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「買い物に行くぞ!」

 帰宅するなり隊服も鎧も脱がずに書斎へと直行し、仁王立ちでそう言い放った私を迎えたのは、銀縁の眼鏡の奥からこちらを凝視する夫の茶褐色の瞳だった。

「はぁ……」

 いつものようにため息を一息つくと、大きな手で器用に眼鏡を外し、一本角の下にある眉間を揉む。どうせ今日も一日中家の中に閉じこもりきりで論文を書いていたのだろう。かしでできた頑丈な机の上には、綺麗に並べられた本と標本らしきハーブ、インクの残りも少ないインク壺、そして彼の手に合わせた特注の天蓋鷲てんがいわしの羽根ペン、と馴染みの筆記具がきっちりといつも通りの場所に置かれている。

 もう一度眼鏡をかけ直すと、その巨体を椅子から立ち上がらせこちらへ歩み寄ってきた。苦笑いの顔には鋭い牙が光る。

「……まずは、おかえり」
「うん、ただいま!」

 私よりもだいぶ高い位置にあるすこし困った顔に微笑みかけると、がっしりとした腕で壊れ物を扱うようにふわりと抱きしめられる。そう簡単には壊れないほどに鍛えているつもりなのだがな。
 けれども標本のハーブの香りが移った厚手のカーディガンに包まれるのは悪くない。こんなに大きい体なのに意外と寒がりなんだよなぁ、と考えていると上から声が降ってきた。

「なにをとか、どこへとか、色々と聞きたいことはあるが……こんな時間では店も開いていないだろう」

 たしかにもう日もとっぷりと暮れている。この時間に開いているのは城下でも居酒屋か賭博場、オペラハウスなどだろう。売っているものがあるとすれば、「春」くらいだな!

「それが開いているのだ! ちゃんと知り合いに聞いたから間違いないぞ。場所は王城通りの菩提樹リンデンバウムの鐘から一本入ったところだ」
「あのあたりならそう遠くはないが……」
「だろう? だから早く行こう!」
「待ちなさい。今、着替えてくるから……」

 そういう彼の巨体をクローゼットのある部屋へとぐいぐいと押し込む。なにしろ彼ときたら万事がゆっくりとしている上に、女の私よりも着替えに時間がかかるのだ! タイピンがどうのカフスボタンとの合わせがどうのと細かいことこの上ない。

 そうして十二分に時間が経った頃――彼にしてはだいぶ急いだと思われるが――扉を開けてやってきた彼を見て私は吹き出しそうになった。

 光沢のあるパリッとしたタキシードに真っ白なシャツ。黒い蝶ネクタイにシルクハット、ご丁寧にステッキまで持っている!

 たしかにどこへなにを買いに行くのか言わなかった私も悪いが、これから買い物へ行く店にはいささか不釣り合いだろう。まあ、王城通りといえば高級店が軒を連ねているのだから、彼がそういった店に行くと勘違いしたのもやむを得まい。

 これはこれで面白いか、と私はにんまりと笑う。そうして彼の腕にするりと手を絡ませると、まるで紳士にエスコートされている令嬢か姫のような気分になってくる。私は近衛隊服の紺色の頑丈最優先のドレスの上に白銀の鎧をつけたままだがな!

「では、行こうか」

 それでも見上げた彼の緑色の顔はなんだかとても嬉しそうで。だから私も雲馬車くもばしゃに乗り込むときにスカートを丁寧に摘むなどという、滅多にやらないことをやってしまうほどには浮かれていた。

 そうして私こと王城勤めの近衛騎士であるフレイヤと、その夫でありオークの植物学者であるゲルハルトは、新婚夫婦らしく仲良く連れ立って街へ出かけたのだった。



   *



 ことの起こりは昨日の夜だった。友人の羊の獣人・フレデリカが所用で城下に来ると魔法鳩で通信があったのだ。久しぶりなのでランチでもどうかという誘いに私は快諾し、伝手を頼って人気のレストラン「百薬香草亭」の予約をしてもらった。

 彼女に会うのは半年ぶりくらいだろうか。ちょっとした事件で知り合って以来仲良くしているのだが、今日の彼女はとても魅力的に――いや、有り体にいえばとても美味しそう・・・・・に見えた。

「……久しぶりだな、なんだか、雰囲気が変わったか……?」
「ふふっ、分かる?」

 そう微笑む彼女は以前と変わらず愛くるしいのにどこか色気がある。ちょうどそのとき彼女の前にこの店の名物、深海ラムステーキの百味ハーブ添えが運ばれてきた。

 羊の獣人なのに食べられるんだ、ラムステーキ……。

 そんな疑問をよそに彼女は美味しそうにステーキを頬張る。こう見えて彼女は食事も生活も完全な肉食系なのだ。私の元にも高原サーモンの月夜クローバーレモンマリネがやってきて舌鼓を打つ。この酸味はクセになるなぁ。

