176 / 219
第9章 勇者RENの冒険
第174話 バハルの反撃
しおりを挟む驚きに目を見開くバハルは身体を硬直させ、口が開きっぱなしになっていた。
もちろん、オレもノーダメージとはいかなかった。皮膚が一部焼けて黒く変色してしまったのだ。だが、これくらいなら問題ない。俺の再生能力ならばすぐに回復するだろう。それに身体の各部も問題なさそうだ。
ニュートは口を歪めるように嗤う。
「どうだ? ご自慢のブレスが効かなかったようだな。今度はこちらの番だ」
「ぬっ?」
バハルはハッと我に帰ると爪を伸ばし、戦闘態勢に入る。
ブレスのような攻撃は連射出来るものではない。せいぜい、一試合につき三回。それも、休憩に数分はかかるはず。
ブレスの吐き終わった後こそ、俺のターン。
ニュートは一気果敢に攻め始めた。
「あっーーっと、ニュートの姿が消えましたっ! ど、どこにっ?」
バハルにはニュートの動きが見えていたのだろう。咄嗟に上部に向かって爪を払った。
空中に激しい火花が散る。
「あっ! 上です。一瞬で上空に飛んで、空から刀を振り下ろしているーーーッ! バハルは受け止めたが、その爪が五本とも折れてしまった! さらにニュートが攻めるっ! 今度は横からっ! これもバハルが防ぐっ! 今度は後方からの攻撃だっ! ああーーッ! ついにバハルが被弾っ!」
バハルの後方へ素早く移動しての攻撃にバハルの爪の再生が追いついていなかった。
「もらったッ!」
俺の一撃がついにバハルを切り裂いた。
傷は浅い。だが、まずはこれで充分。
さらに攻め込んでいく。バハルに休む間など与えるつもりはない。さらに踏み込んで一気に攻撃をしかけるのみ。
「ニュートの攻撃が止まらないーーーッ! ここぞとばかりに斬り込んでいくーーー!」
「ニュートがこれほどの実力者だとは思いませんでしたね。ブレスを防ぎきり、さらにこの攻撃ではバハルを圧倒していますよ! バハルは防戦一方、これは番狂わせがあるかもしれませんね!」
***
バハルは余りの不条理に困惑していた。
何故だ? なぜ、下等種ごときが余の爪を折るなど……、まして奴の攻撃を喰らっただと?
そう考えている間にも奴は一瞬で姿を消し、また上空から襲いかかってきた。
ぬ? また同じ攻撃とは……、舐めてくれる。
バハルは上空のニュートを挟み込むように両腕の爪で攻撃する。さすがに十本もの爪が合わされば、奴の刀とまともに打ち合うことが出来た。
火花を散らす両者の攻撃。バハルの両腕とニュートの刀はがっちりと鍔迫りあった。
「まさか、これほどの威力とはな……。油断したよ。だが、ここまでだ。余の本気というものを見せてやろうではないか!」
バハルはニュートと鍔迫り合いで力比べをしながら、全身の魔力を練り集めていく。
バハルを炎のようなオーラが包み込み、そして……。
「おっ? バハルの様子がおかしくなっています! これは一体?」
「こ、これは……、恐らく変身です!!! キュイジーヌが本来の姿に変身したように、バハルもまた、変身するようです! 身体から放出される魔力の膨大さはキュイジーヌ以上のものがあります! どれほどの力を持っているのか、刮目しましょう!」
「変身ですか! バハルは神竜ですから、その真の姿が見られるわけですね! あーーーっと、バハルの身体が大きく膨れ上がっていくーーーッ!!!」
バハルの身体はみるみるうちに巨大化していく。腕は三倍の太さに、足はそれよりも太く、頭部も人形からドラゴンのそれへと変貌していった。
現れたのは紛れもなくドラゴン。真っ白なドラゴンが牙を剥き、腕の爪でニュートと対峙した。
その体長も優に倍以上の大きさとなっていた。高さは優に3メルを超える巨体が現れたのだ。
「舞台に真っ白なドラゴンが現れましたーーーッ! これがバハルの真の姿なのでしょう! 我々は今、伝説をこの目で見ているんですね!」
「……はい……、まさかこれほどのものとは思いませんでした! 内包する魔力量が桁違いですよ! ドラゴン種としては小型といっていい大きさでしょう。ですが、そんじょそこらのドラゴンとは魔力の量が違っています! よくいるレッドドラゴンの十倍の魔力量はありそうですよ!」
解説者の叫ぶような言葉に会場中がどよめきに包まれる。
「グルルルルルルル……、これで遊びは終わりだ。貴様などこの世に肉片一つ残さず消し去ってくれよう!
バハルは鍔迫り合いの状態を力尽くで弾いた。変身のおかげもあり、長い爪は四倍以上もの太さになっていたのだ。そのうえ、纏う魔力量も桁違い。ニュートを弾き飛ばすなど造作もないことだった。
「死ぬがいいッ!」
消えるように動き、攻撃し始めたのはバハルだった。
「な、なんだと?」
ニュートの視界から一瞬にして消え、バハルは上空から襲いかかった。
ニュートが上方に剣を振り、バハルの爪を受け止めると、ニュートを中心とした半円状の穴が舞台に空き、ニュートの身体が沈み込む。
「す、凄まじい威力! 先程までとは段違いの攻撃です! バハルが本気ですッ!」
「これは分からなくなりましたね! 先程まではニュートが優勢でしたが、これで地力ではバハルのほうが上回っているようですよ!」
ニュートは目一杯の力で受け止めたが、バハルの攻撃を受け止めきれず、最後はバハルの力を横方向にずらすようにいなした。
ニュートの側方にバハルの攻撃が刺さり、床が爆発する。
「ぐっ、これほどとは……」
バハルの攻撃が逸れて床に刺さっている隙に、オレは半円状の穴から飛び出し、バハルの様子を伺いつつ剣を構えるのだった。
1
あなたにおすすめの小説
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
俺のレベルが常人では到達不可の領域にある件について ~全ユーザーレベル上限999の中俺だけレベル100億いった~
仮実谷 望
ファンタジー
ダンジョンが当たり前のようにある世界になって3年の月日が流れてずっとダンジョンに入りたいと願っていた青年が自宅にダンジョンが出現する。自宅の押し入れにダンジョンが出現する中、冷静に青年はダンジョンを攻略する。そして自分だけがレベル上限を突破してレベルが無尽蔵に上がり続けてしまう。そうしていづれは最強への探索者として覚醒する青年なのであった。
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~
虎柄トラ
ファンタジー
下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。
意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。
女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。
敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。
剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。
一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。
快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる