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1章 下積み
5話 野球は勢いが大事
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久しぶりの打席でドキドキだが、それは緊張ではなく嬉しいからで、本来はタイミングを見る為に一球は手を出さないんだが、俺は自然と神棒を力一杯振っていた。
「なっ!」
良い音を出して神棒は球に当たり、久しぶりに弧を描く球を見て興奮したよ。
自然と俺は走っていたんだが、相手の戦士たちは誰もがその球を見て動けていなかった。
「そんな馬鹿な」
一塁の陣を守る戦士がボソッと言っていたが、あの球速なら余裕だし、ど真ん中だったら誰でも打てるだろうと思ったよ。
しかし、二塁の陣も戦士も三塁も同じように驚き、ホームのキャッチャー(クイーン)は俺を見て怯えていた。
「なんだよ、俺が打てるとは思ってなくても、怖がるってないだろう」
どうしてなんだと思い、みんなが集まるベンチ(野営地)に戻ると、みんなが俺を見た後歓声が上がった。
俺は凄いと喜んでくれて、後に続こうと士気は上がった。
「じゃあ、誰が次行く」
「そこは俺だろう」
「いいやワシが行く」
父さんとガンズおじさんが名乗りを上げ、どちらにしようか悩んでいる中、俺が父さんを指名した。
その理由は、ガンズおじさんのパワーを後に取っておきたいからで、当てるのが得意な父さんに陣に出てほしいとお願いした。
「なるほど、俺が陣にいれば後のガンズが大きな当たりを打って両方が帰ってくるのか」
「そう言う事だよ父さん、だから俺に続いてね」
「おう、任せておけアース」
気合の入った父さんを応援し、俺たちはどうなるのか見守ったんだが、その期待に父さんは第一球で応え、見事に陣に出た。
期待に応えた父さんが、1の陣でガッツポーズを俺たちに向けていて、これは続かなくてどうするかとガンズおじさんの気合が最高潮に達した。
「ガンズおじさん、ちょっと力が入り過ぎだよ、深呼吸しましょうか」
「シンコキュウ?なんだそれは」
「息を大きく吸って、静かに吐く事です」
あまり興奮しすぎてもダメと思い、俺はまずガンズおじさんを落ち着かせて、おまけとして娘さんに良い報告を伝える自分を思い描いてもらった。
それを聞き、ガンズおじさんは落ち着きを取り戻し、気合を内に秘めて打席に立った。
「これはいけるね」
実力も大切だが、今の様に場の空気がそれを超える事はよくあって、ガンズおじさんは見事に大きな当たりを打ち二人が戻って来た。
初回で3人が戻ってきて、これは楽勝という空気が出てきたが、正直俺は不安が出てきた。
「俺たち3人以外は凡退、これは他の人は戦力になってないって事だ」
あの空気の中で打てないのはかなり致命的で、それだけの実力差があるのが良く分かった。
振り方もそうだが、誰もその事に気づかず喜んでいるだけだった。
「本来なら、変わった振り方で打った俺たちに興味を持つはずなのに、これではまずいな」
この後相手に点を取られるわけにはいかないから、俺たちの当たりを引きずっている今がチャンスと、俺はある提案をみんなに伝え、見事にみんなが承諾してくれた。
守備に入り、その提案が相手を恐怖で包み込み、俺はキングの位置でニヤリとした。
「ピッチャーなんて、前世でも立ったことなかったけど、なんだか良いな」
相手を威圧しているのが分かり、クイーンの位置に座る味方の戦士も元気が良かった。
問題は俺の球を取れるかだが、ここで今のルールが俺たちに味方した。
「陣の中を通ればストライクで、3球通る間に相手の戦士が当てなければいけない、これは俺にとって最高に有利なルールだ」
クイーンの戦士が取れなくても、3球目は振り逃げにもならずアウトが取れる。
陣の端ギリギリを通っても良いし、曲がる球でも問題は無いから、今の段階で打たれる事は考えられなかった。
「この戦争の攻守は、5回の交代で勝敗が決まるから、子供の俺の体力でも十分持つぞ」
畑仕事を休みなく行っていた俺は、今までの人生を実直に進めていた事が勝利の道になって嬉しく思い、両手を振りかぶり足を大きく広げて第一球を放った。
