ガチャ召喚士〜ガチャを使って目指すは最強の王国〜

餅の米

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第三章 クリミナティ調査編

第51話 3日前 後編

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大きな鉄格子の門を潜り数百メートルにも及ぶ中庭を抜けると大きくそびえ立つ屋敷の前にランスロットは立つ、外観から敷地面積まで、何もかもが規格外の大きさだった。


二段ほどの階段を登り玄関の前に行くと3回ほど一定のリズムで扉を叩く、すると数秒としないうちにメイド服を着た女性が扉を開けた。


「なんの御用でしょうか」


「イルフリードさんの紹介でグレルドさんに用がありまして」


そう言い昨日貰ったサイン付きの地図を見せる、するとメイドはお辞儀をして家の中へと案内した。


「グレルド様は執務中です、お呼びいたしますので応接間でお待ち下さい」


そう言い通された絵画や洒落たツボが飾られる応接間、床は赤い絨毯に壁は木目調と言う内装にランスロットは辺りをキョロキョロと見回していた。


すると数分もしないうちに応接間の扉が開き、先程のメイドを引き連れ銀髪の少し目付きが悪いオールバックの男が入って来た。


「よく来てくれたねランスロット君、因みに廊下でフラフラしてた子は妹さんか何か?」


そう言い扉の向こう側を指すグレルド、その言葉に隣を見ると先程まで座っていた筈のマリスがいつの間にか居なくなっていた。


だが見た目はただの子供、特に怪しまれる事もない……万が一何かしたとしても子供だからと許される筈、それにマリス様は自分より数倍も強い……今回はフラフラする性格が功を奏したかも知れなかった。


「そうですね、妹見たいなものです」


「そうか、それより……ランスロット君は本当に騎士として腕が立つのかな?」


「え?えぇ、まぁそれなりには強いと思いますけど」


突然の問い掛けにそう少し戸惑いながらも答えるランスロット、するとグレルド突然手を挙げた。


その行為に疑問符を浮かべるランスロット、するとグレルドが手を下ろした瞬間メイドが懐からナイフを取り出し襲い掛かってきた。


突然の出来事に少し遅れを取るランスロット、メイドは一瞬にしてランスロットの目の前に接近すると足を踏みつけ動けない様にしてナイフを突きつける、だが瞬きをした瞬間ランスロットの姿は消えていた。


「これで私の実力……分かって頂きました?」


そう言いメイドの喉元に指を当てるランスロット、メイドは何が起こったのか分からない……そんな表情をしていた。


「凄い!ランスロットと言う名に恥じぬ速さ……まさに光の騎士だな!」


そう言い拍手を送るグレルド、彼の言葉にランスロットはハッとした。


彼らの言っているランスロットと自分は別人の設定なのについつい素の自分で戦ってしまった……まだあの程度ではバレないとは思うがこれからは気を付けて戦わないと行けなさそうだった。


