レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー

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1章 新しい風

10話 加入希望の中

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この2日間、ウチはPTで活躍できなくて、今日の朝抜ける様に言われて落ち込んでいました。


「どうしてなん、ウチも悪かったと思うねんけど、みんなだってダメだったやん」


そう思って引き下がらなかったウチだけど、結局しつこいと怒られ抜ける事になってしまいました。
だから、今はフリーとなって一人でいて、初日でダンジョンを制覇した委員長たちにクラスのみんなが集まっていても、ウチだけは席に座ってため息を付いています。


「ほんまに、どうしたもんかなぁ」


このままじゃ、進級も危ういし、どこかのPTに入らないといけないのだけど、それを言える状態じゃないからため息が出ます。
そんなウチに声を掛けてきたのは、包帯でグルグル巻きの笹田君と男子生徒3人で、一人PTを辞めてあっちの集まりに夢中だからっと、ウチをPTに誘ってくれたのよ。


「ウチなんかで良いん?」
「何が出来るか知らないが、あっちで尻尾を振ってるバカよりは良い」
「それなら、入」
「待ちなさい三澄さん、その誘いは受けない方が良いわ」


笹田君と握手をする手前で委員長が止めてきて、ウチは手を引っ込めて怖くなったわ。
それだけ委員長の声には力があって、自分との差を思い知らされたのよ。


「なんだよ委員長、俺の勧誘の邪魔をするな」
「それが普通の勧誘ならしないわ、だけどね、他の理由で勧誘しているのなら話は別なのよ」
「なんだと?」
「笹田君、あなた三澄さんに苛立ちをぶつけようとしてるでしょう」


ダンジョンの中に入ったら、ウチは笹田君たちに暴力を振るわれると委員長は言ってきて、そんな事はしないと笹田君は拒否したわ。
でも、笹田君の元メンバーだった佐藤君が出てきて、自分がそうだったとみんなに伝え委員長がそれを知ったから止めてくれたんです。


「この裏切り者、チクリやがったな」
「何が裏切りだ、お前はいつもレンジャーのオレに当たってただろう、だからオレは抜けたんだ、そして次の標的を見つけたんだろう」
「そういう事よ、だから止めるの、クラスの生徒はあなたのストレス発散の道具じゃないわ」
「言うじゃねぇか、やっぱり優等生は違うな、じゃあこいつはどうするんだ」


一人ぽつんといたウチは、他に行く当てがなく、委員長がクラスのみんなに入れてあげられないか聞いてくれたわ。
でも、結果は誰も入れてくれなくて、笹田君はニヤリとしたの。


「使えないこいつを俺が使ってやろうってんだ、邪魔するなよ」
「みんなまだ分かってないの、これは初日の斑鳩君と同じよ、誰も手を差し伸べないなんておかしいじゃない」
「でも委員長」
「でもじゃない、みんな聞きなさい、私達はダンジョンを制覇したけど弱いのよ」


事前に準備も訓練もしていたのに、いざ本番となった時、委員長たちは震えて何も出来なかったと教えてくれました。
ウチたちと同じで、モンスターが怖かった事を知り、そこでウチたちと違ったのは、みんなが仲間に入れなかった斑鳩君の存在だと話てくれました。


「彼はね、震えて何も出来ない私たちに指示を、出してくれたの」
「ただの指示じゃないからねみんな」
「そう、少し前に説明した指示」
「モンスターが目の前にいて、戦わないといけない私たちが動けない中よ、みんなはそんな時に冷静でいられるかしら?」


まず無理と言うのがそこにいた全員の意見で、斑鳩君は弱くないとウチは思いました。
委員長たちは、そんな強さを持ちたいと頑張っていて、自分たちが弱いと真剣でした。


「だから訓練してみんなで支え合って強くなるの、じゃないと探索者なんて出来ないわ」


自分たちがダンジョンを制覇したのは、実力ではないと言い切った委員長は、仲間を大切にする様に言ってきて、ウチは頷いて返事をしましたよ。
でも、他に頷く子はいなくて、委員長は何だか表情が暗くなったんです。


「間違いを認めるのは勇気がいる、みんなもモンスターと戦って分かってるはずよ、それなのに仲間をこんなに簡単に切り捨てるのはおかしいわ」
「委員長、ウチは」
「三澄さん、どこにも行く当てがないなら私達と一緒に来なさい、この人達はまだ分かってないわ」


勧誘に囲まれている時、みんなは力を持っている人に惹かれているだけで、自分たちが強くなろうとしていないと指摘しました。
だから、ウチが強くなって見せてあげる様に言ってきて、出来るのかとても心配になったわ。


「ウチに出来るんかな?」
「できるわ、だってあなたは失敗を知り改善する手立てを考えたでしょう」
「そうやけど、ウチに出来なかったのは確かなんよ」
「その出来なかった事、誰かが支えれば成功したでしょう、それが仲間なのよ」


答えを貰えて、ウチはとても心がすっきりして、最有力のPTに入ってしまいました。
そして、みんなから羨みの視線を受けたけど、それを振り払ったのは委員長たちの武器だったわ。


「みんな、私たちの持つこの武器は、みんなが信じてない斑鳩君が作った品よ」
「「「「「そ、そんな」」」」」
「これが彼の示した力、今後は魔法と言う力を世に出すから、あなたたちはそれを使って自分たちの犯した事をよく考えなさい」


