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第9章 勇者RENの冒険
第201話 決着 三回戦第一試合
しおりを挟むジークは折れた剣をじっと見つめていた。そして……
カランッ……。
手に持っていた剣をその場に落とすのだった。
だが、ジークの戦意は落ちてはいなかった。
拳を震わせ、ギュウッと握りしめ、そして俺をか赤い目で睨むと、ジークの体から膨大な魔力が立ち昇った。
「許さん……、ワシの剣を……、よくも!」
「アンタの不幸の元凶を断ち切ったんだ。もう少し喜んでくれると思ったんだがね?」
「バカなッ! あれが無くては神共へ復讐することが……、せめてキサマだけでも道連れにしてやるわッッッ!!!」
ジークは膨大な魔力を使い、魔法を唱え始めた。
「こ、これは~~~~~ッッッ! ジークの周りにいくつもの巨大魔法陣が描かれていきますーーーッ」
「さすがはリッチ! これほどの魔法とはッ! 一発の威力ではイヴリスのほうが上かも知れませんが、総合的な威力では五分になるかも知れません!」
「そ、それほど凄いんですかッッッ!!! 私にはもう何が何やらわからないけど、とにかく凄い数の魔法陣としか分かりませんッ!」
「あの巨大な魔法陣は一発一発が、超越級のものですが、それが一息に十発以上です! これはまだ分かりませんよッ!」
俺はただ、静かに剣を構えた。
ただあるままに、飛んでくる魔法を切り裂いていく。
この刀は全てを斬ることができる。それはもちろん魔法とて例外ではない。
迫りくる巨大な炎の塊。俺は一歩も動かずにその場に立ったまま、刀を振り下ろす。
炎は刀の軌跡に沿って真っ二つに分かれ、俺の両脇に逸れていった。
目に見えない風の刃も、刀を合わせるように下からきりあげた。それだけで遥か上空へと飛んでいく。
次は下からのアースジャベリンだ。俺の体よりも遥かに太い槍が突き出てくる。が……、刀を地に向かって振り払えば、まるで最初から何も無かったかのように地面に戻っていった。
上空からの巨大な氷に対しても俺が動く必要などなかった。
その場から上に向かって刀を振れば、真空波が飛び、氷を粉微塵に砕いたのだ。
ジークの魔法は確かに強力なものだった。だが、この刀をもった俺の敵ではなかったのだった。
「RENが次々と魔法を切り裂いていく~~~ッッッ! 彼には、超越級魔法が通用しませんッッッ!!!」
「恐るべき刀を持っていたものです! 魔法が、まるで何もなかったかのように自然に消え去っていきますね! 私も永年色々な聖剣、神剣、魔剣を見てきましたが、これ程のモノは初めてお目にかかりました!」
「くうっ!!!」
ジークは苦しそうな声を上げた。
極大魔法は単発でも相当な魔力を消費するものだ。まして連発などしたら……。
「ま……、まだだっ! まだ終わってはおらん!」
ジークはさらに魔法を放ってきた。しかし、もう最初の勢いはなく、放つ魔法も上級魔法となっていた。
もはや刀を使うまでもなかった。バリヤーを張り、ゆっくりと歩く。
ジークの魔法は次々と着弾していくが、俺のバリヤーを貫ける威力などもう残ってはいなかった。
そして、ジークの目の前まで来たとき、奴は項垂れながら両膝を地面に着くのだった。
舞台が静まり返り、実況も言葉を失っていた。
「殺せ」
ジークはただ一言呟き、動かない。
「負けを認め、引くつもりはないのか?」
俺とてこの馬鹿げたトーナメントを仕組んだ神に、思うところがある。ジークと共に戦う道も、もしかしたらあるかもしれない。そのため、命を奪うのは躊躇われた。
「今更何を……、ワシの野望はすでに為すことは出来ぬ。もう、この世に未練などない……。殺せ……」
「そうか……」
これ程の男、死ぬには惜しい。しかし、負けを認めない以上、倒すしか道は残されていない。
「ならば、御免ッ!」
俺は刀を振り下ろした。
ガキイィィィン!!!
その途中で、刀は止まった。
「お……、お前はっ!」
以前に見たことのある黒い鎧に身を包んだ男が、俺の刀を剣で受け止めていたのだ。
「なっ、何ということでしょうッッッ!!! 黒騎士の乱入だ~~~ッッッ!!!」
「この剣撃……、腕を上げたな。だが、そこまでだ。ジークの身柄は俺に預けてもらおう」
俺が口を開く前に、黒騎士の後方から声がかかる。
「黒騎士とやら、ワシはすでに覚悟を決めた身。キサマに助けられる覚えなぞない。さっさと切れ! でなければワシがキサマの相手をすることになろう」
「フンッ! オレならいつでも相手になってやる。だが……その前にジークに手伝ってもらいたいことがある。どうだ? 俺とくれば、貴様の念願もある程度は聞いてやろうと思っているんだがな」
「なんじゃと?!」
ジークは驚きに顔を上げた。目の光が増し、黒騎士を見つめた。
「俺と一緒に来てもらおう。貴様の命、この俺が預かる」
ジークは黙って頷いた。
そして黒騎士はジークと自分の周りに黒い霧を出したかと思うと、舞台から消え去ってしまうのだった。
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