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1章 異世界生活

5話 空(宇宙)からの救援者

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「報告ご苦労、部署に戻れ」


敬礼したアタシは、やっぱりダメかと画面の電源を切りました。
その動作を見て、同期のジェネルもイヤそうな顔をしていたわ。


「ディーナ、どうするのよ」
「当然探すわ、彼がこんなに簡単に死ぬ訳ないもの」


アタシたちの母船が落とされた時、アタシたち戦闘部隊は新種のゲノムスを倒すことは出来たけど、マルセルたちを救う事が出来なかったわ。
だけど、残骸から救命ポットが無くなってるのは確認してるし、アタシたちの母船だった、宇宙戦艦【アクア】の様に爆発はしてない。


「だから、きっとマルセルは生きてるの」
「でもほんとなの?ノーマル種でしょその人」
「普通のノーマル種じゃないわジェネル、あの人はとてもユニークなの」
「へぇ~」


ジェネルが変な顔をして来たけど、きっと変わった知識を使って無事にいるわ。
そう信じてるからこそ、アタシは同期を集めて小型船を用意したの。


「プリン~プリン~」
「早く食べたいプ~リ~ン~」


小型船を操縦してる、エリムとエナムが変な歌を歌っていたけど、みんなにプリンを分けていて良かったとホッとしたわ。
アタシの小隊での単独行動だけど、新種の報告と戦艦撃沈も知らせたから、この後の帰還が遅れても問題ないの。


「最も問題なのは、マルセルがいなくなった事よ」


彼のおかげで、アタシたちの生存率が上がっていたの。
それは、上層部には知らされてない事で、アタシの今回の報告も途中で止められるはずなの。


「楽しみがあるから、戦いにも必死になる、どうしてわからないのかな」
「ほんとだよね~」


物資の確認をしてくれていたヤームが頷き、メインデッキにいつの間にいたのかと声を掛けたわ。
アタシたち5人は、彼のおかげで戦いを工夫して生き残ったメンバーで、普通なら諦めて特攻していたはずなんです。


「戦闘経験が蓄積すれば~それだけ相手を分析できて対処も出来るのにねぇ~」
「そうよね、だからアタシたちは、死なずにマルセルを助けて戻って来るわよ」
「そうだねぇ~」


当然だよっと、他のみんなも賛成してくれて、アタシたちはアクアが撃沈された区域に戻ったの。
戦闘アーマー【バイセン】で宇宙に出て、戦艦の残骸が残ってなくてガッカリです。


「そう言えば、マルセルはバイセンを見てロボットとか言ってたっけ」


ちょっと諦めてしまったアタシは、簡単に諦めてはダメと言ってくれたマルセルの顔を思い出したの。
絶対に助けると誓ったのに、これじゃダメと頬を叩いて気合を入れたわ。


「これもマルセルが教えてくれた事、絶対に助けるからね」


何か残ってないか、編隊を組んで探す事にして3日が過ぎた時、アタシ達はゲノムスの残骸を調べてない事を思い出したの。
その残骸の地点は、探索エリアから離れていて、到達するとそこには1機の救命ポットがレーダーに映ったわ。


「ほんとに反応があるぞ」
「きっとマルセルよ、急ぎましょジェネル」
「焦るなよディーナ」


ジェネルは分かってないの、救命ポットが稼働できるのは2日で、アタシ達が使えば1週間と言う限定的な事で、マルセルが使っていたなら1日オーバーしているのよ。
急いでポットを回収して、アタシは生命反応をセンサーで確認したら、乗ってる人は生きてるのが分かって、アタシの目から水が零れたわ。


「これって、マルセルが言ってた涙?」


マルセルの話では、悲しいときに出ると聞いてたけど、今のアタシは安心しただけで、こんな時でも出るのが分かったわ。
無事にマルセルを見つける事が出来たと、船に戻って喜んだけど、ポットに乗っていたのは彼じゃなかったわ。


「誰なのよ、ヤーム早く検索して」
「ディーナちょっと待ってね~」


のんびりと検索をするヤームの肩を揺すって、アタシは急かしたんだけど、マルセルじゃない時点であまり期待してなかった。
早く探索を再開したくて、助けた女性の身分を確認してるだけだったわ。


「名前はねぇ~ラティーナだってさ」
「ラティーナ・・・確か、メインデッキでオペレーターをしていたかしら?」
「うん、ウチも聞いた事あるかもぉ~」


ヤームも覚えていたみたいだけど、ハッチを開けてアタシは彼女を連れて拠点母船に戻る事を決めたわ。
それを聞いて、みんなは不思議に思っていたけど、彼女を見ればすぐに分かるの。


「何が分かるのぉ~」
「そうだぜディーナ、右腕がないだけだろ?」
「違うのよ、彼女は手当てされてるでしょ、これは彼の仕事よ」


普通の手当てなら、傷口を塞ぐだけで終わらせて、後は戦闘終了後に処置するのが決まってる。
だけど、彼女の手当てはそれ以上にされていて、彼以外考えられなかった。


「だから、彼女はあの戦闘の中、彼と一緒だった可能性が高いのよ」
「なるほど~」
「だとしたら、急いで戻ろうぜ」


彼女の傷は深くて、ノーマル種の生存率ギリギリでした。
残された手掛かりは彼女だけだから、アタシたちは急いで拠点母船に向かったのよ。


「でも、どうして彼はいないのかな?」
「反応は無かったんだ、だとしたら考えられるのはあれだろ」
「そんな事はないわっ!」


彼が死んでるはずないと、生き残ったラティーナを睨んで確信していたの。
彼が命に代えて助けたといった可能性はあるけど、それを考えたくなかった。


「お、おいディーナ」
「え?」


アタシの目からまた涙が零れていて、これが悲しいという気持ちなのが分かりました。
そして、あの時の涙とは違っていて、アタシは声を出して泣いてしまったの。


「まいったな」
「そうだねぇ~」
「と、兎に角戻りましょうよ」
「うんうん」


皆が困っていたけど、アタシは止める事が出来なかったわ。
悲しくて、ほんとに悲しくて仕方なかったのよ。
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