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3章 秘密

56話 相談

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「それで私の所に来たと」


次の日俺は早速エニルアの所に来た、どんどん増えるんだ困るぞ、今日だってエネとウーネがクエストに行こうと言ってきたが明日にしてもらった、用事があるって言ってな。


「何とかならないでしょうか」


「全く平和だな坊や、これから学園に通うのだぞ分かってるのか?マリアンナの娘を護衛するその大変さを」


それは何となく分かる、でも俺はオーラが見えるしある程度寝なくても平気だからな。


「それは行ってから考えますよ、それよりも身近な問題です、どうにかなりませんかね」


「ならんよそんなもの」


即答されたっだと!?


「そ、そんなぁ~」


「坊やのいた村では違ったのかもしれないが、今は男性が極端に少ないんだ、子供が10人生まれたとするだろ、その時女が9人で男が1人ってくらいなんだ」


「つまり1人で9人を相手にすると」


俺が単純にそう言ったらエニルアは頷いたよ、今まで生まれた人を入れればもっとかもしれない話だ。


「それに坊やは優秀ときた、知ってるか?商業ギルドにもいるんだぞ、坊やを狙ってる女性が」


「え!?」


そう言われて遠くのオーラを見てみた、壁で遮断されていると少し見にくいんだがそれでも半分くらいの人がピンク色をしているのが分かった、それが全部そうなのかよ、それに。


「気づいたか?私もだぞ」


「そ、そんな・・・冗談、ですよね」


俺はダメもとで聞いた、オーラの正確性は俺が一番よく知っているんだ、違ったことなんてない。


「そんなわけないだろう、だが私は今忙しくてなそれほど子供は欲しくない、つまりそう言う事だ」


なるほど、子供が欲しい人は直ぐにでも迫ってくるが、そうでもない人は俺に目をつけるって程度になると、それならまだいいかもしれないな。


「ありがとうエニルア少し気持ちが軽くなったよ」


「力になれて良かったよ、私も坊やの笑顔が見れて二人きりになれるからな、実は役得なんだ」


ウインクとニッコリ笑顔で言われた、二人きりってファラがいるんだがな、今だってテーブルに出した俺のお菓子にかぶり付いている。


「ははは・・・困る、エニルアすごく困るよ」


「くっくっく、まぁその時はよろしく頼むよユーヤ」


エニルアの真剣な顔を見て俺は顔を引きつらせた、名前を呼んでくれたって事はほんとに本気なのだろう。

本では精を渡したらそれでいいそうだがケイの時のようになるって事だろ?罪悪感が半端ないぞ、それに最後とんでもない事を聞いた、獣人には繁殖期があるそうでその時は覚悟した方が良いとか言われたんだ。


「ははは・・・(その時は逃げるかな)」


「そっちの話は終わりのようだな、じゃあこっちだ」


俺の小言を聞かなかったことにしてくれた、そしてこれからがエニルアの本題だ、何も俺の相談だけが目的ではなかったんだ。


「学園でマリアンナの娘と一緒となるとどうしてもこれに関わる、読んでおけ」


そう言って植物紙を出してきた、前よりもかなり良くなっている、紙にしやすい木を見つけたってとこか、そして俺は内容を読んでみた。


「魔導巨神?」


「ああ、それは他種族の切り札だ」


それを聞いてこの話の重大性を理解した、俺は学園の試験をした日の夜屋敷を襲撃されたんだ、俺がすぐに排除したんだがその時大きな鉄のゴーレムを使ってきた、そのゴーレムがこの魔導巨神だったんだ。


「つまり人族と戦う為の兵器なんだね」


「そうだ、だが人族だけではないぞ、魔王との戦いでも使う予定だ」


エニルアの話では魔王は今まで静かだった、だがここ最近動きのある魔王がいるらしい、そいつがモンスタースタンピードの奴かもな。


「なるほど、それで学園でその乗り手を育てていると・・・これは相当まずいですね」


「そうだろ、ただ学園に入学するだけなら坊やは関われない可能性もあった、だがマリアの護衛となるとそれはない」


戦争の兵器を扱う者を教育しているとなると人族の俺はその授業は受けれなかっただろう、だが貴族であるマリアの護衛となるとそうもいかないらしい、貴族たちは絶対にその授業を受けるらしいからな、つまり監視が付き情報が漏れないようにしてくるって可能性があるんだ、だから力のある上級貴族しか推薦は出せなかった訳だな。


「情報を外に漏らさない様に注意するよ、それとうかつな事もね、でもそんなにすごい兵器なの?ただ大きいだけでしょ」


そう言ったらエニルアが怒り出したよ、俺なら壊せるんだ、前の襲撃時それほど脅威に感じなかった、あれでは普通のモンスターや冒険者は倒せても強い者たちには勝てない、冒険者だったらAランクなら勝てるんじゃないかな。


「何を言ってるんだ坊や、これはほんとに強力なんだぞ!1機いるだけで1000のモンスターを倒せる、ちょっとやそっとの攻撃では傷すらつかんのだ、それを」


エニルアが少し興奮して話してくれている、確かに初期の魔導巨神ゼノ(資料にそう書いてある)は20mだったが今は小型化が進み、10mと小さくなっていて性能は倍くらい違うらしい、俺が相手したのはゼノの方で小型化をしたゼウって機体はAランクの者でも勝てないだろうと今エニルアが力説している、まぁ倍になっても俺としては変わらんよ、それにSランク冒険者や魔王クラスには勝てないと思う。


「ごめんごめん、つまり僕が倒したモンスタースタンピードを数機で討伐できるくらいの兵器って事だね」


「そうだ、これは鬼人族の国を超え他種族国家全域で密かに作っていたんだ、やっと生産が落ち着いて教育まで来た、そこに人族の坊やが入れば必ず問題になる」


確かに魔族や人族にこの情報が流れたら向こうも使うようになるだろう、そうなれば勇者であるマサトが乗る可能性が出てくる、乗り手が強ければそれだけ脅威となりえる、それに同じ兵器を使ってくれば優位性が無くなり戦争が激化するのは必然だ。


「十分注意するよ、でもこの資料結構細かく書かれてるけどここまでの資料は要らなかったんじゃないかな」


「だから坊やは信用できるのさ、普通は黙って貰う物だ」


そうなのか?出力とかどういう素材を使っているとか、ほんとに細かく書いてある、分からない物と言ったら動力源になっているコアくらいだ、名称と取り付けている場所だけでそれ以外は極秘と書かれている。


「黙って貰うわけにはいかないでしょこの最重要機密書類、マリアの護衛になるからって人族だよ僕は、すでに人族に情報が行ってるとかだったら話は分かるけど・・・ってまさか!?」


エニルアの顔を見たら少し暗い顔をして頷いていた、つまりそう言う事だ。


「さすが坊やだ、残念なことにすでにゼノの生産をしている国があるそうだ」


すでに生産をしている国があるのか!?となると勇者召喚をしたタイミングを考えると、あの国はすでにっという可能性が高い、これはかなり問題だぞ。
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