上流階級はダンジョンマスター!?そんな世界で僕は下克上なんて求めません!!

まったりー

文字の大きさ
125 / 132
5章 2年1学期

125話 クラブでの第一歩

しおりを挟む
「わたくしはマリーナ・ルーメルンですわ、皆さんどうぞよろしくですわ」
「はは、初めましてボブサ・ロブロです」


楽しみにしてたクラブ活動の時間になり、わたしが最初に自己紹介をすると、一緒に入った子爵の二人がその後に続きました。
お母様から聞いていたけど、この二人はこれからの混血派と純血派の立場を決める役目があって、両方の派閥をつなぐ為にここにいるわ、それだけに、相当なプレッシャーなのよ。


「どうもよろしく、僕はアレシャス・エルギルトです、君たちの教育を任されました」


アレシャスが名乗った後、後ろに控えるメンバーを紹介してくれました。
ジャケン公爵にケリー公爵と、優秀と噂のふたりに並び、論文で話題になったエマル伯爵がいました。
ボブサは、有名人揃いでかなり緊張していますよ。


「そう緊張しないでボブサ、純血派の君でもここでは関係ないんだよ、これから仲良くしていこう」
「はは、はい・・・よろしくお願いします」


すごく小さな声で、ボブサは返事をしていて、彼の大変な立場に同情したわ。
彼は純潔派で大変なのよ、肩身が狭いのにここに入ったから、混血派のマリーナの方が生き生きしているわ。


「それじゃ早速だけど、3人のダンジョンを見せてくれるかな」


アレシャスに言われ、わたしとボブサは素直に画面を出したのだけど、そこでマリーナがしぶしぶって感じを見せているの。
気にしない様子で、アレシャスたちは画面を見ているわよ。


「ふむ、まだまだ荒いがおもしろいダンジョンだ」
「そうですわねジャケン、小部屋ばかりだけど、モンスターは2つ星ですから、それなりに強いですわ」


ジャケン先輩とケリー先輩は、わたしたちの評価をしてくれて、なんだかムズムズしましたわ。
そしてアレシャスも同じ感じで、わたしはそれがちょっとうれしく感じたの。


「じゃあ次は、このモンスターたちをどうやって上位に成長させるかだね。みんなは自分のダンジョンを見て、どこでモンスターが強くなってるのか分かる?」


アレシャスがそんな質問をしてきて、わたしのダンジョンは、奥に行くほど成長していると思って答えたわ。
でも、マリーナがため息を付いたのよ。


「どうしたのかなマリーナさん」
「いえ、なんだかがっかりしただけです。もっと、とんでもなくすごい事を話し合っているとばかり思っていたんですよあたし」


そう言って、またため息を付いて来ました。
それを見て、ジャケン先輩が表情を変え、やれやれって顔をして来たわね。


「それはこっちのセルフだぞマリーナ、俺たちがそっちに合わせているんだ」
「だからっ!そちらにあたしたちが参加すれば良いだけだと言ってるんです。ダンジョンなんて、所詮設置の仕方でしょ、同じ物を作れば、誰だって高い難易度の物が作れるんですよ」


マリーナが怒りながらそんなことを言って来て、ダンジョンヒューマンが口にしない禁句だと思ってしまったわね。
彼女の言った事は正論で、それがあるからダンジョンは秘匿され、個人で研究をしているんですよ。


「ははは、同じモノか、それはそうだ」
「若いですわね」
「初々しいね~」


でも、それを聞いてアレシャスたちは笑っています。
それを見て、マリーナが怒って「なにを笑ってるんだ」って叫んだわね。


「じゃあマネてみると良いよ、今の時点でそれをしても、難易度が下がるのを実感するといい。満足するまでポイントは貸してあげるね」
「そ、そこまで言いますか!?」
「まぁやってみれば分かるよマリーナ、今の君に似てるのは、ライラかな?」


アレシャスがそう言うと、ライラ先輩が前に出てきて、ダンジョンを見せてくれました。
モンスターはマリーナと同じスネイク系で、ダンジョンの壁が茶色かったのよ。


「あのシャルティル様、どうして岩の壁ではないんですか?」
「エミリーは知らないでしょうけど、あれは通路の種類を変えてるのよ、教科書の終盤に書いてあったわ」


わたしが教科書を開いてエミリーに見せると、なるほどって顔をしていました。
その間に、マリーナはダンジョンを作り直して、モンスターを配置したのだけど、どうしてなのかと叫んでいます。


