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2章 成果

27話 回復の手伝い

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「何を騒いでるの?」


訓練場から出てきた人が何やら受付で騒いでいて、何をしてるんだろうとアケミと見てたんだけど、その人達はワタシとアケミに気づいて睨みながら近づいて来たわ。
何やら文句を言いたそうで相手をするのは嫌なんだけど、指を差して来て訓練を止めろと言ってきたの。


「どうしてです、あなたに言われる理由がありませんよね?」
「理由はある!攻撃魔法士に回復魔法を覚えさせるなんて、時間の無駄なんだよ」
「そうだそうだ、できない事をさせて、ギルドをダマしている」


見て分からないのかと言いたいけど、それ以上にダマしているとか心外だったの。
アケミもそれには怒っていて、ワタシの腰を突いて来ているわ。


「あのですね、もしダマしているのなら、受付の前でなんてしませんよ」
「そ、そんな事はない、魔法士の訓練なんて見ても分からない事だろう」
「「「「「はっ?」」」」」


机で何やらしているだけとか男が言って来て、訓練をしてる魔法士の参加者まで睨み始めたわ。
肉体を鍛えてこそ冒険者は強いとか偉いとか言って来て、本当にジャマにしかなってません。


「人にはそれぞれの役割があります、ワタシたちは魔法士の訓練をしてるので邪魔しないでください、受付に言いますよ」
「はんっ!自分に力が無いからってギルドに泣きつくのか」
「泣きつくと言いますか、あなたがギルドの依頼をジャマしてるだけです」
「ジャマだと」


邪魔してるのはそっちとか言って来て、何を言ってるの?っと聞き返したら、勧誘を断られてるとか言ってきたわ。
6つ星の冒険者が誘ってるのに、どうしてか訓練をしてからと断られてるそうです。


「実力を見て、自らを鍛えてるんじゃないですか、それとワタシたちとなんの関係があるんですか」
「だから、その訓練をしてるのがお前らなんだよ」
「じゃあ、邪魔ではなく協力してると思うんですけど、勧誘する冒険者が強くなったらダメなんですか?」
「うっ!・・・またそうやって口で言いくるめて来る、訓練場の奴と同じでいけすかねぇな、さすがベルトロンの教え子だ」


ベルトロン先生の文句を言い始め、もう訳が分からなくなったわ。
ベルトロン先生は、ギルドからの依頼を受けているだけで、何も悪い事はしてないのに、どうして分からないのかと睨んだわよ。


「先生の知り合い?」
「あいつと知り合いだと?」
「アケミ、こんな人が知り合いなわけないじゃない」
「ああそうだよ、あいつはオレ様の誘いを断ったマヌケなんだよ」


そう言う事かとアケミと納得して、男が喋っている内容を否定したわ。
彼らは、ただ単に先生に断られた事を根に持っているだけで、逆恨みも良い所です。


「格下はオレ様の言う事を聞いていれば良いんだ」
「なんですかそれは?」
「オレ様は6つ星だぞ、間違った事なんてないんだよ」


随分な勘違い男な様で、後ろにいる男たちまで納得していたわ。
もう十分意見は聞いたので、ギルドに止めてもらう事にしたんだけど、男が言ってはいけない事を口にしたから、ワタシはギルドを通すことを止めたのよ。


「今なんて言いましたか?」
「聞こえなかったのか?ベルトロンはお前らに責任を取らせようとしてるんだよ」
「責任ですか」
「こいつら分かってない」


アケミも我慢の限界で、ワタシも話を聞く気が無くなったわ。
元からあまり聞いてませんが、先生の代わりを引き受けたのは自分たちの意志で、責任は元からワタシたちにあります。


「人はいつだって責任を持っているのに、何にも分かってないわね」
「あっ?何か言ったか女」
「いえいえ、責任がワタシにあると言う事なので、あなたたちを使ってどんな訓練をしても、先生には責任は行きませんよね?」
「ん、やってしまう」


魔力を身体に宿してアケミと拳を構えると、男たちも殺気を感じて剣を抜いたわ。
ワタシたちは素手で相手は武器を取り出した事で、受付からは相手が一方的な殺意を持っていると見えたでしょう。


「お、お前ら分かってるのか?オレ様たちは6つ星だぞ」
「だから何です、これは訓練ですよ」
「ん、怪我をしても治療はしてやる」


アケミの言葉の後、ワタシたちは相手を瞬殺しました。
全員お腹に一撃を入れて意識を刈り取ったのだけど、訓練なので参加者に治療する様に指示を出したわ。


「で、でも」
「訓練場からけが人が来なくなりましたから、皆さんの訓練に丁度良いんです」
「ん、早くする」
「「「「「は、はい」」」」」


参加者が回復魔法を使うと男たちは目を覚ましたけど、何が起きたのか分かってない感じで、倒れている事さえ分かってなかったわ。
ワタシとアケミに倒されたと教えたら、そんなはずないとか哀れにも言ってきたのよ。


「お、オレ様は剣士だぞ、ひ弱な魔法士の攻撃なんて」
「あらあら、じゃあもう一撃行くわ」
「ちょっ!」


もう一度お腹に一撃を入れ、床にめり込んでしまいました。
アケミも他の男たちを同じようにして分からせ、凄まじい威力に引き始めていた生徒たちに、もう一度治療を指示したの。


「う、うぅ~」
「分かったかしら?」
「な、なんでそんな威力が」
「あなたが無駄と言ってる訓練のおかげよ、みんなも良く聞いてね」


全属性を覚えた後の訓練には身体強化魔法が待っていて、それを使ったからこれくらいは出来ると教えたわ。
使えない男たちでも治療には役立つので、更に一撃を入れて参加者に威力を見せたわ。


「ここまでにするには、それなりの身体強化魔法の熟練が必要だけど、みんななら直ぐに出来るわ」
「「「「「は、はい」」」」」
「じゃあ、どんどん治療してね、まだこの人達は分かってないみたいだから、しっかり分からせるわ」
「「「「「ひっ」」」」」


参加者たちの小さく悲鳴が聞こえたけど、ワタシは男を殴って聞こえてませんでした。
それから10回ほどの治療を行い、やっと男たちも納得したわ。


「「「「「ごめんなさい」」」」」
「分かれば良いんですよ、今後は気を付けてくださいね」
「「「「「はい、もうしません」」」」」
「ん、次はもっとひどいからね」


アケミの言葉に、男たちは顔を青くして頭を床に付けて謝ってきたわ。
また参加してくれた方がワタシたちも楽なのだけど、イライラするのは控えたいので、立ち去る男たちには二度と来るなと念を飛ばしたわ。


「さて、皆さんの回復魔法は規定値に達したので、次は身体強化魔法を使いましょう」
「せ、先生・・・そろそろ魔力が」
「そういえばそうね、じゃあ次回までに魔法は使っておいてね」
「「「「「はい、ありがとうございました」」」」」


生徒からお礼を言われたけど、なんだか顔色が悪い気がしました。
魔力が少ないから仕方ないとアケミと納得したけど、参加者たちはソワソワしていたわね。
でも、良い訓練だったのは、受付のサファミリアさんのお礼と次回の訓練依頼で納得できて、達成した事をアケミと一緒に喜んだの。
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