上流階級はダンジョンマスター!?そんな世界で僕は下克上なんて求めません!!

まったりー

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3章 1年2学期

82話 疑惑

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「急なお誘いに応じてくださり感謝いたしますわ、ジャケンさんにケーニットさん」


わたくしはあることを話し合う為、お二人をお茶会にお誘いましたの。もちろんこちらも全員集合ですわよ。


「建前は十分だ、本題に入れよケリー」


わたくしの思惑通り、ジャケンさんが手をひらひらさせて先を急かしてきましたわ。
わたくしはメイドにお茶を運ばせている最中でしたので、終わるのを待ちましたの。
この話は簡単には済みませんの、しっかりと時間を掛けて話し合うべき案件ですのよ。


「お嬢様、どうぞ」
「ありがとうブランネ、下がって良いわよ・・・さて、お二人もご存じと思いますが、先週から始まったハイエンダクラス討伐レースの事ですわ、お二人はどう見ていますかしら?」


エマル派閥で突如起こったことで、なんと全員が最後の部屋にハイエンダクラスを設置してきたのですわ。
宣伝目的と普通は思うでしょうが、騎士たちが倒せなくても気にした感じを見せなかったのです。あれは何かあると思うのが妥当ですのよ。


「宣伝目的だろう、あいつらは今まで実力が下だった、騎士たちからもあまり良い評価を貰ってなかったからな、手強い相手を手に入れて士気が上がってるよ」


ジャケンさんがそう言ってきて悔しそうですわ。
確かに、今回のことで騎士たちは相当評価を上げ、誰もがエマルさんたちのダンジョンに入りたいと名乗りを挙げています。
前は言いなりになって、ただキングクラスを設置しただけでしたが、でも今回に限っては違いますのよ。


「ジャケンさん、わたくしを見くびらないでほしいですわ、それだけでないのは分かっていますのよ」
「ふんっ!分かってるじゃないか、あれは騎士たちのやる気を底上げする作戦ではなく、俺たちを威嚇しているんだ、あいつのやりそうなことだよ」


そうですわよね!っと、わたくしは思って少し興奮してしまいましたわ。
普通にキングクラスを設置していたあの時期、普通の騎士たちでは数体倒すのが限界で、それでも評価は上がっていましたの。


「わたくしの騎士たちでも、半分を倒すので精一杯でしたわ」
「そうだ、だからあいつらは仕掛けて来た、キングクラスからハイエンダを昇格させやがったんだ」


騎士たちは、同じキングクラスを相手にしていて飽きていたのですわ。何度も死に戻りを繰り返し、ただ規則的に戦う毎日に飽きていた。
ですが、最後にあのようなすごいモンスターがいると分かれば、誰もがやる気を出し挑戦する。


「ジャケンさん、あなたがやろうとしたことですわね」
「ああそうだよ、俺はそれで失敗した。ハイエンダを大量投入して、倒せずに戻って来たんだ」


あれを取り戻すのは大変だったと嘆いていますわ。でも、その気持ちは分かりますのよ、わたくしもアレシャスの助言が無ければ、2階層を作りそれをしていた。
危なかったと思い返し、今回の事をあれと同じと閃いたのです。


「プラチナソードの時と同じですわね」
「そうだ!あいつはハイエンダクラスを召喚し、俺たちのやる気を上げようとしている。騎士たちのやる気も同時に上げたから、俺たちはそれに乗るしかないんだ。ケリーおまえも見ただろう」


騎士たちのあの目は尋常ではありませんでしたから、思い出すまでもありませんでしたわ。どんな興奮剤よりも効き目があり、部屋の中が歓声で満たされたのです。
わたくしはその問いに頷きましたわ。わたくしたちのダンジョンに入っている騎士たちよりも、確実に実力が下の者だった彼らが、今ではあのダンジョンの中間にまで進んでいます。同じ条件下で実力以上の成果を出していますのよ。


「あれのせいで装備も整いつつありますケリー様」
「そうねイサベラ、キングクラスの装備はプラチナとまでは行かないけれど、かなり質が良いし、魔法士たちの装備もしっかりと強化され始めていますわ」


スライム騎士のドロップ品は、片手剣を使ってる者だけの話でした。ですが、今回のキングクラスは種類がいて、わたくしたちもそうですが、かなり装備が良くなっていますのよ。


「でもでも~それはこちらをマネただけ何じゃないんですか?ケリー様もジャケン様も、どうしてあの平民上がりがやっていると確定しているんですぅ~?」


頬に指を当て、頭を傾げながらマリアルが聞いてきましたわ。
その言葉にわたくしとジャケンさんは、同時に彼女をにらみつけ言ったのですわ。


「なにを言ってるんだ!」「なにを言っていますの!」


マリアルは顔をひくつかせ謝ってきますが、わたしくとジャケンさんの声が重なったのは当然なのですわよ。
イサベラがため息を付いて説明を始めたから、わたくしもマリアルを𠮟らないで済みましたが、今までの流れを分からないなんて、おバカにもほどがあります。


「マリアル、エマル殿たちのダンジョンを見たでしょう、あれはどう見てもアレシャスの作り方だ」


イサベラの言うとおりですわ、単調だった彼女たちのダンジョンが、確実に複雑になっていましたし、彼のダンジョンから学んだ事は確実ですわ。


「そうかなぁ~あれくらいなら、あたしでも思いつくけどなぁ~」
「へぇ~じゃあ聞くけどマリアル、分岐の次は通路を繋げる事になるけど、直線通路と曲がり通路どっちを使うのが良いかしら?」
「え!?・・・う~っと」


