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第2章 更なるレベルアップへの道のり
第17話 オークキング戦
しおりを挟む黄金の毛に覆われた巨体はキラキラと輝き、その目はギラリと赤く光る。対峙したソウを敵と見なしたのか、視線を外さずに、じっと睨み続ける。
一歩、また一歩と歩くたびに地鳴りのような音が響き渡った。
やがて、巨大なオークの剣の射程内に近くなったとき、オークは足を止めた。
「我の子らを可愛がってくれたのは貴様か?」
「可愛がった? 少しばかり相手してやっただけさ。あのままだと近くの街に行きそうだったんでな」
「そうか。我の名はオーギュスト。オーク族のキングにして、魔王軍の先遣隊を仰せつかっている」
「これはご丁寧いに。俺はソウ。探求者だ」
「まさか、地上に貴様ほどの使い手がいたとはな。誤算だったぞ」
「誤算? 部下を失ったのがか? 意外と部下思いなんだな?」
「ブヒャッヒャッヒャッ、誤算というのは嬉しい誤算という意味よ。我の望みは闘争なり。強者との闘争ほど魂震えるものはないからな。我の部下だと? あんなゴミどもなど知ったことではないわ。我にコキ使われて死んでいけるのだから、奴らも本望というものよ!」
「ふぅ~、お前のような脳筋が上司なんて、あの部下達は可哀想な奴らだったんだな」
「知ったような口を。我の部下共も闘争こそ全てよ。強者に隷属するは必然! 情けなどいらぬ。骨までしゃぶり尽くして捨てるだけよ!」
「そこまで言い切るんなら、お前だってそうなる覚悟は出来てるんだろうな?」
「無論。ここで貴様を倒し、魔王様がこの地に現界する前に征服しきってくれるわ」
「そうか」
コイツは生かしておけねぇ。こんな奴が上司なんかになった日には人類皆、ブラック労働まっしぐらだ。
「そこまで言うなら、何をされても文句言うなよ?」
「フッ」
オーギュストは口角を上げた。それと同時に肩に担いていた巨大な剣を振り下ろす。
凄まじい速度で降ろされた剣は爆風を巻き起こし、地面に着弾すると、きのこ雲が発生するほどの威力だった。
「おー、中々の威力だな! フムフム」
余裕で躱していた俺は少し高い木の枝から、オーギュストを見下ろしていた。
「ミーナ、ちょっとばかりここで待っててくれないか? バリヤーを張っておくから、この場にいたほうが安全だろうしな」
ミーナはただコクコクと頷くだけで声をださない。
「大丈夫か? さっきからおかしいぞ? ミーナらしくもない」
憎まれ口を叩いてもミーナはコクコクと頷くだけだった。
「んじゃ、ちょっくら行ってくるわ。待っててくれよ」
ミーナにバリヤーを五重ほど重ねがけし、俺はオーギュストと戦うために飛び出した。
「ほぅ、今のを避けるか」
「あんなに殺気がダダ漏れじゃ、避けて下さいって言ってるようなものだろう?」
「ブヒャヒャッッ! 面白いっ! 面白いぞっ貴様っ!」
「そりゃどうも」
オーギュストは頭上で剣をブルンブルンと振り回し、俺を目がけて連続で斬りかかってきた。
だが、俺には届かない。ひょいと避けながらダークファイアーをオーギュストの顔にお見舞いする。
「そんな小さな炎など効かぬわ」
オーギュストの連撃は止まらない。周りの木々を薙ぎ倒し、岩を砕き、地面を抉る。
俺はその全てを余裕で躱しながらひたすらダークファイアーをオーギュストの顔に当て続けていた。
「小賢しい。そんなものでダメージすら負わぬわ」
ま、そんなところだとは思ったけどね。ただ俺としては闇魔法のレベルを上げたいからとりあえずヒットさせていたに過ぎない。
オーギュストは剣が当たらないと見るや、腹に大きく息を吸い込んだ。そして、口の手前に魔法陣を描く。
一気に息を吐き出すと、魔法陣を通った息は燃え上がり、爆炎弾となって俺に襲いかかった。
「おわっ、大道芸かよ?」
俺が避けると、後方では炎の柱が天高くまで燃え上がり、雲すらも散っていく。
「まだまだ行くぞぉ!」
オーギュストはその爆炎弾を連続で放ってきた。それだけでなく剣での連撃も織り合わせた攻撃だ。
息が吐き出される間は爆炎弾で攻撃し、息を吸い込みつつ剣を振り回す。なかなか考えた攻撃じゃないか。確かにつけ入るスキは少ないだろうな。
だが……、
俺はホーリーソードを長く伸ばしていく。オーギュストの持つ剣と同等の長さまで伸ばすと、奴の剣と打ち合った。
火花散り、爆風がぶつかり合い、轟音がつんざく。
俺のホーリーソードとオーギュストの黄金の剣がぶつかり合い、競り合う形となる。
「ブヒョ!? 我のパワーを受け止めただと?」
「お前さ。自分より力が強い奴なんていないと思ってたのか? 残念だったな」
「ま、まさかっ! 我はレベル6000オーバー、力は9000オーバーっ! 魔界にも我より力が強い者など片手で数えるほどしかおらぬというのにっ!」
「ん? そんなにレベル低かったのか。その程度のレベルで力に全振りしてるステってことを考えれば素早さがないのも頷けるな。たいして強い魔法もなさそうだし……」
「ぬぅぅっ! 我のレベルが低いだとぉ!?」
激昂するオーギュストは剣がぶつかり合ったまま、火炎弾を吐いてきた。
「くだらん……」
左手にホーリーソードを出し、火炎弾を打ち返す。弾き返された火炎弾はオーギュストの顔面に当たり、火柱を立てて燃え上がった。
「ギュモモモモ~~~~~ッッッ!!!」
オーギュストは倒れ込んで自分の火炎弾でのたうち回る。
「見苦しいことこの上ないな」
「きっ、貴様ァ~~~ッッッ! 許さぬ、許さぬぅ、許さぬぞぉッ!」
やっとことで立ち上がったオーギュストは頭部の金色の毛が焦げて黒くなっていた。
「わかったから早く奥の手を出してこい。まさかこれで終わりというわけではないだろう?」
「当たり前じゃあっっっ! 絶対に生かさぬわっ!」
今だ頭から黒煙が立ち昇るオーギュストに最早かつての威厳は見受けられなかった。
「御託はいい。さっさと来な。ブタ野郎が!」
俺とオーギュストの戦いはいよいよ終盤へと近づいていくのであった。
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