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3章 第1次世界大戦

59話 完成した島国は戦艦

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海を渡り空を飛ぶ乗り物、それが俺の考えた島の条件だった。それと言うのも、物資を迅速に運ぶためには空を使うしかないことが分かったからだ。
道を整備するには時間が掛かり、更には国の許可も必要になる。正直面倒だと諦めてしまったわけで、それなら海や空を移動しようと考え、空を飛べるあの戦艦を製作した。


「船と呼ぶとあれだから、ヤマト島と命名したぞ。どうだろうかシャルー」

「見た目どうのと言うよりねジルベルト、そもそもが異常なのよっ!!」


肩に乗っていたシャルーに叩かれたが、圧縮空間の車とそれほど変わらないぞ、ただ外から見える規模が違うだけだ。
全長10キロになる巨大戦艦、筋斗雲の射出ハッチに主砲と副砲、対空砲などを多数設置していて何処にも隙は無い。遠くから島に見えるそれは、この世界でも向こうでも注目されるのは間違いない。
空からそんなモノが飛んで来るのがそもそも問題だとシャルーは言ってきて、やり過ぎと叩いて来るが、小さすぎると筋斗雲の射出が出来ないし、気づいて貰えない可能性があると反論だ。


「それなら1キロくらいで良いのよジルベルト、10キロって何よ10キロって!!あれじゃ街どころか、何処の王都よりも大きいじゃないっ!!」


シャルーの指摘も分かるんだが、そもそものコンセプトが空に浮かぶ島だから、王都とかを比較しても大きさが違うのは当たり前だ。元から10キロ前後だったと知ったシャルーは、もっと怒り叩いて来る。
これは圧縮空間を悟られない為でもあるだと、シャルーに告げて叩くのを止めてもらったが、更に言わないといけない事もあるのでまた叩かれるだろう。
船の中は各施設を接続しないで区分けしてあり、それは見せられない隔離区域も存在しているからで、そこには許可がないと入れない。


「対策を作るのは良いんだけど、ジルベルトあなた自覚しなさいよ」

「やり過ぎと言いたいんだろうが、そうでもないかもしれないぞシャルー」


不思議そうな顔のシャルーに、俺はライオンの王様であるライオス国王から聞いた話をした。シャルーはそれを聞いてそんなバカなって顔してきたよ。
炎に強いフェニックス族に何よりも固いドラゴン族、それに目から光線を発射してくる怪力の一つ目のギガンドス。そいつらに並ぶにはこれくらいは必要なんだと、シャルーに告げて俺たちの強みも教えた。


「俺たちは生産性で勝負する」

「力だけがすべてじゃないって言いたいのね」

「シャルー分かってるじゃないか、戦っているだけでは生活は出来ない、生き物は食べ物を必要とするからだ」


普通の食料ならばそこまでにはならないだろうが、俺の作る物は上質で誰もが欲しがる物になっている。ライオス国王が気に入り、ダメだと言っていた娘のライネルを説得したほどだ。
中立国がそんな情報を得た事で、本当の戦いが始まると俺は見ている。3国の内どこが先に来るのかとても楽しみなんだ。


「楽しみねぇ~」


そんな余裕があるのかとシャルーは不安そうだが、そもそも力での戦いになっても俺たちの圧勝は決まっている。
製作魔法のおかげでステータスが上がったみんなは、既に人の領域を超えた強さを持っている。それこそやり過ぎと言われても仕方ない事で、それに比べたらヤマト島は常識内と言えるんだ。


「い、何時の間にそんなになってるのよジルベルト、アタシ知らないわよ」

「それはそうだろう、みんな気を抑えてるからな」


気のコントロールは消費を抑える為にも必要な事だった、それのせいでシャルーは気づかなかったようだが、それは同時に外の者たちが分からないだろうと確信出来た。
どれくらいの強さなのかシャルーは知りたいらしく、俺の顔を叩いて要求して来る。叩くのを止めれば教えると交換条件を出すと、シャルーは素直に叩くのを止めて聞く体勢だ。
さぁ教えてっと叩く準備をしているのは、俺としては答えたくない要因だが約束なので教えると、シャルーは叩くことも出来ないほど驚いて止まっていたよ。


「まぁそれ位にはなるよな」

「ほ、ほんとにそんなに強いの?」


当たり前だと俺は即答し、だからこそ隠していたと補足の説明に入った。キョーカが使っていたゲームの最強の剣、あれを指で斬れるほどの気を手刀に纏わせることが出来て、ナックルガードの【炎龍拳】を装備しないと使えなかった炎龍破を普通に繰り出せる、空も飛べるようになっているぞ。
最後の説明で一番驚いていたシャルーだが、強さを上げる事の出来る食事を取っているのだから当然なんだと、俺は最後に纏める。しかしそれを許すほどシャルーは大人しくない、直ぐに顔を叩いて来たぞ。


「だから、簡単にまとめないでよジルベルト!!」

「シャルーそう言うけどな、これは向こうの知識からなってるんだぞ、どうして向こうでゲームを作ってたお前が知らないんだよ」


俺が使っているモノは、大体が有名な漫画や映画を参考にしている。使えるかもと思って試すのは当然だと言ってやったんだ。シャルーは忙し過ぎて見てないとしょんぼりし始めたよ。
それだけ必死だったのだろうと、俺はシャルーを尊敬したが、向こうには誘惑する物は沢山あったはずなんだ、それに目もくれずに世界の為に頑張っていたとか簡単に出来る事じゃない。


「それに比べたら、今俺がやってる事なんて小さい事だぞ」

「そう言ってくれるのは嬉しいのだけど、それを現実に出来るのってジルベルトだけなのよ」


そっちの方が尊敬するとシャルーに返されてしまう。俺の思い込みが激しいから出来ている事だが、それだって向こうの情報と体験が影響していて、それを越えてはいないんだ。
一から作っていたシャルーたちには敵わない、本心からそう思うがシャルーはそんなすごい事をやってのけたのに、その事を後悔しているふしがある。だから言わないで心の奥にしまったんだ、きっとそれが良いんだろうと、叩かれてもそれだけは言わない。


「まぁなんにしてもだ、相手が出て来たらそれに対処する、その準備が出来たわけだな」

「世界統一が近いって事ね」


その通りと俺が答えるのと同時に、俺たちの前にあの扉が出現した。俺たちの方ではなくあっちに出たかと、扉を勢いよく開けた彼女を見て、俺はシャルーと表情を引き締めた。
あの約束を今果たす時、キョーカにヤマト島を発進させるようにテレパシーを送り、俺とシャルーは先行する為に扉に入って行く。大物が釣れたと思う反面、ラーハルたちが無事か不安になった。
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