「で、どうしたんだその色気は。なにかあったのか?」
「まあ、色々あるんだけど……」

 彼女の話をまとめると、現在働いているヒューマンの屋敷で執事を務める、狼男に恋をしたらしい。(彼女の場合は恋、というか食う気満々の獲物認定という言い方が正確だと思うが)
 そして主人に頼まれて魔法香油の買い出しをしたついでに、自分用の魔法香油も買ってつけてみた結果が、この色気だという。

「……魔法香油ってそんなにすごいのか?」
「あそこのお店のは特に効くって評判よ」

 魔法香油は普通の香油とはいろいろな面で異なる。
 普通の香油は色々な植物や花などから精製されるけれど、魔法香油は魔力を帯びたものから魔法によって抽出される。恐ろしく種類が多い上にブレンドしたりするのでなかなか取り扱いが難しく、おまけに種族ごとに合う香りも異なるが、きちんと合うものをつければその人を魅力的に見せてくれるのだ……と職場で力説している奴が一人いた。

「ふーん……そういえば同僚も魔法香油がどうのと言ってたな。なんでも風変わりなサキュバスがやってるとか……」
「そこよ! そのサキュバスがやってる店の!」
「サキュバスが、ねぇ……サキュバスなら媚薬とかローションとか売る方が似合ってるけどな」
「売ってるわよ」
「え」

「だから、媚薬やローションになる魔法香油も売ってるの。お昼は普通の魔法香油で、夜はそういうの・・・・・を売ってるの。娼館とかにも卸してるらしくてね。体格差があっても痛くないって重宝されてるんだって」

「そ、その話……!」

 詳しく聞かせてくれ、という前に彼女がにやりと笑った。

「だからフレイヤのところに話をしにきたの。
 ……オークのち○ぽって超でっかいんでしょ?」

 ほんと、とんでもない羊の皮を被った雌狼だな、と思った。



   *



 そういった訳で、私はゲルハルトと魔法香油……という名のローションを買いに来たのだ。一人で来てもよかったのだが、夜に買い物に行くといえば彼が心配するのは目に見えていた。
 だがなにを買いに行くのかいえば、ゲルハルトが猛烈に恥ずかしがって止めるのも分かっていたので敢えてあのような手段にでたのだ。いつも脳筋と言われる私だが、きちんと考えているんだぞ!

 まあ馬車の中でネタバラシをしたら、緑の顔をこれ以上ないくらいに赤くしてものすごい小さくなってたがな。



 大通りに雲馬車を停め、一本入った道に目当ての店を見つける。香油の瓶が黒いドアに嵌り、妖しく光っていた。よく見ると瓶には小さく『ヒルダの魔法香油店』と書いてある。

 ゲルハルトがドアを開け、頭をかがめてドアをくぐる。店内は意外に天井が高く、シルクハットをかぶった彼でも問題なく歩けるほどだ。
 黒と赤が基調の店内には魔法香油の瓶が所狭しと輝いていたが、ゲルハルトの方はカウンターの後ろに吊るされた魔法香油の原料であろう草花に意識が飛んでいるようだった。

 まったく、草や花を見るとすぐに意識を持っていかれてしまうんだから……。

 ぽんぽんと小さく腕を叩くと、ハッとして本来の目的を思い出したようだ。だががちがちに緊張していて話が進まない。

「す、すまない……その、私たちはだな……」

 とったシルクハットを所在なさげに持ち、店主のサキュバスの方を見ることさえできない。このままでは埒があかないな、と私は彼の前に進み出て店主に告げた。もっとも、なにも言わなくても店主は理解しているようだったが。

「……その、彼のものが大きすぎて入らないのだ! こちらには良いものがあると聞いて参った次第だ」

 そう言い放つと後ろで「うわああああ……」と小さな悲鳴が聞こえて、ゲルハルトの顔が茹で蛸のように真っ赤になっている。言い繕ったところで結果は同じなのだから、こういうことは簡潔に正確に伝える必要があると思うのだが?

 そんな私たちに店主はくすくすと笑う。そしてなにかに気づいたようで、一度出しかけた大瓶をしまい、別の大瓶を取り出してきた。
 私はラベルに書かれた対象種族名を見て、さすが魔法に長けたサキュバスだな、と自分の耳をさすった。それを見た店主が意味ありげに微笑む。

「……よくあることですよ。こちらをどうぞ」
「使い方は?」
普通のもの・・・・・と同じで大丈夫です。口にしても無害ですし、筋弛緩効果とほんの少しの催淫効果もあります」
「ではそれを二本貰おう!」

 何度も買いに来るのは面倒だからな。そう思ったのだが、ゲルハルトは後ろでサラマンダーになって火が吐けるんじゃないかと思うくらい沸騰している。

 なにはともあれ良い買いものができて良かったと、私は満面の笑みを浮かべて帰路についたのだった。



   *



 自宅に戻り、軽い食事と湯浴みを済ませると私たちは寝室へと向かった。ゲルハルトの体格に合わせて作られた寝台はとても頑丈で、二人で思い切り軋ませて・・・・もなんの問題もない……はずなのだが、悲しいかな今のところそういう用途では使われていない。

