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5章 コスの人生

93話 孤児院で製作

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「え、エリナ姉・・・どうかな?」


モジモジしたサーヤに言う答えは、さいっこうに似合ってる!です、ヘビさんも正気に戻り、収納にしまった森を戻した僕は、素材を報酬として貰えたんだ、森は完全には戻せなかったけど、最初から根ずくよりも早いっと喜ばれました、ウサウサさんも最後は嫌った顔をしていませんでした。
ミーオも隣にいて、同じウエディングドレスを着てます、とっても似合ってます、魔法の糸でキラキラフワフワしていてなびいてます、コスにはならないけどすごく綺麗です。


「本番が楽しみだね」

「ほ、ほんとに開くの?アタシすごく恥ずかしいんだけど」


結婚式を開くのは4人とも嫌がってます、料理が特別な物じゃなかったらここまで来ませんでした、最高の式にするのが僕のお仕事です。
アルミクたちのタキシードも出来ています、後で袖を通して貰うんだ、今は外出してて訓練をしているんだ、逃げたのは確実だけど、逃がさないよ。


「約束した料理があるでしょ、ドレスも似合ってるし楽しみにしててね」

「まぁ綺麗だけど・・・そっちの装備を使うお仕事があるんでしょ、エリナ姉が大変じゃない」


虹色の装備を見てサーヤが心配そうです、ミーオも頷いてるけど、僕は楽しんでると伝えたんだ、それは前と変わらず僕の趣味なんだよ、正直学園祭はついでで結婚式の方が重大です、あっちは僕がいなくても分身がいるから成功します、だけどこっちは本体である僕が開催したいんだ、最近孤児院にいられない僕の我がままです。
虹色の装備も完璧に仕上げました、後は相手がどう出るか、分身たちの情報を元に作戦は決めました、後は虹のお姫様が完結してくれるでしょう。


「でも」

「サーヤはいつも心配してくれるね、ありがとう」


僕のお礼を聞くと、サーヤは泣き出してしまったんだ、きっと子供として見られるのが悲しいんだ、僕に苦労を掛けている、それはどんなに言いつくろっても考えてしまう事、だから僕はサーヤの頭を撫でるのではなく握手を求めます。


「サーヤ、僕の仕事は増えたけど君たちの為に働くのはそっちじゃない、僕にとってここは家族のいる家なんだ、家の事をするのに仕事だとは思わないよ、明日から君は成人者だ、きっとそのことが分かる時が来る」


ようこそ大人の世界へ、そんなメッセージを込めてサーヤとミーオと握手をしたんだ、孤児院の生活は僕の楽しみで趣味です、だから外のお仕事とは違う、サーヤたちのレストランもそれになる、酒場で働いた事のある二人ならきっとそれが分かる。
その時はお酒を飲もうと約束をしました、早く来ることを願っています。


「お酒かぁ~美味しいのかな?」

「分からない・・・でも、あれを付けたエリナ姉を見てみたい」


虹色の王冠とガントレット、ハイヒールにドレスと全部そろっています、もちろん下着も全部虹色なんだ。
ふたりの要望です、僕はそれを装備したんだ、装備すると髪の色と目が虹色になります、サーヤとミーオはビックリです。


「これが僕のスキルなんだ、みんなには内緒だったけど、能力も変わるんだよ」


ユニークスキルを二人に教えました、ふたりは動かず僕を見て目をキラキラさせて来ていました、どうやらスキルで変身した方にビックリしていたわけじゃなく、綺麗だから見とれていたみたいなんだ。
ダンジョンの事もあり今更とか言われちゃったよ。


「すごく綺麗、さすがエリナ姉」

「ん、ほんとに綺麗」

「ありがとふたりとも、だけどふたりのドレスも変われるよ、魔力を通してみて」


不思議に思いつつ、ふたりが魔力を流します、するとドレスがミニスカートに変わったんだ、色も虹色です、それを見てふたりはスカートを抑えて足を隠そうとしてます。
隠せなくて座り込んだふたりに、そんなに恥ずかしいの?っと疑問に思ったよ、冒険者の装備で短パンとかあるんだ、あれよりは足が出てないんですよ、それをサーヤは履いていた事がありました。


「ああ、あの時はまだ分かってなかったんだよエリナ姉、アタシはもう大人だよ、こここんな足を出してたら恥ずかしい」

「慣れれば平気だよ、それに可愛いよ」


3人で虹色になってますけど、ふたりはとても可愛いです、写真はまだ撮りません、本番までこの衝動は押さえておくんだ。
ふたりを何とか説得し、落ちついた所で服を着替えました、お菓子を用意して楽しいお喋りの開始です。
夕食前までそれは続き、夜にもう一度集まる事を約束します、そして夜にふたりが部屋に訪れると、入って来ないで立ち止まってます。


「ど、どうして」

「エリナ姉、ベッドが!?」


部屋がベッドでいっぱいになっています、今日はパジャマパーティーをする為に設置しておいたんだ、ふたりに手招きをしてお誘いをしました、これも大人になる準備ですよ。
ジュースで乾杯してお菓子を一口、ふたりが良いのかな?っと困っていますよ。


「今日は良いんだよ、明日から大人の仲間入り、辛い事があっても乗り越えなくちゃいけないんだ、でもそれは一人じゃない、みんなで協力して乗り越えようね」


1人で背負うからみんな挫けてしまうんだ、協力してくれないのもあるけど僕は違う、だから息抜きも一緒にしたくて今日は誘いました、今頃リュウもアルミクたちを誘ってるはずです。
ふたりが喋り疲れるまでパーティーは続きました、それはとても楽しい時間でしたよ。


「こ、これがお酒」


サーヤとミーオに布団を掛ける2時間前、リュウの部屋ではいけない行為が行われていたんだ、ウイスキーやジンととても度数の高いお酒が並べられていたんだよ、それを見てふたりは唾を飲みます。
まだこんな物じゃない、リュウは逆三角形のグラスを3つ用意して、作っておいたカクテルを注ぎます。

「まだ成人してないけど、明日は出来ないからね、だからおめでとうふたりとも」


乾杯をグラスで行い【キン】っと良い音をさせて3人にカクテルを飲みました、その味はいけないことをしているという魅力もあり、最高に美味しいとふたりは笑顔になったんだ。
つまみはチーズやソーセージと、少し味の濃い物です、フライドポテトを一口食べリュウが二人にサーヤたちをどう思うのか聞きます。


「どうってなんだよ」

「そのままだよアルミク、好きなんでしょ?どこに惹かれたの?」


良くある恋バナです、いつも一緒にいるから惹かれたとか簡単に言ってきました、だけどそれだけのはずないんだ、だからそこを突いたんだ、アルミクは恥ずかしそうにしていたけど、甘酸っぱいお話を聞けました。


「うんうん、良いねその思いが叶ったんだね」

「そうだけどよ、リュウはどうなんだよ」


はいっ?とリュウは驚きます、アルミクたちはギルドの受付嬢の話を知っていたんだ、だから次はリュウが攻められる番なんです。
デートをして旅行に行ってどうしたのか、それは何も無かったんだけど二人がそれで納得いくわけはなかったんだ、仕方ないので今後行動するお話をして納得してもらいました、でもそれは嘘にもなる事だったんだ。


「そ、それが大人の世界か」

「すごいね」


そうでしょっと、リュウは汗を流します、これで後戻りできません、身体が出来たら告白しないといけなくなりました。
新年祭が終わったら告白する、リュウは二人に約束したんだ。
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