「すみませんね」


そう言いメイドの喉元から指を離すとメイドは悔しそうにグレルドの隣へと戻って行く、その姿に少し罪悪感を感じた。


グレルドはメイドが隣に来たのを確認すると両手を叩き仕切り直した。


「そうだね……単刀直入に言おう、我が派閥に加入してくれ」


「はい、私もそのつもりでお尋ねしましたから」


そう問いに笑顔で即答するランスロット、クリミナティとの繋がりが一番ありそうなグレルド派閥への勧誘……願ってもない事だった。


「ありがとう……それじゃあ一つ、頼み事を聞いてくれるかな?」


「頼み事……ですか?」


「心配しなくていい、確かランスロット君はラフォスと仲が良かったよね」


「仲が良いというか、知り合いと言うか……別に対して深い仲では無いですよ」


「そうか……取り敢えずラフォスに派閥は決めたと今日話して来てくれ、それだけで良い」


グレルドの謎な頼み事に頷くランスロット、わざわざ頼む事なのか……何か狙いがあるのかは分からない、ただ今は無駄に詮索するのはやめておいた方が良さそうだった。


恐らく彼はまだ自分の事を信じては居ない、その段階で色々と探りを入れれば怪しまれるのは必至……湧き上がる感情をグッと抑えた。


「ありがとうランスロット君……それじゃあ解散と」


グレルドが礼を言い何かを言い掛けたその時、屋敷の何処かで爆発する音が聞こえた。


「な、なんだ!?」


グレルドは突然の爆発に驚きを隠せずに居る、一方のランスロットは冷や汗をかいて居た。


この場に居ないマリス様が何かをやらかした……そんな気しかしなかった。


「音の方は……倉庫からか!?」


妙に慌てふためき倉庫の方へと走っていくグレルド、誰がやったかの犯人はもう分かって居るのだが何故グレルドがそこまで焦って居るのか分からなかった。


爆発音の規模的にそこまで大きな爆発では無い、引火が怖いのだろうか……余程この家に思い入れがあるのか、もしくは万が一の事があってはいけない何かがあるのかのどちらかだった。


「メイドさんはこの家に来てどれくらいになるんですか?」


扉の前でランスロットが動かない様に見張るメイドに取り敢えず話し掛けてみる、するとメイドは意外にも即答した。


「グレルド様にお仕えして三年程です」


「そうなんですか、もっと長い物だと思ってましたよ」


「この家にグレルド様が越して来たのを機に雇われたのでそれ程長く無いです」


そう言い無言になるメイド、この家に越して来たのを機にと言うことはグレルドがこの家に住み始めて三年程の月日しか経って居ない……と言うことは親から譲り受けた家という訳でも無い……となれば思い入れはそんなにない筈、今すぐにでもこの家を探索したいがメイドが邪魔だった。


「どうされましたか?」


メイドを見つめるランスロットに不思議そうな表情をして尋ねる、こんな時に自分のポリシーが邪魔をすると思っても居なかった。


「いえ、何でも無いですよ」


そうは言いつつもやはりマリス様の事が気掛かりだった。


身の心配では無く何かやらかして居ないかと言う心配……爆発なんて何をしたらなるのか、不思議で仕方がなかった。


数十分ほど無言のまま気まずい雰囲気が漂う応接間で待ち続けると息を切らしたグレルドが少し焦げて居るマリス様を連れて戻ってきた。


「はぁ、はぁ……ちょっと焦げてたけど何とか無事だったぞ」


そう言い何処か嬉しそうな無言のマリスの背中を押しランスロットの元へと送るグレルドに、ふとオイルが入って居たカバンを見ると前見た時よりもパンパンになって居た。


まさか……本当にオイルの為だけに来て居たとは思っても居なかった。


相変わらずブレない、だがそこがマリス様の良いとこでもあった。


「なんかすみませんねグレルドさん」


「気にしないでくれ……それとラフォスの件、お願いしますよ」


そう言いメイドに玄関まで送らせるグレルド、ランスロットは頷くとマリスの手を引き足早に屋敷を出る、そして敷地外に出て少し離れた所でマリスの手を離すとランスロットはため息を吐いた。


「マリス様……本当に勘弁してくださいよ」


「私が本当にオイルだけにしか目の行かない奴と思ってるの?」


そう呟くマリスの言葉にランスロットは首を傾げた。


表情の変わらないマリス、オイルの事ばかり言っていた故にてっきりそうとばかり思っていたが……彼女の口ぶりは何かを掴んだかの様だった。


「トイレに行くふりをして家の内部を少し探ってたの、そしたらこんな物を見つけた」


そう言い一枚の紙を手渡すマリス、ランスロットはその内容に目を通すと驚愕した。


「国王暗殺計画……?」


日付は今から3日後の朝……セルナルド国王を暗殺する手順が記されていた。


アラサル捕縛作戦に国の兵隊が大きく割かれるのを逆手に取り手薄になった城を一気に攻め国王を殺すと言う作戦……だが少し気になることがあった。


「これは何処で見つけたのですか?」


ランスロットはマリスに問う。


「書斎の机」


そう答えたマリスの言葉にランスロットは腕を組んだ、不自然だった、こんな大切な紙を来客があると事前に分かって置きながら無防備に置くものなのか……アルセリス様に報告をしようとしていた通信魔法をそっと解くとランスロットはゆっくり歩き出す、これは罠と言う可能性も考えられた。


だがこの国に引っ越してきたばかりの自分達に罠を掛ける必要はない筈……分からなかった。


「取り敢えず……ラフォスにだけ伝えますか」


そう言いランスロットは紙をポケットにしまうと後ろを歩くマリスを他所に帰路へとついた。
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