弱いと見下すのではなく、一緒に乗り越えたり強くなろうと言う気持ちが大切と教えてくれて、ウチもそんな人になりたいと思いました。
でも、そんな空気を両断したのは笹田君の笑い声で、みんなの注目が彼に集まったわ。


「良く言うぜ委員長、お前だって最初はあいつをお荷物と思っていただろう」
「そうね、確かにそうだわ・・・だけど、あなたの様に暴力に移らなかったし、ちゃんと考えた陣形を取ったのよ」


みんなで支え合うと言う事が出来てて、それのおかげで今があると、とても綺麗な剣を掲げてみんなに宣言したわ。
最強の探索者になるという言葉に、さすがの笹田君も笑う事が出来ず、ウチもみんなも納得していました。


「でもね、先陣者は私達が貰うけど、みんなだって出来るのよ、それだけの力がここにはある」
「そうだよみんな、文哉の武器は凄いんだから、今から見せてあげる」
「さぁトレーニングルームに行きましょう、私達の力を見せてあげる」


移動している間、ウチは委員長たちから戦闘面の質問を受け、新たな陣形を考える事を約束してくれて、そんなに簡単ではないのに約束してくれて嬉しくて顔が緩みました。
レンジャーとしての立ち位置は変わる事になったけど、新たな一歩ならそれも良いと受け入れるのは簡単で、ウチはとても楽しみでしかたありません。


「あら、あなたたちホームルームが始まるわよ」
「白樺先生、実はみんなでトレーニングルームに向かってるんです、例のあれを見せたいんです」
「なるほどね、じゃあホームルームは良いわ、私も同行するわね」


白樺先生も付いて来て、なんだか話がついている感じだったけど、探索者の集まるクラスはそれが一番必要と白樺先生は納得していました。
そして、歩いている間に斑鳩君がいない事に気づいて、白樺先生は委員長に質問していたわ。


「そう、斑鳩君は今日は休みなのね」
「はい、私達の装備を今日1日掛けて作ってくれています」
「それは羨ましいわね、私も欲しいわ」
「何言ってるんですか、先生の分もきっとありますよ、一緒に外のダンジョンに行くって約束したじゃないですか」


そんな会話を後ろで聞いてて、既に先生も仲間になっていることが分かって緊張してきました。
まだ学校のダンジョンもクリアしてないのに、ウチが本場のダンジョンに行って良いのかと疑問もあったんです。


「ウチ、ほんまに生きて帰れるんかな」


とても不安だったけど、トレーニングルームで委員長たちの実力を見て、それは無いと確信が持てましたよ。
それほどの連携と強さで、誰もが見惚れるほどの内容に、これが訓練の成果だから納得したんです。


「みんな驚くのは早いわ、次は訓練の成果ではない特別な力がどんなものなのか、斑鳩君の装備の凄さを見せてあげる」


委員長はそう言って、桃ノ木さんに指示を出し、桃ノ木さんは的とは反対方向に向いて弓と引きました。
何処を狙っているの?っと誰もが思ったのだけど、矢は放たれた瞬間に飛んでいく方向を変え、なんと的のど真ん中に当たったんです。


「「「「「うそ」」」」」
「嘘じゃないわ、これは弓に付与された自動追尾の効果よ」
「ん、これが特別と言うもの、いままでの力は努力で手に入る、これはすごく特別」
「ササミの言う通り、時間を掛ければ誰でも出来るのよ、だからみんなも頑張りなさい」


委員長に激励され、みんなもやる気が出てきて、今日のダンジョンは良い成果が出ると期待していたわ。
でもね、そのやる気を見て委員長が待つように言ってきて、みんなに驚きの提案をしたのよ。


「あなたもよ三澄さん、いいえカナメ」
「う、ウチの名前知ってたんです?」
「当然よ、それよりも魔法の指輪を受け取りなさい」
「魔法って、ほんまに?」


他の子も砂沙美さん達から貰っていて、白樺先生は木の杖を受け取り何やら説明を受けていました。
そして、午前中は訓練の時間にすると委員長が指示を出し、ウチたちの魔法訓練が始まったのよ。


「これで、みんな今日中にダンジョンを制覇出来るわ、頑張りなさいね」
「でも佐々木さん、配っても良かったの?これって斑鳩君の販売商品よね」
「文哉から言われてるから平気ですよ白樺先生、練習もしたから後はみんなの努力次第だけどね」


ちゃんと考えながら魔法を使う様に言われ、味方に当てないように陣形を考えないといけないことがみんなに伝わりました。
みんなの覚悟を決めた瞳は、ウチでも十分に感じ取れる力を持っていて、ウチも負けてられない気持ちで委員長たちと学校のダンジョンに入り、どのPTよりも早く無事にクリアして帰ってきたんです。


「みんなも帰ってこれるかしらね」
「きっと平気」
「そうだよ、あれだけ頑張ってたんだよ、きっと平気だよ」
「そうね、ダメでも次があるわ」


そうなっても良いように、先生と共にみんなを指導すると言っていて、さすが委員長頼りになるっと思いました。
放課後はウチの装備をどうするのか話し合いましたが、その間にクラスの生徒が続々とクリアしているのが外の騒ぎで分かり、これは本当に凄いと白樺先生は喜んでいましたよ。
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