「どうして進化しないのよ!」
「それはそうよ、わたしのダンジョンは、特別なモンスター配置をしてるの。アレシャスから100万ポイントを貰い、同じダンジョンを作ったとしても、同じ様にはモンスターは進化しないわよ」


ライラ先輩がそう言って、他にも必要なモノがあると匂わせたわ。
わたしたち1年は、誰も分からない事で、マリーナは余計怒ってきたわ。


「そ、それなら最初からそう言ってよ!」
「そうさマリーナ、だから僕たちは集まって情報を共有してるんだ。ポイントがあっても、知らなければ作れるモノじゃないんだよ」


ライラ先輩のダンジョンが写っている画面の数カ所に、アレシャスは魔法の杖で点を打ちました。
それを見ても、私たちは誰一人分かりません。


「それがなにを示しているの?」
「これはねマリーナ、1体召還をする位置だよ」


わたしはその言葉に驚き、マリーナは口をパクパクさせてたわ。
教科書にはそんなこと書いていませんし、1体での召喚は、ポイントのプラスにならないから、誰もがやらない事だと、ボブサが手を挙げて答えてたわよ。


「うんうん、そうだねボブサ、誰もやらないよね」
「もも、モンスターの召還位置だってそうです、どこも同じじゃないんですか?1体で召喚しても意味ないんじゃ」
「ボブサそれは違う、誰も知らないだけなんだよ」


アレシャスがその後説明してくれましたが、驚きの連続でした。
わたしたちがモンスターを設置するタイミングは、凄く偏っているそうで、それだと気づくことが出来なくなるんだそうよ。


「モンスターの設置なんてみんな一緒よ!授業中にPTの通った場所で、モンスターがいなくなったところでもあるけど、それがなによ」
「マリーナそこが重要なんだよ。なにが違うのか、どう変えれば良い結果が出るのかを話し合うのがここなんだ、マネているだけじゃダメなんだよ」


アレシャスは、マリアル先輩をちらっとみました。
マリアル先輩は、恥ずかしそうにしていましたから、きっとマネばかりしていたんでしょうね。


「でで、でもですよ先輩、失敗したらポイントが全て無駄になります。今だって、彼女に渡したポイントは無駄になってしまったじゃないですか」
「だからみんなで集まっているんだよボブサ、話し合いで出た結果を、少しずつ出し合ったポイントを使って試す。それで良い結果になれば、みんなでそれを作り結果を公表するんだよ」
「しかしだ、俺たちもダンジョンの作りが違うから誤差になり、上手くいかないかも知れない」
「そこで、わたくしたちは更に話し合い、みんなでダンジョンを良くして行くのですわ、それが大事なのですわよ」


わたしはそれを聞いて、お母様を思い出しました。
お母様も、冒険者たちとそんな話をしてて、楽しかった時間だったのよ。


「そんな人たちが集まったから、ダンジョンが急に良くなったんですね。ボク、納得したよ」
「何納得してんのよボブサ、無駄が多いじゃない、今だって言ってくれれば」
「マリーナ、それで済まないのが個人の意見なんだよ、ねぇジャケン」


アレシャスがジャケン先輩に振ると、すごくいやそうな顔をしています。
皆さん、何かしら失敗しているのがよく分かったわ。


「この同好会を作るきっかけは、まさにそれなんだよマリーナ」
「なんだか納得だわ、みんなの疑問や予想を解決させる場所なのね」
「やっとわかってくれたね」


それはそうだろうと、ジャケン先輩たちが口を揃えたわ。
今まさに失敗したマリーナの様に、皆さんも納得して集まったのです。


「懐かしいですわね、わたくしたちも自分の意見が正しいと思って、作ってみたら失敗したのでしたわ」


そんな話をして先輩たちは笑っています。
わたしは、それがお母様に見えてきて、うれしいと感じましたわ。


「マリーナ、失敗しないようにするのは良いけど、それもやり過ぎると前に進めないよ。今までは、それがブレーキになってたんだ」


アレシャスは、名前を言わないある人の話を始めました。


「強いモンスターを設置するだけで良いと思ってたその人は、それが間違っていると知らなかったんだ。ダンジョンの難易度が低いと、モンスターたちは退化してしまうってね」


わたしは、それを知ってたから、ドラゴンの事だと分かったんです。
だからお母様は、ユウバリティラノを10体召還では出さず、メロンティラノから、何とか成長させて出そうとしたんですよ。
それも出せるかもしれない、わたしはとてもワクワクしましたわ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...