 結婚してから今日まで何度も試みてみたのだが、巨大すぎるゲルハルトのものはどうやっても私の中には入らず、仕方なく互いに慰め合うことしかできなかったのだ。

 だがこれさえあればベッドも本来の使い途ができるはず!と私は例の大瓶をベッド上にどんと置いた。

 ナイトドレスを着た私の前に、ガウンを羽織ったゲルハルトが巨体を縮こまらせて正座し、なにか言いたげにしている。私はじっと彼の目を見つめて言葉を促した。

「……その……このようなものを使ってまでして……君の体に負担をかけたくないのだ……」

 どこまでも心配性で優しい彼の言葉に、私はふっと微笑んだ。

「あなたが私を傷つけるつもりが毛頭ないのは重々承知している。それに先程の店主も言っていたではないか、よくあることだ、と」
「だが……」

 彼の茶褐色の瞳には複雑な色が混じっている。一度は思いを遂げたいという色欲と、私の体を思っての不安な色。

 こんなにも優しく気遣いに溢れた彼に、よくも昔の私は「滅茶苦茶に犯して孕ませるつもりだろう! くっ、殺せ……!」などといえたものだな、と少々苦々しく黒歴史を思い出す。

 私がオークの窃盗団を追って森に入った時に、暴れ木の根でつまづいて足を挫き、そこに現れたのが標本採集中の彼だったのだ。オークといえば粗野で粗暴で女好き。それが標準だったのだから、まさか眼鏡をかけて草花を採集している植物学者のオークがいるなんて夢にも思わないだろう?
 種族上・・・、オークには特に気をつけねばならんかったしな。

 自分も種族の標準から逸脱している自覚はあるが、彼の場合は規格外とかもはやそういうレベルですらない。ノームの学者の家に生まれるはずのところ、転生魔法が間違ってオークに生まれてしまったとか言われる方がまだ信じられるくらいだ。

 まあ、あの頃は今より若かったのだ。許せ。

 そんな最悪の出会いをした私たちだったが、その後は良好な関係を築いてめでたくゴールインしたしな。主にベタ惚れした私が押しに押しまくって寄り切りで勝ち星をもぎ取ったとも言うが。

 もちろん、私の一方通行ではないぞ。ゲルハルトは物静かであまり大っぴらに感情を表に出すタイプではないので分かりにくいが、かなり愛されている自覚はある。彼が大切にしている蔵書や標本の草花よりもさらにそっと優しく扱われ、真綿で包むように庇護され、植物を育てるとき以上に愛情を惜しみなく注がれているのは十二分に感じていた。

 そんな彼だからこそ、私を傷つけるのを何よりも厭う。それが彼自身によるものとあってはなおさらだ。
 その気持ちも分からないではないのだが、一度くらいは壊れるほど滅茶苦茶に愛されてみたい、と思ってしまうのもまたオンナゴコロというやつではないのだろうか。

「……まずは一度使ってみよう。それで負担が大きかったら、そのときはまた考えようじゃないか」

 それにこっちの方は期待しているみたいだぞ、とガウンの上からでも分かるほどに存在を主張しているそれに手を這わせると、ようやくゲルハルトも陥落した。



 普段ならばゲルハルトの巨大なものを手でしごいたりねぶったり胸に挟んだりして昂らせているのだが、今日はそれで興奮させて一段と大きくなったりしたらまずい、ということでそれに触るのを禁止された。
 ゲルハルト自身を弄りたおすのは私の趣味の一つなのでとても残念だ。

 代わりに脚を大きく開かされて、執拗なまでに中をほぐされている。ゲルハルトの指はとても太くて大きく、正直なところ指だけでもヒューマンの男性と遜色ないほどだ。

「……ゲル、ハルトっ……も、十分、だ……っ」
「駄目だ。もっとよく慣らしておかないと……」
「……っ! そ、こ……っ!」

 太く長い指先は本来なら指で触れることなどできない奥まで簡単に到達する。草花を扱う彼は指先がとても器用で、絶妙な強弱をつけた動きはあっという間に私を陥落させた。そんなことをされたら早く迎え入れたくなってしまうではないか……!

