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2章 コスで冒険

43話 積もり積もって

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天井裏に着いた僕は、シノビコスを脱ぎ下に着ていたインキュバスコスにチェンジです、下着みたいなコスなので着替えることが出来ました、そして夢を操作してドルソンに悪夢を見せます。
うなされてるドルソンを上から見て、まだまだこれからだよっと独り言をつぶやいたんだ、インキュバスは夢を操作できる種族です、いい夢にも出来れば悪夢にする事も可能です、うなされて起きたと思ってもそれはまだ夢の中、また怖い悪夢を見続ける、これが最初のお仕置きです。


「次は起きた時だよ女の敵」


この男は女性をモノ扱いでひどい事をしてきました、それと同じことを夢の中で仕返ししてやります、起きた時にはアレは立たなくなることでしょう、これが次のお仕置きで夢から覚めたらホッとするかもしれません。


「でもねぇ~そうはいかないんだよ」


起きる事が出来ず、ずっとうなされてる男を眺め、僕はシノビコスを着こんで人が来るのを待ちます、既に準備は万全です、ここに来る前に色々仕込んできました、それを発見した人がドルソンを目標にドカドカと足音を立てて向かってきています。
ドルソンはそれでも起きれません、何重にも重ねた悪夢を見続けています、それは誰かが触れない限り続きます。


「ドルソン!いるかドルソン!」


大声が屋敷に響き扉が勢いよく開かれました、その人はここの当主のドラソル・ドールゾ伯爵、女の敵の父親です。
寝ているドルソンを叩き起こしてくれました、うなされていたせいで息を切らせてるドルソンは、最初怖がって父親と距離を取ろうと手で押します、でもドラソル伯爵が顔を殴りベッドに倒します。
やっと正気に戻ったドルソンは、父親だと分かり冷静さを取り戻したようです、僕はちょっと残念に思ったんだ、ここで更に暴れてくれればもっと楽しかった、でもドラソル伯爵は僕の予定通り、ドルソンの胸ぐらを掴み宝物庫を荒らした件を追及します。


「な、何を言ってるんだ父上、オレはそんな事していない」

「嘘をつくんじゃないドルソン!ワタシ以外であそこに入れるのはお前だけだ、鍵も壊されてないんだからな、どうせ女遊びに使うつもりだったんだろう、この馬鹿モノが!」


ドラソル伯爵が息子を殴った後、兵士に部屋中を探させます、ドルソンはあるわけないっとそのまま抵抗はしません。


「それはそうだよねぇ~僕が盗んだんだもん、でもお前は日頃の行いから信じてもらえなかった」


反省しなさい、そう言い捨てると兵士が僕の仕掛けに掛かります、机の引き出しからお金や宝石の入った袋が発見したんだ、あいつは表情を変えビックリです。
自分は知らないっと否定しますが、ドラソル伯爵は証拠が出たぞっとドルソンを締め上げます。


「ち、父上・・・し、信じて」

「学園で婚約をしていない女性を手に掛け傷モノにした、それでも賠償をして謹慎だけで済ませたんだぞワタシは・・・お前が心を入れ替えると思ったからそこまでしたんだ」


あいつの締め上げたままでドラソル伯爵は涙を流します、今までやってきたのは息子の為だったと必死に叫んだんです、あいつもそれが分り謝ります。
でも、それはもう遅かったんだ、ドラソル伯爵の目は息子を見る目じゃなくなってしまったんです。


「ワタシは信じて来たんだぞ・・・だがお前はそれを裏切った、孤児院の援助金横領に加担しただけでなく、女遊びの為に誘拐までしたそうだな、そこに隠した金や宝石はそいつらの報酬に使うつもりだったんだろう」


サンバノが全て証言したと話します、それは半分嘘も入ってると天井裏で笑いそうだよ、今までの行いが悪い方に全て繋がってしまった、違うと言っても聞いて貰える訳がありません、それだけの事を今までしてきたんですからね。
兵士がドルソンは縛りあげると、ドラソル伯爵は怒ったままで「もうお前は息子ではない、出ていけ!」と告げました、命を取らなかったのは最後の情けですね。


「オレはやってないんだ父上!サンバノが仕組んだ事だ」

「まだ言うのかドルソン!サンバノとその仲間は横領の責任を取らせる、犯罪者として鉱山労働者行きが決まっているだよ、お前もそっちの方が良いか?どうなんだ!」


どちらを選んでも地獄です、でもドルソンは諦め口を閉ざします、鉱山に行くよりはこのまま屋敷を出た方がマシだと思ったんでしょう、兵士に連行され部屋を出ました。
ドラソル伯爵は誰もいなくなった部屋で頭を抱えます、もっと早く息子を処罰するべきだったと反省しています。


「男爵令嬢に手を付けた時点で止めていれば、その後の伯爵令嬢に手を付けなかった、処罰も謹慎だけでなく退学と重くなった、賠償もかなりの額だ・・・ワタシの跡継ぎは次男のドミノクか長女のファリーに託そう、学園都市から無事に帰って来るのだぞ」


窓を眺め深刻そうです、学園都市はそう言った場所なんです、虐めや暗殺が絶えない場所でほんとはみんな行かせたくないんですよ。
そんな場所にはしたくない、僕はちょっと勿体ないと思い屋根裏から退散しました。


「噂の孤児院がワタシの区画にあると知りこれからだったのにあのバカ、これではその女性を雇い教育する事が出来なくなってしまったではないか」


パーティーで情報を掴み、これはいけると手をまわそうと帰って来た所でした、区画管理者の地位が役に立つと喜んでいたんです。
孤児院の女性も給金が沢山貰えるから断る事は無い、そう思っていた、でも実際は支援金は届いておらず苦しめていた、更に悪い事に横領が発覚してしまった。
孤児院の者たちは恨んでいる、それなのに更に今日の出来事が起きてしまった、これではどんなに良い条件でも雇う話は受け付けない、どうしたものかとドルソンの椅子に座り考えます。


「アサラン様のご機嫌を取る機会が無くなってしまった・・・ここはワタシが我慢をするべきだな」


まずは孤児院に謝罪だと、招待状を孤児院宛てに書きました、メイドに手紙を渡し明日の夕食に招待する事を指示します。


「後は陛下への謝罪だ、ここが一番の問題だな」


どうやって罪を少なくするか考え、兵士を呼び謁見の予約を取るように指示を出しました、ドラソル伯爵は椅子から立ち部屋を出ます、扉を閉める時、部屋を眺めてもういなくなった息子を思い悔しさを顔に出していました。
この表情と最後の伯爵の気持ちを僕は知りませんでした、これを聞いていれば最悪が避けれたかもしれません、でもそれは起きてしまうんです。
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