レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野

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第1章 初の異世界!

第3話 初のレベルアップ!

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 さらに森を歩くこと三時間。

 太陽は真上に昇り、森の中も蒸し暑くなってきた。

「ふぅ、熱いな。キュアー」

 かいた汗は消え、服も一瞬で乾いてしまう。俺はこのキュアーを十分おきくらいにかけながら歩き続けた。

 やがて、森の向こう側に明るさが見えてきた。

「やった。出口だ!」

 はやる気持ちを抑えつつ出口まで急いでいく。

「異世界ってどんな世界なんだろうな? やっぱ美人エルフとかいるのかな? ドワーフのボクっ娘もカワイイといいな! 俺の神聖魔法があれば、ポーション屋でも開いてのんびりとカワイイ奥さんもらって夢のスローライフを送れるんじゃないだろうか? くぅ~~、たまらんっ!」

 明るい場所へ向かって俺は走り出した。

「夢のチーレムスローライフ目指してレッツゴー!」

 うん、大きな掛け声を出すだけでも気分が乗ってくるな。

 森の奥に進むにつれ、どんどん明るくなってくる。そして……、

「抜けたっ!……ってあれ?」

 目に入ってきたのは黄土色の巨大な石階段。崩れた柱がいくつも並んでおり、階段も割れている所が多く、そのまま放置されていたことがわかるほど苔が厚く生えていた。

 階段の上部へ目をやると崩れた神殿の跡のようになっている。

「こ、これは……」

 俺はゆっくりとその階段を上がっていった。

 ここだけは動物の気配が全くなく、辺りはシンと静まり返っている。

 柱の間から入ってくる日の光は階段を七色に照らし、幻想的な空間を形成していた。

 階段の上りきると崩れた神殿が目の前に佇む。その中央は爆破されたような跡があり、中の空洞へ入っていけるようになっていた。

「遺跡荒らしの痕跡だろうな。この入口から中を探索したってわけか」

 俺は入り口から中に入ってみた。

 中は壁がほんのりと明るくなっていて、足もとまで見えるようになっていた。

 少し進んでみると、さっきも戦ったゴブリンがうろついていた。

「ギギャ?」

「しまった、気づかれたか。ここはすぐに倒すっ!」

 俺はゴブリンに向かって駆け出し、ナイフを突き出す。

 ゴブリンは驚いてこちらを見ていたせいで反応が遅れたようで、俺のナイフはあっけなく頭を貫通した。

「ギョエーッ!」

 ゴブリンは声を上げて倒れ込んだ。

「ん? なんだ……ゴブリンの死体が消えていく?」

 死んだゴブリンの死体はサラサラと砂のようになり、やがて消えていった。

「どうなってるんだ? さっき倒したやつはそのままだったのに」

 ゴブリンのいた場所を手でさすってみたが、黄土色の石そのものであり、ゴブリンの形跡すら残っていない。

 そうこうしていると、足音が奥から響くように聞こえてきた。

「まずい、さっきのゴブリンが上げた声で気づかれたか?」

 周りを見ると、ちょうど俺の体を隠せるくらいの割れた石があったのでそこに屈んで身を潜めた。

 案の定、ゴブリンが二匹やってきた。

 よし、ここからなら後ろをとれる。一匹は倒せるはずだ。

「てやぁっ!」

 勢いよく飛び出し、ゴブリンの頭にナイフを突き立てた。

 そして、すぐにナイフを抜き、もう一匹にも突き出した。あっという間に二匹のゴブリンを片付けることができた。

「や、やったぞ……。うん? これは?」

 俺の体に力が湧いてきた。体力も回復したようだし、これはもしかして……。

「オープン」

 やっぱりだ。レベルアップしたんだ!

 ステータスも軒並み2~3ほど数値が上がっている。最初の力が少なかったので、これで少しは楽になればいいのだけどな。

 ゴブリンの死体はやはり、砂のようになって消えてしまった。後には何も残っていない。

「よし、もう少し行ってみるか」

 俺はレベルアップしたことですっかり気をよくして、さらに奥へと進むのであった。


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