 けれどもゲルハルトは指先に食らいつかんばかりにする子宮口からすこし指を離し、代わりに入口のあたりをぐいと大きく広げた。そして片手で例の大瓶を――彼が持つと小瓶に見えるのだが――持つと、器用に牙で蓋を外した。
 その仕草、滅茶苦茶格好いいな……。

「……冷たいかもしれん」

 とろりとこぼされた淡い紅色の香油はたしかにすこし冷たかった。けれどもすぐにじんわりと馴染んでくる。ぐちゃぐちゃと卑猥な音をさせて彼の指が中へ塗り込めるように出入りすると、その効果はすぐに現れた。

 中で瓶を倒してしまったかのように愛液がこぼれて止まらない。最初はほのかな温かさを感じていたがすぐにじりじりと体を苛む焦げつくような熱に変わった。
 いつのまにか太い指を二本突っ込まれていても痛みは感じず、もっと太いもので思い切り抉ってほしいと思考が侵食され始める。

 フレデリカの言うとおり、魔法香油の効果は絶大だな……。
 もう、挿れてもらうことしか考えられなくなってきたぞ。

「ゲルハルトっ……もう、お願いだ……っ」
「本当に、大丈夫なのか?」
「おね、がい……っ!」

 精一杯懇願すると、ゲルハルトは指を抜き去った。そして魔法香油を自身にも垂らす。私の大好きなゲルハルトのものは、肌の緑と先端の赤黒い色が混じり、太い血管が幾重にも浮き上がっている。ご丁寧にも雁首のあたりにはぼこぼこと真珠のようなイボがついていて、垂れ下がる睾丸も両手で抱えられそうなほどだ。肝心の大きさは、といえば私の腕くらいあるんじゃないかと思う。

 それを見ただけで私の頭は煮えたぎりそうになった。腰を浮かせて秘部に手を添えて割り開き、口を開けると自分でも信じられないくらい甘ったるい声が出る。

「ゲルハルトぉ……おっきいの挿れて、めちゃくちゃにして……」

 あ、やばい。ゲルハルトのがさらに上を向いてしまった。

 彼が上から覆い被さってきて、溶け切った蜜口に切っ先があてがわれる。早く貫いて欲しくてゲルハルトの首に手をかけてぐいと引き寄せた。ゲルハルトの口元から伸びる牙をぺろぺろと舐めると、厚い舌が口の中に、そして熱い杭が体の中に侵入してくる。

「……っ! う、あっ……んんーーっ!」

 思わず唇を離して呼吸を求めた。体の中から全てが押し上げられる感覚がする。魔法香油のおかげだろうか、痛みはない。けれども圧迫感と充足感が凄まじくて、腹の中が別のものに置き換えられていくような心地がした。

「フレイヤ、大丈夫か……?」
「ふ、あっ……お、っき、すぎ……っ」
「一度抜くか?」
「ぬか、なっ……で……っ!」

 ゲルハルトが中にいる。
 それはとても感慨深いもので、体も心も歓喜で満たされる思いだった。

 出会ってからたくさんのことがあった。周囲にも色々と言われてきた。私はこれ以上ないほどにゲルハルトを愛しているのに、一方的に凌辱されているのではないかとか、なにか弱みを握られているのではないかとか、果てはオークの巨根でなければ満足できない緩みきった淫乱女などと陰口も叩かれた。まあそんな輩はすべて滅殺したが。
 けれどもそれらがすべて昇華して、やっと本当の夫婦になれたと思った。

 ゲルハルトの太い指がそっと私の目尻を拭って初めて、私は自分が涙を流していたことに気づいた。嬉しくて泣くなど百年ぶりくらいじゃないだろうか。 ……おっと。

「フレイヤ、痛くはないか? 辛くはないか?」
「……そうだな、結構辛い」
「むっ! それはいかん、抜くぞ……!」

 慌てて腰を浮かせようとするゲルハルトを、両脚でがっちりと挟み込んだ。

「……あなたに早く愛して欲しくて、我慢できずに辛いんだ」
「…………っ!」

 おっと、ゲルハルトのものが中でさらに大きくなったぞ。これ以上煽るのは危険そうだと判断して、私は彼の首を引き寄せて続きを促した。

 心配そうな顔色を浮かべていた彼だったが、ゆるりと腰を動かし始めるとオークの本能が目覚めたようで、銀縁の眼鏡を無造作に外す。遮るものがなくなった茶褐色の瞳は確実にほむらを宿していた。

「フレイヤ……っ!」
「っあ! ああっ! ん、あっ……い、いいっ!」

 いまや私は嵐に揉まれる小舟のようだった。ゲルハルトの大きな腕の中で前後不覚になるほど揺さぶられ、絶え間ない快感に襲われてまともに言葉が紡げない。
 灼熱の杭が私の中で暴れていた。信じられないくらい太いものが激しく出入りしているのに、それがとてつもない快楽を生み出す。底が抜けた水瓶のようにとめどなく愛液が溢れて撒き散らされた。
 聞くに耐えない水音と自分のものではないような甘ったるく溶けた声。ゲルハルトの獣じみた息遣いさえも私の興奮を煽る燃料になった。