そんな事で考え込むマリアルを見て、もう忘れてるのですかと叱りつけたいですわ。
いつもわたくしのマネをしてばかりだから、いつまでも分からないのですっと言いたいですが、イサベラに任せます。例え自分で先日直したばかりでもですわね。


「正解は曲がり通路よ」
「そ、それくらいあたしでも分かるもん、今はちょっと調子が悪いだけ」
「あらそう?じゃあどうしてそっちの方がいいのかしら?分かるのよねぇ」


流石のイサベラが少し怒り出したわ。マリアルもそれは感じていて下を向いてしまったわ。
でも、これはマリアルが悪いのです、分からないのならしっかりと聞き理解しなくてはいけませんのよ。
これは、彼がわたくしに教えてくれたことで、直線通路ではなく曲がり通路を使用すれば、ダンジョンの難易度が上がるのですわ。


「分からないのかしらマリアル」
「う~っと、先が見えなくなるのが良いんだよね?」
「モンスターの上位変化が起きやすくなるからでしょ!先が見えなくなればそれだけ複雑なダンジョンになるのよ、教えて貰ったじゃない!だいたいあなたはね、いつもケリー様のマネをするだけだからいけないのよ!」


もっと自分で考えなさいっと、イサベラが怒って説教が始まってしまったわ。
あれは長くなりそうで、わたくしはお茶を飲んで待つことにしたのです。


「おいケリーそっちの家臣の教育はどうなっている」
「ご心配なくジャケンさん、後でしっかりとお仕置きしておきますわ、ねぇマリアル」


わたくしの言葉にイサベラは頭を下げ説教を中断してくれましたわ。
そしてマリアルは、叱られると思ってかなりいやそうな顔をしています。今あなたがイサベラに言わせた言葉は、それだけ重いのですわよ。


「それで、これからどうする?」
「今のところ現状維持ですわジャケンさん。エマルさんたちのダンジョンは、今のところこれと言って見るモノはありませんし、最後だけですわよ」
「まぁそうだな、最後のハイエンダ楽しみだぜ」


ジャケンさんが嬉しそうですが、これだから男性貴族は困るのです。楽しんでばかりはいられないのですわよ。
わたくしは知っていますの、あなたはキングクラスからハイエンダを出そうとして失敗しているけど、あちらはそれに成功しているのですわよ。


「そうですわね、全員がハイエンダを出すなんて、卒業生でもいませんわ」
「ああ、だからこそ戦いがいがある」


良く言いますわねっと、わたくしは焦っている感情を抑えましたの。
わたくしもジャケンさんは、一度もキングクラスからハイエンダには出来ていません。それだけハイエンダは特別なのですわよ。
それもそのはず、これは長年ダンジョンヒューマンが悩んでいることで、キングクラス以上を生み出すのは夢とまでされているのです。


「余裕がありますのね、わたくしが教わった方法でも出現させられなかったのに・・・話は以上ですわ、ご協力感謝いたします」
「そうか・・・そう言うことなら退出させてもらう、何か分かればまた誘ってくれ、行くぞケーニット」
「はっ」


お二人が部屋を出たので、わたくしはブランネを呼び新たにお茶を注いで貰いましたの。
わたくしが飲み終わるとイサベラが口を開きましたわ。


「予想通りでしたねケリー様」
「ええ、やはり彼も知っていますわ。最後の部屋が大部屋ではなく、中ボス部屋だと言うことにね」


この情報は、イサベラがとある生徒から聞き出したことですのよ。
どうやら、アレシャスとの契約時には、報酬以外を条件につけなかったようですわ。報酬を与えたイサベラの聞き込みに喜んで答えたのです。


「でもでも、その先まではまだ行ってなさそうです。良かったですねケリー様」
「そうねライラ。あなたは引き続き、中ボス設置の謎を解明してくださいまし」


ライラは大きく返事をして部屋を出ていきましたの。わたくしは問題のマリアルを見たのですわ。
ここで一番の問題を起こした張本人でもありますが、同時に素晴らしい功績を引き出しのです。


「良くやってくれましたわマリアル、あなたのおかげでこちらの情報を出さずに済みました」
「あれ?・・・怒られるんじゃないの」


マリアル自身は分かってないようですが、あそこでのやりとりがあったからこそ、ジャケンさんが進んで情報を求めてこなくなったのです。
あそこで追及してくれば、わたくしは話さなければならなかった。あれがベストでしたわよ。


「ご褒美を上げますわマリアル、わたくしの寝室に行きましょう」
「は、はいお姉さま!」


マリアルがわたくしに抱きつき、寝室に向かいましたの。わたくしが認めた男アレシャスは、ただわたくしたちと騎士たちのやる気を上げるだけで済むはずがないのです。
中ボスを置くだなんて事、あるはずがないと思っていましたが、きっと何か理由があるのですわ。
情報を漏らした男爵家の生徒は、途中から喋れなくなったらしいので、制約があるのがその証拠です。


「隠している情報の大きさで、結婚も考えた方がいいかもしれませんわね」
「お姉さま?」


マリアルが隣で不思議そうでしたが、わたくしは本気です。
優秀な男性ならば、例え平民上がりだとしても問題はありません。
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