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2章 成長チート

35話 商会面接

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「う~ん・・・参ったなぁ」


今日は、クラーシュたちが村から戻って来て、労いの食事会を開いたんだけど、そこにはクラーシュたちだけではなく、僕の商会で働きたいと言う村人が参加しています。
そこで、普通なら歓迎をするんだけど、僕の名前を使ってないはずの村救済なのに?っと、疑問が浮かんで警戒しているんです。


「まだ考えてるのリイル」
「カーリー仕方ないでしょ、対策はそのまま雇って動きを見るしかないんだ」
「クラーシュちゃんたちが危険と言う訳ねリイル」
「そう言う事だけど、相手も調べている段階って事は分かってるんだ」


つまり、僕の所までやっと辿り着いた感じで、ちょっかいを掛けて来るのが分かっています。
そう言う事なので、誰がスパイなのかを見つける為、契約の為の話し合いを食事会の後に開きました。


「それでは、1人ずつ自己紹介と何処で働きたいかを聞かせてください」
「「「「「は、はい」」」」」
「そんなに緊張しないで良いよ、希望を聞いて出来るだけの事をしたいだけだし、なくてもこれから見つければ良いんだ」
「「「「「はい」」」」」


面接なんだから仕方ないけど、これも演技なのかと言う感じに緊張した10人の村人たちで、かなり鍛えられているのが分かります。
この中にいるのかと、ちょっと緊張して来たけど、ここでは難しいとも思って来たんだ。


「じゃあ左から、村と自分の名前と歳を教えてくれるかな」
「ベネベネ村のベネット14歳です」
「ロイズイ村のアミーサ12歳です」
「同じロイズイ村から来たオーズイだ、歳は15だ」


他の7人も自己紹介をしてもらい、嘘でしょっと先ほどまでの難しさが無くなったよ。
今回商会に加入したくて来た人たちは、ほとんどが南東から来ていて、そうでない人は2人だった。


「そして、クラーシュたちを聖女と呼んでいた場所でもないのに、ここに来た人は1人だ」


チラッと見た先には、アルエルが担当した北側の村、オイヤンから来た16歳男性のヤーコスだ。
そして、誰に雇われたのかも何となく分かり、目的も明らかになった。


「彼は北の街、ゴルトンに逃げた商人たちのスパイだ」


ジュダルラで僕に負けた人達で、若造の下には付きたくないと出て行った。
そして、加工石の技術を盗んで向こうで作ろうと思っている様で、スパイを送り込んできたんだ。


「分かりました、契約書は規約を良く読んでからサインをしてください、同意したら商会の証をお渡しして配属先を決めます」
「「「「「はい」」」」」
「では、今日の所はゆっくりしてください」


部屋に案内するのはクラーシュで、キリっとしてみんなを連れて行きました。
でも、それを見て心配したのが隣に座るカーリーで、平気なのかと顔を近づけて聞いてきたよ。


「安心してよカーリー」
「ど、どうして安心できるのよリケイル、しっかり雇う流れじゃない」
「良いんだよ、このまま泳がせても無害だからね」


そう、1人の情報では何も出来ず、向こうは次の手を打つしかなくなり、その時には生産品がゴルトンに流通していて、手遅れと言う状態になるんだ。
カーリーはそれを聞いて、詳細を求めて来たので、まず生産の過程で一人では無理な事をお話した。


「でも、リケイルは一人で作ったじゃない」
「それは何年も掛けて築いた結果だからね、今から始めるなら1つの過程を習得するのが限界さ」
「そ、そうだったの」


クラーシュたちに教えたように、1つの過程を1人ずつが担当してやっとできるけど、それもスキルを覚えてからとなり、それが出来ても加工の前に修理が先で、その次に生産となります。
生産を出来るようになっても、加工品の状態を種類別にして作業をする事になり、それによっても加工の技術は変わると説明したよ。


「だからね、それを全部説明するとなると、相当長い年月と、とてもと~っても長い論文になってしまうんだ」
「そうだったのね・・・まぁ新しい技術だものね」
「そう言う事だよ」


もしもそれと分からずに見切り発車した場合、失敗の山を積み上げ、利益どころか借金ばかりが積まれるんだ。
そうなると予想しているので、最初に輸送するのはゴルトンに決定です。


「で、でもリケイル、相手が借金するとは限らないわよ」
「カーリーそれがね、きっとそうなるんだよ」


どうしてなのかと聞いて来るカーリーだけど、僕が成功しているからと簡単に答えます。
新しい技術と言っても、既に出来る人がいた場合、それは成功が約束された実験となり、費用度外視で突き進もうとしてしまう。


「逃げた人たちは、誰もが成功した僕を妬んでいたからね、きっとそうするんだよ」
「なるほどね、それなら心配はないわ」
「うん、向こうもどこかの商会に力を借りたんだろうけど、その人は相当怒るだろうね」


彼が担当するのは、最初に重要な加工石ではなく普通の職業で訓練する事で、名前だけを伝えるだろうから余計焦るんだ。
もしも加工石を担当したとしても、それぞれ感覚は違くて、彼の情報だけでは失敗が多くなる。


「凄いのね」
「新たな技術ってそんなものだよカーリー」
「リケイルが簡単に言ってるから、そんな風には見えないけど、ほんとにすごい事なのね」


そんな技術も、今の段階では最大まで扱えず、僕が行っている段階に行くにはまだまだ掛かります。
その段階に行くのは、最初の奴隷であるクラーシュたちで、彼女たちも僕を信頼している奴隷だからこその速度です。


「つまり、信用してないその人は、全然覚えられないのね」
「そう言う事だね、アモスたちの様に実感しないんだ」
「まさか、絆の深さで判断できるなんて、凄いわ」


3倍と2倍では覚える速度は違うし、コツを掴むとか才能があったとは思えないレベルだ。
数時間でスキルを覚えられるのは、それだけ信じられない速度で、だからこそお店は奴隷たちに任せていた。


「つまり、今回の人達はとても遅くなるのね」
「そう言う事だね」
「それだと、その子じゃない子たちって落ち込まないかしら?」
「次の奴隷が来るまでは平気だろうけど、そっちにもテコ入れはするよ」


実はねっと、カーリーに耳打ちして、奴隷たちの出来ない雇う側を担当させようと考えていた。
ゴルトンでの店舗増設の際、奴隷を買う事になるが、契約をしないで僕の所には連れて来れない対策だ。


「なるほどね、仮契約をさせる訳ね」
「そう言う事だね、村人ならクラーシュたちの様に連れて来るだけだけど、奴隷の場合はそうは行かない」
「奴隷契約の6倍は凄い物ね」
「そう言う事だねカーリー」


戦闘用の奴隷たちは、今ではダンジョンでも活躍していて、数名はバーバルナさんの護衛にまで抜擢されている。
今度新たに雇ってくれる事になっているので、どんどん育てて行くつもりだ。


「そのバーバルナって人、何処かで聞いた名前なのよねぇ?」
「そうなの?」
「ええ、何処だったか分からないけど、思い出せないからそれほど凄い人じゃないと思うけど」


なにか引っかかると悩んでいるカーリーは、話しを切り上げて寝ようと誘ってきました。
夕食を食べて一緒に寝たんだけど、次の日にバーバルナさんからの使者が来てビックリしたんだよ。
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