだけ残った渓青の右目は深く暗い感情を雄弁に物語っていて、まるで果ての見えない闇のように翠蓮を捉えていた。
「……まったくお二人とも後先考えずに出されて。あまり立て続けに孕むと翠蓮様のお体に障るのですよ?」
そう呟いた渓青はがっちりとうしろから翠蓮を羽交い締めにする。両の脚は渓青の脚に絡めとられて大きく開かされていた。
これからなにをされるのか翠蓮はすぐに悟り、渓青の腕の中でもがくが頑丈な拘束はまったく揺らがない。
「……っ、渓青っ、自分で、しますから……っ!」
「そんなこと仰って、ご自分ではいつもうまくできませんでしょう?」
小さな騒ぎを聞きつけた瑛藍と緑基が何事かと、こちらを振り向く。うしろから拘束されて寝台の上で大股を開き、二人の放った白濁がとろりと溢れでていくのさえ見られたとき、翠蓮は例えようもない羞恥と――そして紛れもない快感を覚えていた。
つぷり、と渓青の指が秘所に沈み込む。そしてそのすぐあとには翠蓮は髪を振り乱して絶叫した。
「っあああ! やあっ! 渓、青っ! だめっ! やっ、いやああああっ‼︎」
渓青の指は的確に翠蓮の弱点だけを捉え、最短距離で絶頂へと導いた。がくがくと体が震えて水音とともに潮が撒き散らされるが渓青はまったく手を休めない。
「いやああっ! 渓青っ、だ、めぇっ! いってる、いってるからぁ……っ! やめっ、許し、てぇ……っ!」
「……うっわ、ものの数十秒で潮吹かせたぞ……」
「えげつないねぇ……」
緑基と瑛藍がなかば憐むようにさえ見える表情でこちらを見ていたが、翠蓮にはそれを認識する余裕などなかった。
「渓青っ! 渓、せっ……いやああっ! おかしく、なるっ……!」
何度も何度も達しているのに、渓青は翠蓮をこれ以上ないほどに追い詰めていく。寝台の下には盥が置かれていたが、掻き出された白濁よりもはるかに多い潮がそれを薄めていった。
白濁と潮ととめどなく溢れ出る翠蓮の愛液を纏った渓青の指は、飽くことなく翠蓮の蜜壺を苛みつづける。どろどろにふやけた指はいつしか後孔にまで入り込み、翠蓮の心を壊そうとでもするかのように過ぎた快楽を与えた。
やがて体中の水分がすべて放出されてしまったのではないかと思えるころ、ようやく翠蓮は渓青の魔手から解放された。
もう指一本だって動かしたくないと思っていた翠蓮の心を、渓青の黒々としたたったひとつの瞳が突き刺す。
「……渓青……」
その一言で十分だった。
それで渓青にはきちんと伝わった。
寝台にだらりと横たわる翠蓮のうしろでかちゃりと軽い金属音がする。それは耳に馴染んだ渓青が狎具を装着する音だった。
すこしして音がしなくなり、翠蓮の腰が優しく引き上げられる。ああ、今日はうしろからかと翠蓮が思うのと、二つの冷たい感触が押し当てられたのに気づいたのは同時だった。
「……渓青……っ⁉︎」
どろどろに溶けた蜜口と、柔らかく綻んだ後孔にそれぞれ肉を分けて押し入ってくる感覚がある。翠蓮は慌てて渓青から逃げようとしたが、両手をうしろで掴まれてそれは体の奥深くまで同時に貫いた。
「ひっ! い、やああああっ!」
蜜壺と後孔にそれぞれ硬い狎具が侵入してくる。どちらかを使われたことはもう数え切れないほどあるが、両方同時は初めてで、翠蓮はなすすべもなく震えた。
「いっ……や、ああっ! だ、めぇっ……っあ、あっ! こわ、れるっ……!」
膣と直腸の間の壁が擦り切れて繋がってしまうのではないかと思えるほど、体の中を双方からごりごりと責められる。凄まじい充足感と快楽の波が翠蓮を襲った。
特にうしろに入れられた方が厄介だった。蜜口を広げて出入りしているのはいつもと同じ渓青の形を模した狎具だ。
けれどもすでに性器へと変えられた後孔を責め苛んでいるのは、ひどく歪な形の狎具だった。
ぼこぼこと芋虫のように不規則な球が連なり、表面にはびっしりと小指の先ほどの粒がついている。
後孔は膣と違って琰単が使うこともないため、渓青はだんだんと卑猥で激しい形の狎具で翠蓮をいたぶるようになっていた。
そんなものを同時に使われてはたまったものではない。翠蓮の脳はすでに焼き切れたようになり、ただ喘ぎ声を上げつづけた。
そんな翠蓮を二人に見せつけるように、渓青は翠蓮の体をぐっと起こす。胸をそらし、膝立ちの状態で秘所からぼたぼたと愛液を滴らせて翠蓮は途切れることなく嬌声をあげた。
「ひあっ! あっ、いっ……! だ、めぇ……きもち、よすぎ、る……っ!」
涙やらなにやらでぐちゃぐちゃになった翠蓮の顔を優しく撫でる手がある。翠蓮が霞み揺れる視界でぼんやりと認識したのは、瑛藍の欲望に滲んだ瞳だった。
「……なんだ、うしろも開発済みだったんだ。ずいぶん気持ち良さそうだね、翠蓮」
「っああっ! や、めぇ……っ! こわれ、るぅ……っ! も、いき、たくない……っ」
「ねぇ、渓青。うしろも試させてよ」
「……仕方ありませんね」
そう言って一度渓青がずるりと二本を引き抜く。翠蓮が助かったと誤認するのもつかの間、立った瑛藍にうしろから抱き上げられて、ぽっかりと開いた後孔を瑛藍の大きなものが最奥まで貫いた。
「いっ、やああああっ‼︎」
みちみちと音がするのではないかと思えるほど、瑛藍のものが直腸を限界まで広げる。それを抜き挿しされると、えも言われぬ感覚が翠蓮を襲った。
翠蓮はそれに必死で耐えていたのに、いつの間にか狎具をひとつだけに直した渓青がやってきて、ひくひくと物欲しげに蠢く蜜口にずぶりとそれを挿しこむ。
「――っあああああ‼︎」
前後から二人に同時に抜き挿しされて、翠蓮は理性を放棄した。ただただ本能のままに喘ぐ獣になったように、快楽に踊らされて明確な意識が弾け飛ぶ。
渓青の狎具と瑛藍のものが中で擦れあって、ぐりぐりと互いの壁を突き破ろうとでもするかのごとく翠蓮を責めた。
もうまともに喘ぐことさえできない。荒い息とかすれた声で二人に制止と許しを請うたが、それが聞き入られる気配はなかった。
ただ溶けていく思考の片隅で確かに幸せを感じながら、翠蓮は意識を手放した。
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