くそヒロインを目指しましたがなりきれませんでした。

鏡花

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入学

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しかし、それからの生活はわりと大変だった。

まず、今まで一切学校というものに行ったことがなかったので、初歩の初歩から叩き込まれた。それが終わると今度は姿勢などのマナー講習、元娼婦の女の人からのテクニック伝授、身を守るための剣術・護身術など、貴族って大変なんだな、と痛感させられた。

私は体を動かすことはそこそこ得意だったから剣術・護身術はわりとスムーズに身につけられたのだけど、とにかく勉強が苦手で発狂しそうになりながら、いや、この環境を手放したら地獄に逆戻りだと思い直して努力する日々だった。


今日は高校の合格発表日。ここで落ちてしまっていたら全ては水の泡だ。隣では学園に通うお義兄さまが見守ってくれている。お義兄さまは引き取られた理由を聞いた上であろうが、とても優しくしてもらっている。

どきどきしながら番号を探した。563、563、563、あ、あった!

「受かってた!」

「おめでとう」

その夜はちょっと豪勢なごはんが出た。


翌日からは入学に必要なものを揃えたり、周辺知識の強化をしている。

そういえば、元々はロリ巨乳系を目指していたようだが、どちらかと言うとキレイ系に育ってしまったので、貧乳だが、手術うんぬんもなくなった。バランスが崩れなかったので運動がしやすくて便利だ。

髪も肩くらいのミディアムである。最初お義父さまに止められたが、ロングの格式高い姿の女性との差別化ができるから、と主張したら許してもらえた。なにより、元娼婦の先生からの賛成意見が後押しをしてくれたのだと思うけど。
これだけあればヘアセットもぎりぎりできるし、涼しいし、きれいに保ちやすい。長いと毛先からすぐ傷み始めるからね。


入学式の数日前に寮に入居した。協調性を学ぶとかで基本的には誰かと同室になるそうだ。

私のルームメイトはアリア・プラシール。子爵令嬢で、小さくてその割に出てるとこ出てて、あー、こういう感じになるのを期待されてたのかー、と思った。

話を聞いたら既に両想いの幼馴染婚約者がいるようで、私の作戦の邪魔にはならなそうで安心したけど。

「今日からよろしくね」

「よろしくお願いします」

ちなみに、彼女とはクラスも一緒なのでとりあえず仲良くなることにした。
雰囲気も貴族っぽさが強くなくて付き合いやすそうだし。本格的に落とすフェーズに入ったら巻き込まないように切るけどね。

入学式も無駄に豪勢だった。
あと、生徒会長やってる王子に対する声援がすごかった。
貴族なのにこんなにきゃーきゃー言うのはマナー違反ではないのかな?それとも、パーティーとか公的な場だと言えないから今言っているのか。

話す王子のそばに控えている中には副会長を務めている王子の婚約者のミラ・イディアールもいた。会長以外話さないから声も喋り方もわからない。しかし、シンプルだけれどお金がかかっていることがわかるドレスとアクセサリーを身につけていて、これが純正の貴族のお嬢様か、と少し圧倒された。正直すごくかっこいい。
あと、書記のお義兄さまの顔がいい。
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