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2章 成長チート

24話 長期探索事前会議

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「え~それでは、これから10階から入って40階のボスを倒す、ダンジョン長期探索の為の会議を始めます」


各リーダーと一部のPTメンバーを呼んで、屋敷の会議室に集まった僕たちは、明日から5日間の予定を話したんだけど、みんなの視線は僕ではなく、ギルド職員と新たに仲間入りしたカーリーたちに向けられています。
カーリーたちの歓迎会がこの後に控えている事もあり、誰なんだと言った面持ちで、みんな驚くだろうと紹介したんだ。


「「「「「どどど、ドラゴンの翼の冒険者!!!」」」」」
「そうだよ、僕も元はそこの冒険者だったんだけど、事情があって脱退してここに来た」
「じゃ、じゃあリイルも」
「そうだねカリーナ、僕も当然7つ星冒険者で、元が付くけどそれなりに強い」


今日一番の驚きの声を貰ったけど、ここに来た理由を話すと、みんな黙って聞いてくれて納得してくれました。
時魔法などの信じられない情報が入っていたのに、みんなは自分たちの持っているペンダントが、元ドラゴンの翼の紋章と知って喜んでくれたんだ。


「良いのかいカリーナ、一度は僕を追放するほど拒絶された紋章だよ?」
「そんなの関係ねぇよリイル、これで強くなれるなら喜んで付けるぜ」
「カリーナの言う通りね、リイル君の前のお仲間を悪くは言いたくないけど、奴隷紋なのを突然分かっても、その効果の内容が破格だもの、拒絶するなんて頭がおかしいとしか思えません」
「ありがとうルーシェ、みんなもありがとう」


信じてくれる仲間がこんなにいて嬉しいけど、この話をすると決めたのは、僕の横に座るカーリーのおかげで、もう一度信じようと勇気が持てたんだ。
事前に教えていたからかもしれないけど、告白して良かったと思えるほどに心が軽くなったよ。


「それじゃあ、カーリー様たちもリイル商会に入ると言う事ですねリイル様」
「そうですファーラさん、なので登録をお願いするのと、後ちょっとお願いがあります」
「分かっていますわ、ギルドと領主の件ですわね」
「ええ、ラインハット国がお力添えをしてくれるので、存分にやってください」


国を越えての支援が行われるので、ギルド本部も直ぐに動いてくれると、7つ星のカーリーが定住する凄さを伝えました。
僕の品々もあるので相手は直ぐに動くから、このお話はここまでにしてダンジョンのお話に入ります。


「基本はいつも通り、1つのPTが戦うけど、20階からは道が広くなり2PTでの戦いになる」
「そこから私たちが参加ね」
「その通りだよカーリー」


カーリーと僕を入れたファイアーエンブレムを起点に、ルーシェたちが率いる新人冒険者たちをローテーションで戦ってもらう作戦を伝えます。
ちょっと参加する人数が増えるだけで、いつも通りとカリーナは笑ったけど、大変さは人数でカバーして激減します。


「7つ星の経験は伊達じゃねぇって事だな」
「その通りだねカリーナ、だから成功は絶対なんだけど、それでもけが人は出るから注意するようにね」
「ダンジョンなのだから当然ね」
「ん、頑張る」


カーリーたちの参加はちょっとイレギュラーだったけど、強い味方で絆が深まった感じです。
ファーラさんたちにも教える事が出来て、街の発展は急激に進むと予想も出来たんだ。


「そこで、みんなを信じてダンジョンの40階までの情報を事前に教えるよ」
「「「「「えっ!」」」」」
「実はね、僕は1人で70階まで進んでいて、そこまでのルートを確認してるんだ」


僕の告白を聞いて、今日2番目くらいの驚きの声を貰い、モンスターの名前を伝えました。
21階からはボア系で、30階のボスはボア親分と言う10m級のイノシシが相手で、31階からはゴーレム系が出て、40階のボスはゴーレムロードです。


「10m級の6本腕のゴーレムで、一撃の破壊力は言うまでもないけど、硬さも相当です」
「そ、そんな相手をリイル君は倒したの?」
「そうだねルーシェ、僕のレベルはそれだけ高いし、知っての通り色々な武器を使える」


倒せない道理はないと笑って見せたけど、ファーラさんは70階まで降りている事の方が気になってて、その先があったのかと聞いてきました。
まだ先はあるから、僕は正直に答えたけど、71階のモンスターを確認して、まだまだ先はあると予想を伝えました。


