レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野

文字の大きさ
170 / 219
第9章 勇者RENの冒険

第168話 第六試合 決着

しおりを挟む


「ル、ルシフェルが奪い取った弓を放ったーーーッッッ!!! か、会場が再び爆炎に包み込まれるーーーッ!」

「まさか、マリーンが腕を切られてもギブアップしないとは思いませんでしたね。普通の神経ならば負けを認めてもおかしくない状況でしたが……、ギブアップしなかった以上、試合が続けられてしまいましたッ!」

「もはやマリーンの生存は絶望的かーーーッ! ん? 煙の中になにやら黒い誰かが動いております!!! 煙がすごくてよく見えませんッ! 一体、舞台で何が起こっているのでしょうかッ!」



   ***



 ルシフェルはこめかみをヒクつかせ、目の前の存在を睨みつけていた。

「貴様……、私の邪魔をするのか? それとも、そこの女に変わってお前が相手をしてくれるとでも?」

 ルシフェルの前には黒い鎧を着込んだ人形ひとがたの男がいた。その男は先のルシフェルの一撃を見事に受けきり、後方にいるマリーンを守ったのだ。

 周囲は爆炎が舞い、外からこの舞台の中はほぼ見えなくなっている。

「あいにくだが、アンタの相手をしている暇はない。俺はコイツを回収するだけ。もう気は済んだだろう? 見逃してもらえると助かるんだがね……」

 黒い鎧の男はルシフェルの剣を彼に戻すように軽く投げた。ルシフェルはそれを掴みつつも視線は離さない。

「見逃す? 貴様ほどの強者をか? 私は強者を求めてここに来た。今の試合はいささか消化不良でね。是非とも貴様もいただいてしまいたいのだがね」

「ならば、このトーナメントを優勝してみろ。そうすれば相手をしてやる。アンタの気が済むまでな」

 ルシフェルはさらなる激闘の予感に満足したようにうなずいた。

「ふむ、その言葉、忘れるなよ」

 ルシフェルは剣を鞘に収めた。そして、未だ煙が晴れない中、振り返るのだった。

 黒い人形は素早く、気を失っているマリーンを抱きかかえ、その姿を消す。

 舞台にはルシフェルがただ一人残されるのだった。



   ***



「あああーーーッッッ! 舞台が晴れてきましたッ! 立っているのはルシフェルただ一人! よって勝者、天使族代表! ルシフェル!!!」

 舞台が大歓声に包まれる。

「凄まじい歓声です!!! さすが我らのルシフェルですね!」

「えぇ、全くです。マリーンは跡形もなく消え去ってしまいましたね。最後までギブアップせずに戦い切るなんて、敵ながら見事、としか言いようがありません!」

「それにしても、煙の中で動いている人がいるように見えたのですが……、気のせいだったんでしょうかねぇ?」

「ま、そういうこともあるでしょう。第一、ルシフェル先輩のあの一撃が炸裂した中、誰かがその炎の中に入るなんてこと、出来るわけもありませんしね」

「うーん、そうですね。さぁ、舞台は早速、修理の部隊が補修し始めています。いやぁ、第六試合も盛り上がりましたね」

「えぇ、なんといってもルシフェル先輩の人気は凄まじいものがありました」

「ですが、ローファンさん、ここから第七試合、第八試合には巨人族代表のギガース、それからドラゴン族代表のバハルが登場しますね」

「えぇ、非常に楽しみな試合が待っているといっていいでしょう! もし、巨人族とドラゴン族の対戦が実現すれば、永年を戦い合ってきた彼らの戦争に決着がつくかもしれませんからね!」

「それは楽しみです! さぁ、舞台の修理が終わったようですね。では、第七試合が始まりますッ!」



   ***



「ううぅっ…………、お、お姉ちゃん……。うわあああぁん」

 チコの目には涙が溢れかえり、そのまま泣きじゃくってしまう。

 だが、誰もチコを慰めようとするものはいなかった。村のモニター前に集まっていた誰もが英雄の死に涙していたのだ。

「す、すまねぇ……、マリーン。まだ若いお前を死なせることになっちまって……。こんなことなら俺が行けばよかった……」

 村長の頬にも涙が流れていく。村長は泣きながらもチコの頭をギュッと抱きしめた。

「チコ。すまなかった……。村長である俺の判断ミスだった……」

 チコは村長の胸で止むことなく泣き続けるのであった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~

ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆ ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

追放されたプログラマー、異世界をリブートせよ ~バグスキルで神システムを書き換える~

川合佑樹
ファンタジー
異世界に転生したプログラマーのリクは、神の適性判定で最弱の職業「ノービス」を与えられる。 地球でのプログラミング経験が活きず、仲間から「役立たず」と追放された彼は、戦闘中に不思議なコンソールを発見する。 それは世界の「ソースコード」を編集できるスキル「コードエディット」だった。

異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。

真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆ 【あらすじ】 どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。 神様は言った。 「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」 現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。 神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。 それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。 あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。 そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。 そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。 ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。 この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。 さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。 そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。 チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。 しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。 もちろん、攻略スキルを使って。 もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。 下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。 これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。

処理中です...