上 下
44 / 97
2章 コスで冒険

44話 ササピーさん奪還作戦

しおりを挟む
次の日の朝食、僕はちょっと恥ずかしい思いをして食事をしています、サーヤがあの部屋の戦いを面白おかしく話してるんです、着色もあるけどみんな聞いてて楽しそうだから止めれません、もう止めてと顔を真っ赤にして心の中で叫びます。
サーヤはお話を組み立てるのが上手です、男が僕に短剣を突き付けた時、僕の真剣な顔を自分で作って表現してます、男たちの間抜けな顔も作って面白くしてるんだ、食事が進まないっとササピーさんが注意するまでそれは続き、お片付けの時もその話題は絶えなかったんだ。


「すごかったなぁエリナ姉」

「良いよなぁ~俺たちも行きたかったぜ、どうしてあいつらサーヤを選んだんだよ、俺だって良かっただろ」


アルミクが勝手な事を言ってるよ、年長者はみんな僕の指示で準備をしていました、それがたまたまやって来ただけです、目の前で見たいのは分かるけど、サーヤは初めてで怖がっていたんだよ。
それをサーヤは少し怖かったとアルミクに伝えます、でもアルミクは僕が一緒ならそんな事はないだろ?とか言い返していました。


「まぁアジュアを投げ飛ばしちゃうくらいだもんねぇ」

「うん」

「エリナ姉はすごい」


食器を洗いながら4人がまた話が膨らんでしまったと話を戻させます、あそこで頑張ったのはサーヤです、僕はほとんど動いてません、アルミクたちが捕まっていてもそれは変わらなかったはずです、みんなはよくお勉強をしていますからね。
レベルはそれほど上がっていません、でもスキルを沢山持ってるので男たちは敵わなかったんだ、僕は対処された場合の保険だったんだよ、食器を拭きながらみんなを心の中で褒めます、僕が言葉にするとまた騒がしくなりますからね。
サーヤの演劇はお昼まで続きました、さすがにここまで来るとお勉強にも支障が出てるって、僕はとめようとしました、そこにまたまた来訪者が来たんです。


「またメイドさんだね」


ササピーさんが対応しているので、僕はまだ演劇を続けているサーヤを止めます、さすがに恥ずかしいんだよ、何もしてないのにさ。
これ以上言うと、サーヤの活躍もアルミクたちに伝えるよっと、脅し・・・いえ説得しました、サーヤがやっと止めると、ササピーさんが手紙を持って僕に近づいてきます、メイドさんは門の方に歩いていました、用事は手紙だけだったようです。


「先ほどのメイドさん、どんな御用だったんですか?」

「それがね、区画管理者の伯爵さまからなの、昨日の件で夕食を招待されたわ」


謝罪をしたいから招待状を送ってきたそうです、孤児院の責任者であるササピーさんを呼んでるので行くそうですよ、どうしてササピーさんが行かないといけないのか、僕はすごく疑問です。
向こうがここに来るのが礼儀です、ササピーさんに行く必要はないと直ぐに指摘しました、だけど行くことを止めてくれません。


「どうしてですかササピーさん、あんな奴らに礼儀を尽す必要ありませんよ、僕が言って」

「あなたが自由にできるように行くのです、もうここに援助金は必要ありません、今回の事もありますから釘を刺しておく為にも行かなければなりません」


その方がいいでしょ?っとササピーさんがちょっと怒っています、今回の騒ぎは子供たちに悪影響だと怒ってるんです、ごめんなさいお願いしますっとササピーさんにおまかせしました。
酒場のお仕事があるので、サーヤたちだけのお留守番です、夕食は作りに来るけど、しっかり頑張りなさいっとササピーさんが子供たちに指示していました。


「伯爵様がねぇ~」


酒場のお仕事中、みんなにその話をしました、支障のない範囲で孤児院の事情を聞いて貰ったんだ、みんな上の管理なんていらないと即答してきましたよ。
自分たちの生活を支えてくれない、役人は誰も顔を出さない、税金だけは取って顔も見せなければ信用は掴めません、お客さんたちも聞き耳を立て静かに頷いていますね。