「ゲル、ハルトぉ……っ! もっと、もっとぐりぐり、してぇ……っ」
「承知、したっ」
「ひっ、ああああっ! きもち、いぃ……っ!」

 雁首を取り囲むイボが中を強烈に擦り上げたと思ったら、竿に浮かび上がる血管が容赦なく陰核の付け根をごしごしとこすっていく。子宮口は壊れたようにゲルハルトのものに吸いついて、本能的に種付けをねだっていた。

 この人のもので体の中から染めあげられたいと、長く生きてきて初めて思った。誰かを屈服させることではなく、隷属させられることに幸せを感じるなど、昔の私からしたら信じられないことだった。

「ゲルハルトぉ……っ」

 巨体に必死に抱きついて、口づけをねだる。こんな時だというのに、牙で私の口内を傷つけないよう柔らかく唇を食んでくる仕草に、心の底から愛おしさを感じた。

 この人のものになりたい。
 全部あなたに捧げたい。

 そんな私の想いが通じたのだろうか。ぐるると獣じみた声で唸ったゲルハルトが、私の脚をさらに大きく開いてぐりぐりと奥まで侵入してくる。すこし柔らかいようなくすぐったいような感触を感じて必死にそちらを見ると、あれだけ長大だったゲルハルトのものがすべて私の中に飲み込まれ、彼の付け根を取り巻く陰毛が私をくすぐっていることを知った。

「ゲルハルトっ……も、限界、だ……っ……」
「それは、こちらの台詞だ……くっ……」
「ひっ、ああああぅっ! だ、めぇ……っ……っああ! それ、だめぇ……っ!」

 子宮をこじ開けようとでもするかのように灼熱の楔が限界まで押しつけられて、マグマのような飛沫が最奥に叩きつけられた。

 どくりどくり、と腹の中が熱い奔流で満たされていく。飲み込みきれなくなったものがごぽりと音を立てて隙間から溢れ出ていくのを感じ、さすがはオーク、と苦笑した。
 それと同時に下腹部がじんわりと熱くなってきて、ああついにこの時が来てしまったかと観念する。

 私が腹をさすると、それを何気なく見たゲルハルトの顔が凍りついた。

「……っ! フレイヤっ⁉︎ それは……その淫紋はどういうことだっ⁉︎」

「……ずっと黙っていて済まなかった……」

 解除の呪文を唱えて私は自分の耳に手をかざす。その瞬間、ずっと魔法の膜で覆われていたような感覚がなくなって私本来の――ヒューマンのものとは明らかに異なる――長い耳が解放された。

「君は……君はエルフだったのか⁉︎」
「ああ。正確にはハイエルフだ。あなたに告げていた名前はフレイヤだけだが、私の本来の名前はフレイヤ・シーグルズルドッティルだ」

「シーグルズル、ドッティル……ハイエルフ…………! まさか、君は氷刃公ひょうじんこうシーグルズル閣下の姫君か⁉︎」

 私の正体をぴたりと言い当てたゲルハルトに、頬がにんまりと緩むのを感じる。
 シーグルズルは父の名前で、ドッティルは「◯◯の娘」を意味するエルフ語だ。エルフは姓を持たないので父や母の名前を姓のように名乗るのだが、「ハイエルフ」の「シーグルズル」という情報だけで血統が理解できるオークは彼くらいなものではないだろうか、と心の内で伴侶をベタ褒めした。普通のオークはハイエルフ七王家の当主の名など気にもとめていないからな。

「私は……私は……氷刃公の姫君になんということを……っ!」

 わなわなと震えだしたゲルハルトに、私はそっと触れた。

「案ずるな。すべては私が望んだことで、私の責任だ。それに私は確かにシーグルズルの娘だが、三十八番目の子供でな。正直、父にとっては放蕩娘に過ぎん」
「さ、三十八番目……⁉︎」

 おそらくはハイエルフの習性を知っているのであろうゲルハルトが驚愕に瞳を見開く。

 通常のエルフは大体二百年の寿命だが、ハイエルフは三百年ほど生きる。オークやヒューマンに比べれば長い命ゆえに、滅多なことでは子供を産まない。
 のだが、父は母を溺愛し、長い人生で他にやることはないとでも言わんばかりにやたらに生殖活動に勤しんだ。その結果、氷刃公などという称号の割には子供が四十人以上もいるという凄まじい大家族になった。
 正直、種まき公とかに改称したほうがいいと思う。

「山ほどいる子供のうちの一人が、オークに淫紋を刻まれたところで、父はどうとも思わんよ。それにこれはあなたが私を愛してくれた大切な印だ」

 私は宝物に触れるように自らの下腹部に浮かぶ淫紋を撫でたのだが、ゲルハルトの眉は下がったままだ。

 淫紋とは、魔法を不得手とするオークが生み出した、唯一の魔法だ。
 古の時代、エルフとオークは様々な問題が絡んで争っていた。だが、魔法に長けたエルフに対し、力のみで戦略を持たず、防御魔法も使えないオークは劣勢だった。

