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希望のファーストステップ

3歩目 お店で食事

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「じゃあ席に着きな、お前たち!次はちゃんとするんだよ」

「ひにゃ!?」「ひみゃ!?」


ミケサさんが笑顔で椅子を引き子猫ふたりに指示を飛ばすと、ふたりがビクって身体を緊張させ返事をしましたよ、僕は椅子に座って3人が店の奥に行ったのを見て、テーブルにグデ~って倒れました。


「はぁ~怖すぎるよこのお店、とんでもない店に入っちゃったね」


僕の気持ちはもうこれしかありません、日本では襲われるって痴漢くらいでした、でもここでは命の危険があります、それを再確認し瞬間でゲームとは違うとつくづく思いました、次からはもっと慎重に行こうと心に決めましたよ。


「すみませんでしたにゃ~水ですにゃ~」

「すみませんみゃ~メニューみゃ~」


席に着いてやっと落ち着くと、頭をさすっている二人がきました、謝りながらお水とメニューを持ってきてくれたんです、僕は『早く食べて出よ』っと思いながら、ちょっと崩れた笑顔でメニューを受け取り中を見ます。


「え~っと、黒パンに麦のリゾット、それとボウボウドリの香草焼き・・・を下さい」


メニューにある料理を注文すると、三毛猫のミケーラが頷いています、僕が選んだ料理は、ここで今できるメニューを全部言ったんだ、メニューの紙には他にも書いてあったのに、横に線が引かれ作れないとなっていたんだよ、おそらくボロボロの原因は品薄なんです、食材が無いのでは作れませんよね。


「了解にゃ」

「しばらくお待ちくださいみゃ」


ふたりが頭を下げて奥の厨房に走って行きます、ふたりの後ろ姿は尻尾をフリフリさせてかなり可愛いと思いましたよ。


「最初のが無ければ好印象だったね、さて料理が来る前にスキルの再確認だ、サブクエスト報酬で貰ったスキルも見なくちゃだし、何が出来るのかなぁ~っと」


メニュー画面を出してウォークスキルを見始めます、僕自身のスキルは読み書きしかありません、だけどこちらは覚える物が多いと予想して楽しみです。


〔ウォークスキル〕レベル1
【使用可能スキル】
・ポイント交換
・錬金窯



っとこんな感じで、まだ使えるスキルが少ないです、でもこれはサブクエストが関係しています。
何でそう思うかと言うと、僕が行動するとサブクエストがたくさん増えて行くからです、それを達成するとスキルが使用できるようになっています、ゲームと同じならばその内増えて使えるようになると予想したんです。

ちなみに今使えなくて、ゲームにあったスキルはこんなのです。

【ゲームで持っていたスキル】
・モンスター使役
・モンスター合成
・アイテム合成
・武器レベル強化
・防具レベル強化
・武器製作
・防具製作
・アクセサリー製作


「サブクエストでも載ってるし出来るようになるのが楽しみだよ、武器と防具のレベル強化は、やっぱりあの装備のレベルアップが主流かな」


ゲームでも装備にはレベルがありました、そしてウォークポイントを使う事でレベルを上げるんです、試しに念じたら【強化しますか?】と表示され、出来るのが確認できましたよ。

そしてその中でも、気になるサブクエストはこれですね。


「モンスターの使役・・・仲間に出来るなら戦闘も楽だし、野営の時に見張りも任せておけるね、ソロで動きやすくなる」


日本では見張りはそれほど要らないけど、こっちでは絶対にいると思います、あの時の騎士の様に、僕を女だと思って襲って来るかもですからね、チュートリアルにある【モンスターを倒そう】をクリアすればきっと出来ます、そうなれば【モンスターを仲間にしよう】もクリアして、チュートリアルによくある流れの完成です、他にも【装備を着けよう】とかもチュートリアルであります。


「ただ・・・ほとんどがサブクエストの欄なんだよね、メインクエストは【異世界の第一歩】をクリアしてからは【異世界を歩こう】しかない、どうしたらメインクエストが増えるのか良く分からないよ」


歩いている時、歩数達成のサブクエストはどんどん増えました、今は1万歩までを達成していて【5万歩を歩こう】が出ています、今の僕の歩数は3時間歩いて31421歩です、ポイントはサブクエストを達成させたことで64510ポイントになっています。


「歩数を増やして歩いたり、走ったらどれくらい歩数が変わるのか、確認はしないとかなぁ~」


階段を駆け降りた時は、興奮していて確認していません、携帯でのウォークゲームでは、万歩計で数えられていました、ここではまだ分かってないんだ、僕の身長とかを正確に測り、距離とかで数えられているかもです。


「まぁそこまで細かく見なくても、僕は歩くのが嫌いじゃないし、まだまだ始まったばかりだもんね、楽しみ楽しみ~」

「お待たせにゃ~」「持ってきたみゃ~」


ウキウキして画面を操作開始です、ウォークレベルに3100P振り込み5レベルに、武器防具に1600Pずつ振って4レベルにしました、今装備するのは鎧だけにしています、スロット欄に他の武器と防具をセットしたらサブクエストは達成と表示がされたのは意外でしたね。
ついでに薬草などもケイタイメイルにセットして、戦う準備は万全です、そこまでしてウエイトレスの二人が大きな板を持って料理を運んできました、僕の装備が変わっていることに気づいていません、鎧は僕の携帯に似ていて背中がシルバーで正面は黒い画面の軽鎧です。

