レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野

文字の大きさ
146 / 219
第9章 勇者RENの冒険

第144話 一回戦第三試合 悪魔族代表 イヴリス VS 死の国代表 ジーク

しおりを挟む


「会場の皆様、お待たせいたしました! 会場の整備が終わりました!」

 解説者リサの声が元気に響く。会場からは毒だらけになってしまった第一試合の会場を元に戻すべく、50人もの天使が修復魔法と毒の中和魔法を使用していた。そのおかげもあり、1時間ほどで大会が引き続きが行われる運びとなったようだ。

「東の方角! 悪魔界の女王! イヴリスの入場!」

 イヴリスは投げキッスをしながら天使達にウィンクをしていた。花道の途中で止まってはグラビア嬢のような決めポーズをとり、サービスしまくっている。



   ***



「一体何をしているんだ? あの女は?」

 正直な感想が思わず口から漏れてしまった。だが、優勝候補とも言われていた悪魔の女王の実力を見ることが出来るいい機会だ。じっくりと拝ませてもらおう。だが、一つ気になることがある……。

「おい、いつまでそこにいるつもりだ?」

 部屋の隅の天井、そこに一匹のコウモリが逆さになってぶらさがっている。当然ながらここは天界なのだ。普通のコウモリなんて存在しているわけがない。

「なぁーんだ、バレてたのか。しょうがない……」

 コウモリが口を開くと人の声が聞こえてきた。そして、俺のそばに飛んでくると、そのコウモリが数十匹にも数を増やし、黒い塊を形作っていく。

やがて、コウモリが黒い物体に吸収されるように消えていくと、その黒い物体が色を取り戻し、ヴァンパイアのキュイジーヌが現れるのであった。黄金の長い髪。整った美貌。口を開くと見える八重歯。間違いなくキュイジーヌ本人である。

「まったく、ヒドいよ! REN君! 君に目を付けたのはボクのほうが先だったのに! あんな悪魔にキスされてデレデレしちゃってさ!」

 キュイジーヌは頬を膨らませて腰を曲げて俺に顔を近づけ、謂れの無い文句を言い始めた。

「あれはいきなりだったんだ。仕方が無いだろう? それにデレデレなんてしてない」

「うっそだー! 顔が蕩けてたよ? 言っておくけどね? 悪魔にほだされちゃダメだよ? いつか身を滅ぼされるんだからね?」

「ほぅ、詳しいのか? 良かったらアイツについて教えてほしいものだが……」

「え? ボクが知ってるのは他の悪魔達だから……、キュイジーヌのことは聞いたことしかないんだ。だから教えれるほどのことはないんだけど……」

「それでも構わんさ。知っていることがあるなら教えてくれないか?」

「しょーがないなぁ。大サービスだよ?」

 腕組みをした上に大きな胸が乗っかり、とても扇情的なポーズをわざわざ作りながら、俺にアピールするように見せつけてくる。

 こいつもイヴリスと考えていることは同じか。全く、何を考えていることやら……。

「イヴリスはね、現存している最古の悪魔って言われてるんだ。ポイントはね、長生きしていればそれだけ保有できる魔力も増えていることが多い傾向がある、ということなんだ。それだけでも脅威といえるだろうね。ボクが知ってる悪魔は30000歳だけど保有する魔力量は、もう……とにかくとんでもない量だよ。極大魔法を連発で数十発討ってもまだMPが尽きないんだからね……、ボクなら悪魔とケンカなんて絶対にゴメンだね」

「ほぅ、なるほど……ということはイヴリスも保有する魔力は相当ある、と考えられるわけか」

「うん、ボクはまだ20000歳程度の若輩者だけど、ボクの父上よりもイヴリスは年上だって聞いてるよ。えっと父上が60000歳ぐらいだから……」

「なるほど、MPは相当量ある、ということか。ありがとう、参考になる」

「どういたしまして。とっていもこの程度しかボクがわかってることはないんだけどね」

 キュイジーヌは片目をウィンクしながらペロッと下を出した。金髪の輝くロングヘアーと抜群のプロポーションを見せつけるよう決めポーズ付きだ。そして、上胸を殊更強調するように、胸の下で腕を組んで見せつけてくるのであった。



   ***



「さぁ、まさかの参戦となった大悪魔、イヴリスの姿が見えてきました!」

「イヴリスこそ悪魔の中の悪魔! さて、その推定年齢は……うがあああっっっ!!!」

「どうしました? ローファンさん?」

 ローファンは首に手を当て、苦しみ出す。

「ローファンさん! 大丈夫ですか?」

「女性の年齢を言うのはダメよ? わかったかしら?」

 イヴリスの声が実況席に届く。花道と実況席は相当離れているが、大悪魔に距離など関係なかった。

「はっ、はぁーーっ、はぁーーっ。た、大変失礼しました!」

 ローファンがイヴリスを向いて頭を下げると、ようやく解放されるのだった。

「いきなりの凄い技でした! これだけ離れてる相手を触れもせずに呼吸困難にするなんて……」

「えぇ、イヴリスには様々な伝説があります! 先代の悪魔王を打ち破り、女王の座に着いたという伝説は天使界でも有名です! その他にも多種族の王達を葬り去ってきた逸話は数多くあります! どこまでが本当のことなのか? わからないことだらけですが、間違いなく言えるのは、彼女こそ優勝候補の筆頭である、ということです!」

「解説ありがとうございます! さぁ、イヴリスが舞台に立ちました! 続いては対戦相手の入場です」



「西の方角! 死の国代表リッチ! ジーク!!!」

「さぁ、ジークが見えて参りました! うわっと、無性に寒気がします! な、ななな、なんでしょうか? 震えが止まりません!」

「死の国代表、ジークですね。リッチというアンデッドの最高位に位置する種族となっております! えー、こちらは未確認情報なのですが、この闘いに参加したジークと双璧を為していたリッチのハーデスが先日から行方不明になっているとの情報が入っております。まぁ、あの誰も近づかない遺跡のダンジョンで大人しくしてるだけとは思いますがね。ハーデスなんて間違っても倒されるような相手ではないですから」

「そうですねぇ、ハーデスは有名ですからねぇ。近づく者は死あるのみ、ですから……。ただジークも有名だと思うんですよ。何と言っても、元勇者ですからね!」

「リサさんもご存じでしたか! そう、ジークは元々人間族の勇者だったんですね! それがいつしか、こんな恐ろしい男に変わり果ててしまい……、いやぁ、人生ってわからないですねぇ」

「ローファンさんはジークが得意としている魔法などはご存じないでしょうか?」

「ジークは何と言っても元勇者ということもあり、雷魔法、神聖魔法、そして、リッチになってから闇魔法を修めているようです。特に死霊を使役する魔法は得意みたいですよ!」

「死霊を使役ですって??? うぅ~~~っ、怖いですねぇ! さぁ、ジークも舞台に上がりました! 会場の天使達にアピールの投げキッスをしているイヴリス。対するジークはイヴリスからじっと目を離しません! 睨んでいます! 目が赤く光っていて怖いです!」



 ジーク。元勇者か……。俺の使う雷魔法と神聖魔法に加え、闇魔法を使うのか……。しかし、モニターで見ているというのに、何だこの悪寒は……。

 俺は震える身体を隣に座っているキュイジーヌにバレないよう、腕組みをして抑えながらじっと、闘いが始まるのを待つのであった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~

ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆ ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

処理中です...