 そこで邪神に祈りを捧げて得た魔法が淫紋刻印だ。
 端的に言えば、オークに犯されて精液を注がれたエルフの女には下腹部に淫紋が刻まれる。そして淫紋の効果で生涯オークの精液しか受け付けなくなる。
 ただでさえほとんど生殖しないエルフの血筋を絶とうとする恐るべき魔法だった。

 無論、今は争いはなくなったが、淫紋の魔法だけは残っている。それゆえ、オークと婚姻を結ぼうとする物好きのエルフなど、私くらいなものだろう。

「……黙っていたのは本当に申し訳なく思う。けれども私がエルフだと明かしていたならば……あなたは私を娶ってくれなかっただろう?」
「それは……」

 口ごもるゲルハルトに、私は自分の推測が外れていないことを知る。思慮深く生真面目なゲルハルトのことだ。私がエルフだと最初から告げていたら、淫紋を刻んで――己に縛りつけて――しまうことを厭うて、絶対に婚姻を結ぼうとしないのは自明の理だった。

「なにも心配しないで欲しい。他のエルフだったら恐怖するのかもしれないが、私にとってあなたの子しか孕めなくなる魔法など、呪いではなく福音としか思えない」

 愛しい人の子しか孕めない魔法など、どんなご褒美だ、と思う。むしろ浮気防止にも最適なのではないだろうか。いや、私がゲルハルト以外に目移りすることなどありはしないが。

 すっかりとしょげてしまったゲルハルトの肩に手を触れて元気づけようとするが、彼はゆるく首を振るだけだ。一体どうしたのだろうかと辛抱強く彼が口を開くのを待った。

「……本当に隠しごとをしていたのは……最低なのは私のほうだ……」

 苦しげに絞りだされた言葉に、私は少なからず動揺した。実直なゲルハルトはそもそもなにかを隠すのが不得手だ。そんな彼がまったく私にも悟らせずに秘していたこととはなんだろうか、と不安に襲われる。

「……私が植物学者を志した理由は以前に話したと思うが……」
「あ、ああ……」

 オークが植物学者になるなど、異端の極みだ。だが彼がそれを目指したのには崇高な理念があった。
 オークは魔法が不得意だが、また同様に魔法の影響を比較的受けにくい。それは長所でもあり、同時に治癒魔法が効きにくいという短所でもある。だからオークは、他の種族ならば魔法で癒してしまえるような病でも、重症化して命を落としてしまうということがあった。

 そんな状況を変えるためにゲルハルトは植物を研究し、オークの命を救う薬草を一つでも多く発見したいと、植物学者を志したのだ。
 その話を聞いたとき、私はあまりにも気高い志に感動し、同時にオークを蔑視していた自分を猛烈に恥じた。

 そうして私の視野を広げてくれた彼に恋焦がれるようになるまで、さほど時間がかからなかったのも頷けるだろう。

「……君はいつだったか、私の高潔な姿勢に感動し恋に落ちたと言ってくれた。けれども私はそんな聖人ではない……ただの俗物だ」
「どうしたんだ、ゲルハルト……」

「私は……私が植物学者を志したのは、ひどく俗人的で利己的な理由によるものなのだ……」

 苦悩の表情を浮かべるゲルハルトの瞳をじっと見つめる。澄んだ彼の瞳には欲に塗れた濁りなどいささかも感じられなかった。だから私は彼の唇からどんな言葉がこぼれるのかまったく想像できなくて、内心怯える。恐れ知らずの狂戦士とまで言われた私が、だ。

「私は……オークとしては出来損ないなのだ。生殖能力が著しく低い」

 ようやく吐露されたゲルハルトの言葉に、私は息を飲んだ。
 オークはエルフに比べればはるかに短命だ。ゆえにエルフに対抗するために産めよ増やせよを指針として繁栄してきた。そのオークの中で生殖能力が劣るということは、存在そのものの価値が低いとみなされるのと同義だっただろう。

「だから己の能力のなさを挽回させるような薬草はないかと探して……今もまだ探して……それが発端なのだ。これを君に明かして……幻滅され軽蔑されるのが怖かった……」

 急にゲルハルトが母に見捨てられた幼な子のように思えて、私は彼の巨体をぎゅっと抱きしめる。あいにくと私の腕では彼を包みきることはできなくて、私は生まれて初めてオークの女性のように大きな腕を持っていたらよかったのに、と思った。

「……とても辛かっただろう。だが私は、そんなあなたがより一層誇らしく感じるぞ」

 そっと顔を上げた彼の表情は、無垢な子供のように不思議がるような、そして少し不安げな色彩を持っていた。そんな彼を安心させるように言う。

「己に打ちひしがれても、決して諦めず、他の方法で補えないかと模索しつづけてきたあなたを誇らしく思う。それは誰にでもできることではない。やはり、あなたは私の英雄だ」
「……フレイヤ……っ!」