「で、でも平気なんですかササピーさん」


謝罪の招待だし、問題ないでしょっとアマリスを撫でておきました、悪い奴は息子だったのでそいつは倒しました、だから平気なはずです。
その時の僕はそう信じていました、胸騒ぎがしていたのにです、そしてそれは夕食を作りに行った時も変わらなかった、仕事が終わり夜遅くに帰って初めて分かったんです。


「貴族の奴ら、僕たちを何だと思ってるんだ!」


僕が帰ってきて30分が経ちました、0時を回ったのにササピーさんは帰って来ていません、夕食の招待だけならもう帰って来てなければおかしいです。
子供たちもササピーさんが帰って来なくて心配していました、でも年長者のアルミクたちがみんなを安心させ僕の帰りを待っていたんだ、僕が帰って来た時4人は泣いてた、今までこんなに泣いてるみんなを見た事がない、絶対に許せない。
影分身を無数に作って街中を探し始めます、そして見つけた場所は最悪の場所です、なんと伯爵の屋敷の地下牢でした。
アルミクたちが泣きつかれ寝てて良かったです、今の僕は怒りを抑えられません、絶対に許さないと戦うシスターコス着替え北の屋敷に向かいます。


「謝罪の為に呼び出したはずじゃなかったのかよ?どうしてササピーさんを牢屋に入れてる、そんなに貴族は偉いのか、ふざけんな!」


何でもありかふざけるな!僕は伯爵の屋敷を睨みます、とても大きく上級貴族だけはあると嫌になりました、でもだから何だと僕は門の前に立ちます、錫杖を地面に付き刺し腕を組んで門番を待ったんだ、門番は僕を見て武器に手を添えて警戒します。


「シスターがこんな時間に何の用だ?」

「ここの伯爵に家の責任者が夕食に呼ばれました、その方がまだ帰ってきてないんですけど、どういうことですか?」


これは僕の最後の良心です、ここで引き渡せば夢見のお仕置きだけで済ませます、でもしらばっくれたら、ここをすべてを破壊します。
門番の一人が屋敷に走って行きました、僕はイライラが止まりません、分身にはササピーさんの救出する用意をさせました、こいつらの答えを聞いてダメだったら速攻で助けます、地下牢から一秒でも早く出してあげたいんだ、怪我をしてないからまだ良いけど、もし怪我をしていたら、僕は何も言わずに突撃しています。
イライラして待ってると、やっと兵士が帰ってきました、後ろには執事服のおじいさんが付いて来てます。


「歩いてないで走って来いよ」


ブツッと愚痴を言い捨て錫杖を地面から抜きます、ササピーさんが付いて来てない時点でお終いです、錫杖を握る手に力が篭ります、やっと来た執事はどのような御用とか悠長に聞いて来たんだ。


「ふざけてるのかな?」

「何を言ってるのか分からないと申しています、お引き取り願えないのなら力ずくとなりますよ」


門番たちが武器を抜きました、どうやら終わりです。
相手の言い分は自分勝手のモノでした、ササピーさんは援助金は要らないと伯爵の進言しただけみたいです、それを決めるのは区画管理者の自分だと不敬罪を言い渡した、だから今ササピーさんは地下牢に入れられてるんだ。
屋敷に潜入した分身たちがメイドたちなら聞いた情報を聞き納得です、もうこいつらは信用できません。


「それは伯爵のご意思ですね、もうどうなっても知りませんよ?」

「もちろんです、ワタクシ共はドラソル様の指示で動いています、明日には連行されることでしょうなあの平民」


はははっと笑う執事を見て、僕は柵の門をぶち壊しました、執事の笑い声は止み、門の前で剣を構えていた門番は柵に潰されたんだ、執事はギリギリ潰されなくて僕をビックリした顔で見ていきた。
僕は執事を睨み「人でなしに慈悲はない」と言ってやりました、倒れた柵の門を踏みつけてゆっくり進んで行きます、これから神の制裁を開始します。
しおりを挟む

処理中です...