その球は、味方のキャッチャー(クイーン)の手ではなく腹のど真ん中に命中し、味方の戦士が痛がったが、それよりも打席に立っていた相手戦士と審判をしている戦争ギルドの人が驚き、その場でしりもちをついていた。
「なっ!」
良い音を出して神棒は球に当たり、久しぶりに弧を描く球を見て興奮したよ。
自然と俺は走っていたんだが、相手の戦士たちは誰もがその球を見て動けていなかった。
「そんな馬鹿な」
一塁の陣を守る戦士がボソッと言っていたが、あの球速なら余裕だし、ど真ん中だったら誰でも打てるだろうと思ったよ。
しかし、二塁の陣も戦士も三塁も同じように驚き、ホームのキャッチャー(クイーン)は俺を見て怯えていた。
「なんだよ、俺が打てるとは思ってなくても、怖がるってないだろう」
どうしてなんだと思い、みんなが集まるベンチ(野営地)に戻ると、みんなが俺を見た後歓声が上がった。
俺は凄いと喜んでくれて、後に続こうと士気は上がった。
「じゃあ、誰が次行く」
「そこは俺だろう」
「いいやワシが行く」
父さんとガンズおじさんが名乗りを上げ、どちらにしようか悩んでいる中、俺が父さんを指名した。
その理由は、ガンズおじさんのパワーを後に取っておきたいからで、当てるのが得意な父さんに陣に出てほしいとお願いした。
「なるほど、俺が陣にいれば後のガンズが大きな当たりを打って両方が帰ってくるのか」
「そう言う事だよ父さん、だから俺に続いてね」
「おう、任せておけアース」
気合の入った父さんを応援し、俺たちはどうなるのか見守ったんだが、その期待に父さんは第一球で応え、見事に陣に出た。
期待に応えた父さんが、1の陣でガッツポーズを俺たちに向けていて、これは続かなくてどうするかとガンズおじさんの気合が最高潮に達した。
「ガンズおじさん、ちょっと力が入り過ぎだよ、深呼吸しましょうか」
「シンコキュウ?なんだそれは」
「息を大きく吸って、静かに吐く事です」
あまり興奮しすぎてもダメと思い、俺はまずガンズおじさんを落ち着かせて、おまけとして娘さんに良い報告を伝える自分を思い描いてもらった。
それを聞き、ガンズおじさんは落ち着きを取り戻し、気合を内に秘めて打席に立った。
「これはいけるね」
実力も大切だが、今の様に場の空気がそれを超える事はよくあって、ガンズおじさんは見事に大きな当たりを打ち二人が戻って来た。
初回で3人が戻ってきて、これは楽勝という空気が出てきたが、正直俺は不安が出てきた。
「俺たち3人以外は凡退、これは他の人は戦力になってないって事だ」
あの空気の中で打てないのはかなり致命的で、それだけの実力差があるのが良く分かった。
振り方もそうだが、誰もその事に気づかず喜んでいるだけだった。
「本来なら、変わった振り方で打った俺たちに興味を持つはずなのに、これではまずいな」
この後相手に点を取られるわけにはいかないから、俺たちの当たりを引きずっている今がチャンスと、俺はある提案をみんなに伝え、見事にみんなが承諾してくれた。
守備に入り、その提案が相手を恐怖で包み込み、俺はキングの位置でニヤリとした。
「ピッチャーなんて、前世でも立ったことなかったけど、なんだか良いな」
相手を威圧しているのが分かり、クイーンの位置に座る味方の戦士も元気が良かった。
問題は俺の球を取れるかだが、ここで今のルールが俺たちに味方した。
「陣の中を通ればストライクで、3球通る間に相手の戦士が当てなければいけない、これは俺にとって最高に有利なルールだ」
クイーンの戦士が取れなくても、3球目は振り逃げにもならずアウトが取れる。
陣の端ギリギリを通っても良いし、曲がる球でも問題は無いから、今の段階で打たれる事は考えられなかった。
「この戦争の攻守は、5回の交代で勝敗が決まるから、子供の俺の体力でも十分持つぞ」
畑仕事を休みなく行っていた俺は、今までの人生を実直に進めていた事が勝利の道になって嬉しく思い、両手を振りかぶり足を大きく広げて第一球を放った。
その球は、味方のキャッチャー(クイーン)の手ではなく腹のど真ん中に命中し、味方の戦士が痛がったが、それよりも打席に立っていた相手戦士と審判をしている戦争ギルドの人が驚き、その場でしりもちをついていた。
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