 伝説の剣や、強力な魔法や、古から続く血統などなにも持っていなくとも。どんなに険しくても己の信じる道を行くあなたこそが、私にとっての運命の英雄なのだと告げた、プロポーズの言葉をもう一度強く言い切った。



 大きな肩を震わせて泣いていた彼が落ち着くのを見計らって、私はすこし意地の悪い表情で彼に問う。

「なあ、もしも性交の相手が通常のオークだった場合、どれくらい精を受ければエルフは孕むのだ?」
「……大抵は一回、最低でも二回で十分だ」
「えっ、なにそれ怖っ」

 思っていたよりもはるかに強力だったオークの生殖能力に、若干私は引いた。一発でほぼ孕ませるとか、精度が高すぎだろう。
 そう思うのと同時に、やはりゲルハルトの生殖能力は通常よりも劣るのだな、と実感した。下腹部の淫紋は赤黒くほのかに光って、その存在を主張している。淫紋は妊娠するとあまり目立たない程度に薄くなり、出産を終えてしばらくするとまた元に戻る、と言われていた。

「ふむ……では今のところ私は孕んでいないのだな」
「おそらく。君がハイエルフだったので……ヒューマンよりは身篭りやすいとは思うが……」
「それは好都合」
「……え?」

 ぽかんとした表情のゲルハルトの首に左手をかけ、右手で淫紋のあたりを――多少萎えたがまだ十分に存在感のあるゲルハルトが入ったままのそこを――さすりながら言った。

「孕んでしまったら、この大きいので中を思い切り掻きまわしてもらえなくなるだろう?」
「フ、フレイヤ……っ」

 きゅうっと中を締め上げると、ゲルハルトが小さく呻いた。

「お互いに隠しごともなくなったことだし、しばらくは孕むこともなさそうだし、思い切り愉しもうじゃないか」
「ゔっ……すまない、実は……」
「なんだ、まだなにかあるのか? あなたは意外と私にバレないように秘密を作るのが得意なのだな」
「いや、そういうわけではないが……これを……」

 そういうとゲルハルトは手を伸ばしてベッドサイドの棚から一つの袋を取り出すと、私に手渡した。袋の中には小瓶が一つ入っている。
 小瓶の中には紫と緑が入り混じった、苔のような植物のようななにかが入っていた。

「なんだこれ? 苔か?」

 きゅぽんと蓋のコルクを外すと、ゲルハルトが「あああっ!」と叫んだ。

「ん? どうした? これ、が……っ⁉︎」
「どうして君は、そう、説明する前に……っ」

 小瓶の中に入っていたものは、蓋を開けると同時にぶわっと増大して私に貼りついてきた。苔のようにも思えたが、いつのまにかそれは蔦のような細い触手を形成し、あろうことか私の乳首に巻きついてくる!

「な、な、なんだこれはっ⁉︎」
「……それは数日前に私が発見した新種のヨイヤミツタデソウだ。近くに餌がないときは苔状の塊になって休眠しているが、餌となる動物の体液がありそうなときは、体積が爆発的に増えて蔦状の触手をのばし、体液が出そうな箇所を探り当てるという性質があることが……」
「それを先に言えっ!」
「言う前に君が蓋を開けたのだろうが!」

 瓶の中にいたときは親指の先ほどの塊だったのに、いまや私の体の前面を覆い、乳首にさかんに巻きついて刺激してくる。

「まだ孕んでいない、のだから、出ない、ぞ……」
「動物はそこを刺激すると体液が出ると本能的に知っているんだ」
「……こんな草、取ってきて、こっそりしまって……どう、する、つもり、だったんだ……」
「それは、だな……」

 あさっての方向を見ながらゲルハルトがぽりぽりと頭を掻く。本当にこういう些細なことには隠しごとができない人だな、とくすりと笑った。

「あたなも、大概だな……っ」
「まさか君があんな魔法香油を買いに行くとは思っていなかったんだ。きっとこの先も挿入できないと思っていたから、なにか君を悦ばせる方法を、と思ってだな……」
「その心遣いだけ、感謝、するぞ……んっ! こらっ、やめ……っ!」

 刺激しても乳は出ないと悟ったのか、触手が下腹部へと動き始めた。そちらは魔法香油やら私のものやらゲルハルトのものやらでもうぐっちょぐちょのひどい有様だ。触手にとってはご馳走の山かもしれんが。

「うあっ……そこ、はっ……だ、めだ……っ! っああ!」

 先ほどゲルハルトの竿でごしごしと裏を擦られて、すっかりと赤く腫れてしまった陰核に細い触手が絡みついてきた。触手の表面は粘着質な吸盤のようになっていて、ぷくりと張りつめた肉芽に強弱をつけながら喰らいついてくる。
 帯電魔法のように微弱でもどかしい刺激が、敏感なところから全身に広がった。快感は確かに得られるのだが、決定打が足りない。