でも僕は、その事よりもふたりが心配です、見るからにフラフラしていて危なっかしいですよ、僕はハラハラして見ていますけど、テーブルにはちゃんと料理を置けましたから、ホッと一息です。


「ありがとふたりとも、料金は今渡すのかな?それとも食べ終わった後かな?」


僕はそこら辺を良く知りません、ゲームでは先払いだし、服屋さんでは品物を貰った時に渡しました、ここでもそうだと思いますが、僕が言いたいのはもう一つの料金の事です。


「にゃにを言ってるにゃ?」

「料理を持ってきたみゃ、今出さみゃいでいつ出すみゃ?」


ふたりがすごく不思議そうにしています、頭をコテンと倒し、長い尻尾の先っちょをフリフリさせています、とても可愛いので触りたい衝動に襲われましたよ。


「それもそうだね、じゃあ料金は全部で200メローかな」


なんとか留まり僕は料金を出します、黒パンと麦のリゾットが銅貨5枚ずつ、ボウボウドリの香草焼きが穴あき銅貨1枚です、合わせて200メローだから、穴あき銅貨2枚に銅貨10枚を出しました。


「お兄さん計算早いにゃ、でも出し間違ってるにゃ」

「そうみゃ、これじゃ300メローになってるみゃよ」


ふたりがまた頭をコテンと倒して変だと言ってきています、僕は分かりやすい様に銅貨と穴あき銅貨に分けたんだ。


「こっちの銅貨10枚を二人のチップで分けて貰うから間違ってないよ、そんでこっちが料理のお金で穴あき銅貨2枚ね、どうだい?間違ってないでしょ」


テーブルにお金を並べ、更に銅貨5枚ずつと穴あき銅貨に分けて説明しました、2人は頷いて分かったようです、そしてだんだんオロオロしはじめたんだ。

服屋では、チップは代金に含まれていました、でもここは料金表に『チップはお心づかいで』と書いてあったんです、変だったのかとちょっと心配になったけど、普通が分からないよ。


「こ、こんにゃに貰って良いにゃ?」

「ダメみゃ!貰い過ぎみゃ・・・でも、くれるって言ってるみゃ、貰って良いみゃ?」


ふたりは顔を見合って話し合ってます、僕に聞こえないようにするのが普通じゃないかな?って思いながら、僕は言いましたよ。


「チップはその人が渡したいって気持ちだから貰って良いんだよ、理由としてはお詫びが大きいかな、入ってきた時驚かせてごめんねってさ」


僕は笑顔で説明し、二人の手に銅貨を5枚ずつ乗せました、獣人がどうして人を嫌っているかは知らないけど、それを考慮しなかったのは僕だからね、小さい子には難しいですよ。


「良いにゃ?」「良いのみゃ?」

「もちろん、驚かせてごめんね、料理ありがと」


そう言って、僕はどさくさで二人の頭を撫でました、髪の毛とネコミミがとてもフワフワで気持ち良かったです。
二人は頭を下げお辞儀をした後、厨房の方に走って行きましたよ。


「子供は可愛いね・・・じゃあ食べますか、まずはメインの鳥から」


僕はボウボウドリの香草焼きをナイフとフォークで切り分け、一口サイズにして食べました、そしてその美味しさに叫んじゃったんだ、その後はもう一心不乱に食べましたよ。


「はぁ食べたぁ~美味しかったぁ~」


お腹をさすって僕はホッとしています、まさかここまでの味と巡り合えるとは思いませんでしたよ、僕の中で間違いなく一番の味です。


「こんなにおいしいのに、どうしてお客さんがいないのかな、それにボロボロなのは何でなんだろう?勿体ないよね」


ちょっと濁っている水を飲みながら僕は呟きます、日本でも田舎にそう言った美味しいお店はありました、でもその場合は大抵、周りに人がいないからって理由があります、ここは王都ですから当てはまらないでしょう。

そう思ってお店を見渡していると店の扉が開き、ちょっと怖い感じの人達が入ってきましたよ。


「邪魔するぞ」

「いやいやいやぁ~相変わらず汚いですねぇ~」


先頭の男は上半身裸でかなりの筋肉です、背も高く短い髪を立たせていて威圧しているのが分かります。
その後ろの男は背が低いしスーツを着ています、そして何だか嫌な感じで口元をハンカチで押さえてます。


「気のせいかな?黒いモヤが見える、それだけ嫌な感じって事かな?」

「なんだいあんたたち!今は営業中だよ、来るなら店を閉めてからにしな!」


女将さんが厨房から出てきて、かなり怒鳴っています、ウエイトレスの子たちは女将さんの後ろに隠れて見てるよ。

これって、もしかしなくてもあれかな?


「ふんっ!どうせ客なんて来ないだろう、なぁ兄貴」


筋肉が凄い方が後ろを見て、小さい方を兄貴って呼んでます、その兄貴さんは僕をチラッと見た後、イヤそうに店を見回しましたよ。


「そうですねぇ~・・・それで、店はいつ閉めるんですかな?」

「ずっと営業中だよ、何度来たってあたいたちの答えは変わらない、さっさと出て行きな!」


女将さんが包丁を前に出し威嚇しています、男たちはそれを見て、やれやれって感じで出て行きました。
随分簡単に出て行ったねって思っていると、メインクエストが表示される時に鳴る『ピンポン』って音が聞こえました。


《メインクエスト》
※他種族を助けろ
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