「ど、どうしてそう思うのかしら?」
「簡単ですよファーラさん、リーダンでそいつが81階にいたからです」
「そ、そうなんですか・・・ちなみに、リイル様たちはリーダンで何処まで降りた事があるのですか?」


その答えを聞くために、みんなが少し前のめりになったけど、僕たちは90階のボスを倒して階段を確認して終わっています。
そこが新記録だった事もあり、僕たちは7つ星になったんだけど、次に降りる前に脱退してしまったと残念さを表情で見せたんだ。


「91階からの敵は確認してないけど、ボスはファイアーレッドドラゴンだったね」
「あれはきつかったわ、思い出したくもないわね」
「うんうん、炎が部屋中を包んじゃってねぇ」


はははっとカーリーと笑ったけど、みんなはそれどころではなく、良く生きてるなと言いたそうです。
今の僕たちなら、それを越える事が出来ると自信を持って言えました。


「ず、随分評価されてんだなオレたち」
「そうね、何だかプレッシャーを感じるわ」
「ルーシェ、そんな風に感じる事はないよ、まだまだ先の話だし、みんなはとても強くなってて、これからも更に強くなるのが分かっているだけさ」


正直、僕の指示をちゃんと聞いているみんなは、アモスたちよりも格段に覚えは良いし、スキルも連携も言う事なしです。
だからこそ言える事で、僕の恩恵を最大限に使っているのが伝わって来ていたんだ。


「僕の奴隷紋はね、お互いの絆が深まればより強くなるんだ」
「そ、そうだったの?」
「そうだよ・・・だからカーリーの見方が変わって、アモスたちは段々と下がってて気づかなかったし、そのせいでちょっと伸び悩んでもいたね」


それもあり、アモスは余計荒れ始めてあの事件が起きたんだ。
そして、僕は追放されたわけだけど、ここに来て良かったと思っている事を伝えた。


「今の君たちは、最初のクラーシュたち並みに恩恵を受けてる、それは奴隷紋を身体に刻まないと受けられない程だよ」
「そ、そんなになのね」
「うん・・・実は、カーリーだけがそれ以上だったんだよ」


今のクラーシュたちには及ばないけど、それもあって僕はカーリーを違う目で見てて、いつの間にか好きになっていたんだ。
それは恥ずかしいので言わないけど、クラーシュたちもそれだけ慕ってくれてるのが分かっています。


「この遠征が終わったら、僕はカーリーと結婚しようと思う、みんな祝ってくれるかな?」
「もちろんだ、めでたいな」
「そうね、楽しみだわ」


急遽式を行うのは、時間が経つと出来ない恐れがあり、忙しくなる予感がしているからです。
カーリーたちと親睦を深める為にも丁度良いし、僕は楽しくなってきました。


「僕たちはもっと先に行ける、無理はしないで頑張ろう」


僕の宣言にみんなは答えてくれたけど、何だか視線はカーリーに向いている感じで、ちょっと不安を感じたよ。
でも、拒絶と言う感じではなく、祝福に見えたのでホッとしたんだ。


「では、遠征の為にアイテムボックスのスキルを覚えてもらいます」
「「「「「え?」」」」」
「ちょっとリケイル、アイテムボックスなんてホイホイ覚えられないわよ」
「カーリー僕はリイルだよ・・・それにね、ドラゴンの翼の時にも秘密にしている事は沢山ある、君は知ってるでしょ」


そう、酒の席でちょっと口が軽くなって話した事のほとんどが真実で、その中にアイテムボックスの超が付くほどに簡単な習得方法がありました。
アイテムボックスは、出現している四角い枠を他人が触ると、覚えていない人は直ぐに覚えられるんです。


「「「「「そ、そんなバカな!?」」」」」
「これは絶対口外してほしくないので、ここに集まるみんなを信じて教えました」


本来奴隷のクラーシュたちにしか伝えてない事で、それだけみんなを信じたと証明したんです。
ファーラさんとセイミーさんも含めたのは、信用以上に身を守る術にしてほしかったからで、遠征の準備が済みましたね。


「後は装備とアイテムだけど、それは僕の方で用意するから、明日のお楽しみと言う事で今日は宴会に行きましょう」
「そ、そんな気分じゃねぇんだが、頭に纏めきれねぇよ」
「諦めなさいカリーナ、リイル君はそう言う人よ」
「分かってんよルーシェ、いつもの訓練でもそうだもんな」


分かってもらえた様で、みんなで広間に向かい、他のメンバーにカーリーたちを紹介して食事会が始まりました。
クラーシュたちも楽しそうにしていたし、これで僕の商会はとても強くなったんだ。
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