「っあ! ん、ぅっ……ゲル、ハルトぉ……これも、きもちいい、けど……っ」
「けど?」
「ゲルハルト、のが、好きっ……おっきいので、おもいきり、して……っ!」
「良かった、触手のほうが好きだと言われたらどうしようかと思った」

 へにゃりと眉を下げたゲルハルトを、そんなことあるわけないだろうと言いながら押し倒す。ゲルハルトの腰は太すぎて上手くまたがることができず、彼が膝裏に手を入れて支えてくれたが、一度全部飲みこんんでゲルハルトの形になってしまったそこは、ずぶずぶと奥まで美味しそうに咥え込んでいった。

「ん、あっ……! 奥、おく、刺さってる……っ!」

 限界まで押し広げられ、ごつごつと先端で抉られるのが堪らない。さきほど出された粘っこい白濁が掻き出されて、股の間やゲルハルトの柔い袋をべたべたに汚した。

「ひっ、な……っ⁉︎」
「む……っ⁉︎」

 驚愕の声が二人同時に上がった。慌てて結合部を見ると、増殖した紫色の触手がそこかしこに絡みついている。

「や、やめっ……そんな、とこ、汚っ……!」
「ぐっ……なんだ、この刺激は……っ」

 細い触手が束になって、私の後ろの窄まりから体内へと侵入してきた。ただでさえ大きすぎるゲルハルトのもので限界まで広げられているのに、今度は後ろからも圧迫されて目の前がちかちかと明滅する。
 ゲルハルトのほうは重く垂れた陰嚢に、まるで毛細血管のように触手が貼りついて、脈動する心臓のごとく揺れ動いていた。

「やああああっ! こんな、ぜんぶっ……耐え、られな……っ!」
「駄目だっ……私も……っ!」

 私は潮を撒き散らし、ゲルハルトは暴発する。しかしこの触手の好物は人間の体液。達してからのほうが地獄だった。絶頂を迎えた敏感な体に、もっと出せと言わんばかりに侵入してくる。
 そしてそれに喘ぐと、その様子に嫉妬したゲルハルトによって壊れるほど貫かれる。結局最後は無理矢理魔法で触手を引き剥がして、なんとか生還した。



   *



 ベッドサイドの棚には、魔法香油の大瓶が五本ほどずらりと並んでいる。あれから魔法香油はすっかりと我が家の必需品になり、例のサキュバスの香油店からは一ダース単位の定期購買便で届くようになった。使い魔の黒猫による宅配便を始めてくれたので、店に行かずとも家に届くのはありがたい。
 もっとも、我が家に来るときは荷物が多いので、黒猫というよりは黒豹のようなサイズになってやってくるのだけれど。

 そしてその魔法香油の瓶を、やってきた黒豹もとい黒猫が背負う鞄に詰めていく。

「すまんな。この間、わざわざ持ってきてもらったのに、引き取ってもらうことになって」

 気にしてないよ、とでも言うように黒猫はにゃーんとひとつ鳴いて、私の腹に顔を擦り寄せた。まだ外見上ではほぼ分からないだろうに、流石に動物はこういうところは聡いな、と思う。

 一ダースと七本消費したところで、ようやくこの魔法香油がお役御免となった。残ったものは次回に備えて・・・・・・取っておいてもよかったのだが、例のサキュバスが買い戻してくれると言うのだからありがたい。

 もっとも彼女にとっても私たちはお得意様――を通り越して、商売上のパートナーになったのだから、多少の便宜も図ってくれるというものか。

 あのあと、ゲルハルトが発見した例の触手は、なんと魔法香油店で売られることになった。引き剥がし用の魔法香油とセットで。

 触手の話をサキュバス――ヒルダについうっかりこぼしたところ、店で売れるかもしれない、という話になり、試しに店頭に置いてみるという運びになった。

 私はそんなもの買うやついるのか?と半信半疑だったのだが、世の中はなにが起こるか分からない。夜の魔法香油店の地味なヒット商品になってしまった。

 おかげでゲルハルトは今日もせっせと触手採取だ。触手は頑丈な体を持つオークでないと入っていけないような雪茨ゆきいばらに囲まれたところに生息しているらしく、目下のところゲルハルトの独占市場となっている。

 私はと言えば、近衛騎士の仕事はしばらく休むことにして、大人しく家にいるのだが、まさかゲルハルトがこんな仕事で家を空けることが多くなるとは想像だにしなかった。
 新婚家庭というのは一つ悩みごとが解決すると、次の悩みごとが降ってくるらしい。

 まあ、ゲルハルトにはせいぜい頑張って働いて稼いでもらわねばなるまい。

 もう一人、家族が増えるのだから。


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みんなの感想(1件)

ミー太郎
2021.01.31 ミー太郎

ヒルダの魔法香油店!!
あの時の夫婦の話が読めるなんて…
とっても嬉しいです(๑˃̵ᴗ˂̵)

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