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3章 スキル

41話 王族訪問

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「うわ~」


うわ~うわ~っと、僕は凄く嫌なモノを藁人形から伝えられ、ミドリを探して隠れたくなりました。
でも、今彼女は村長と剣の訓練をしてて、僕はそれを見守ってるからそれが出来ません。


「ここに来るのは3日って所だから、まだまだ掛かるけど、やっぱり貴族以上だよね」


報告にあるのは、とても上等な馬車がこちらに向かっているというモノで、僕しか出せない自動車も同行してるから何となく分かってるんだ。


「あれは、タバサ様にお譲りしたキャンピングカーだから、分かるんだけど」


分かりたくないっと、ため息が零れます。
戦争が始まり、藁人形たちの働きが上々なので、これがどういった事なのかが分かっているから、イヤでも納得はしてたんだ。


「いつか来る事だったけど、初めての人はイヤなんだよね」


馬車だと、あらかじめ顔も見慣れる事も出来ないし、上位の貴族は馬車から降りる事もしないみたいで、休憩に入ってもメイドさんだけしか見えません。
騎士や兵士は沢山で、僕はそっちだけでも慣れようと見ていましたね。


「でも、怖がったら不敬罪とか言われそうだよ~」


あの女神を思い出し、村長に全部任せたくなります。
でも、タバサ様たちがいるので、避けられないから準備はしておきます。


「とはいえ、初対面なんだよね」


情報で知ってるだけの人たちは、ここを知ってても来た事はなく、その中で会わせちゃいけない村人に声を掛けます。


「モカさん」
「どうしたのアオ君」
「ちょっと偉い人がここに来そうだから、試験中の施設に行っててくれるかな?」


モカさんは、心良く返事をしてくれて、万が一の対策が出来ました。
出来るだけ遠くの作業に入らなくても、恐らくは問題ないけど、気になって不安なんだ。


「後は、ジューネさん経由で知り合いっぽいから、カレルさんたちの立ち会いもしてほしいけど、今はいないんだよね」


遠くの領地に支援に行って貰っていて、頼みの綱は爆裂ソードの皆さんです。


「っと言う事で、サーシュさんどうしたら良いでしょうか?」


村の護衛として、藁人形たちと一緒にずっと守ってくれていたサーシュさんたちは、訓練を止めて唸っています。
それと言うのも、僕が会えば済む話だからで、ごめんなさいっと思ってしまったね。


「でも、どうしても会えないんです」
「そうすると、村長に任せるしかないわね」
「そうだな、アオは子供だし平気だろ」


それしかないのは分かっていたので、村長に話を持ち掛けに向かい、一緒にいたミドリがそれを却下して来たよ。
訓練を一緒にしていたとは言え、いつもの事なのに反対されて、村長に助けを求める視線を向けます。


「そんな目で見るなよアオ、ワタシもダメだと思うぞ」
「だって・・・どうしてダメなんだよミドリ」
「だって、ユニークスキルを隠す事になるのよ、それって不敬じゃない」


言われる前にこちらから進言した方が良いと、村長が指摘して来て、状況は逃げない方が良い事を突き付けられます。
会うのは確定してて、僕は頭が痛くなってきましたよ。


「どうしたら良いのかな?」
「だからね、その人に会いましょうよ」
「そうだぞアオ、その時が来たんだ」


ふたりは乗り気だけど、僕は引き腰で嫌なんです。
でも、ふたりの意見は正論で、起きる事は確定だから、トボトボとある場所に足を運びました。


「じゃあ、よろしくお願いしますサーシュさん」
「そんなに嫌そうな顔しないでよアオ」
「はい~」


訓練を再開してたサーシュさんたちに、貴族様のお出迎えを提案したんだ。
こちらから会いに行けば、相手もそれなりに機嫌も良くなると言う作戦で、その内に何とか慣れようと出発です。


「出来れば、ピンチとかになっててほしいけど、ここら辺は安全だからなぁ~」


輸送トラックを運転しながら、防衛に力を入れ過ぎた事に、ちょっとだけ後悔しました。
でも、村の安全を考えた結果なので仕方なく、サーシュさんたちもたまに来るモンスターを狩るのみで、盗賊は全然来なくなった成果が出てたんだ。


「見えたよアオ」
「は~い、見えてますよ~サーシュさん」


藁人形たちからの情報で、休憩を済ませた相手側が見えていて、出発する間際だったよ。
そんな中でも、車で近づく僕たちを見ても、相手側は警戒しなかったね。
車を降りて、サーシュさんが跪いたのもあったけど、相手側は剣にも手を掛けなかったんだ。


「村からの出向かえか?」
「そうです、アタシたちは村の護衛をしている冒険者PT【爆裂ソード】と言います」
「そうだったか、こちらはタバサ様の護衛騎士【アンジー】と言う」


自己紹介を貰って、僕たちも車から降りて跪いて挨拶をします。
お貴族様は、窓から声をかけて挨拶をしてくれて、タバサ様の顔を見る事が出来たよ。


「出迎えをしてくれるとは思わなかったですわ、流石と言った方が良いのかしら?」
「索敵は出来ていましたから、これから案内をしたいと思います」
「それは助かるわ、よろしくね」


窓は閉められ簡単な挨拶が終わって、車に乗り込み案内が始まったけど、僕はちょっと拍子抜けです。
僕は名乗ってなくて、子供が一緒にいるくらいにしか思われてなかったんだ。


「でも、人見知りには助かる状態だよ」
「どれだけ掛かるのかしらアオ」
「そうですねぇ~」


ゆっくり運転をするサーシュさんの質問に、僕は村に着くまでと目標を決めます。
残り2日だからそれもかなり難しいけど、僕にはチート能力があります。


「その為に、まずは料理だね」
「まってたぜ」
「楽しみ~」
「久しぶりだわ~」


宴会に出さなくなって久しく、皆さんも期待してくれたので、僕もウキウキして車の中で調理開始です。
外に出してない料理は僕の強みで、その中でも匂いの強烈なカレーは、みんなが期待する味なんだよ。


「カレーか」
「美味しいんだよねぇ~」
「うん、楽しみだわ~」


ロロナさんたちが期待してるけど、僕たちが食べるのは後になるのでお預けです。
でも、夕食までには時間があるので、車内の香りが強烈だから僕も我慢の限界で、結局食べてしまったよ。


「うまうま」
「さすがアオの料理だな」
「それほどでもないよ~」


自分で言ってても思うけど、僕の料理はスキルの無い普通のモノで、美味しいのは材料が良いだけなんだ。
それでも喜んでもらえて嬉しくて、カレーに合うカツとかも揚げて行きました。


「な、なんですのこの香りは!?」


野営の時間になり、カレーの香りを嗅ぎつけたのか、タバサ様が馬車から飛び出してきます。
そんなに強烈ではなかったはずなんだけど、タバサ様のおかげで馬車の中もチラッと見れたのは幸運でした。


「僕が作りました料理です、どうぞ、お収め下さい」


騎士様にお皿を預け、僕は下がって行きます。
タバサ様以外にも2人も貴族様が乗っていて、これはほんとに何かあるのが決まったんだ。
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