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初めての学食
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入学式が終わると名目上は自由時間となる。ただ、午後に部活のオリエンテーションがあるから大半は食堂で昼食を取る。
ルームメイトのアリアと食堂へ行き、席に着く。
「なに食べようかな」
彼女が悩んでいるのを横目に私はさっさとボロネーゼを注文した。どうせ、3年間ここで食べるのだ。片っ端から頼んでいって気に入ったのが見つかったらそれらをローテーションすればいい。
「もう決めました?」
「うん。気になるものはまた明日以降頼めばいいかな、と思ってさ」
「そっか、それもそうですよね!じゃあ、オムライスにしよう」
アリアの婚約者とののろけとかを聞いていたら食べ物が届く。
「「いただきます」」
流石に貴族学校の昼食。生麺だし、茹で置きではなく、新しく茹でたアルデンテのパスタでおいしい。
世間話に花を咲かせていると歓声が聞こえた。どうやら生徒会が入ってきたらしい。しかも、どうやらこちらに向かってきている。お義兄さまの戦略かな?と思いながら到着を待つ。
「やあ、君がキールの妹のルナかな?」
「はい!ルナ・アルテスと申します。よろしくお願いします」
笑顔のついでに必殺上目遣いも浴びせておく。目の大きさには自信があるんだわ。
「……っ、俺は生徒会長を務めているレンだ。よろしく」
おい、王子。意外とちょろいな、お前。
「私はハルと申します。会計を務めております。よろしくお願いいたします」
「庶務のヴィンクだよー。よろしく!」
「風紀委員長のグリフだ。以後よろしく頼む」
なるほど、これが王子と取り巻き集団か。とりま全員顔はいい。
「よろしくお願いします!」
「じゃあ、挨拶が終わったなら移動しますよ。席が余ってないんですからここにいても邪魔です。ごめん、ルナ、邪魔して」
「大丈夫です。気にしなくていいですよ」
速攻回収してくれたお義兄さまありがとうございます。
生徒会が撤退するとアリアが大きく息を吐き出す。
「はぁー、こんな近くで生徒会の方々と話すことがないから疲れた」
「わかる。でも、嫌われたら厄介だから」
「猫かぶってたもんね」
「まあ、ああいうのがたぶん貴族に引き取られた女の子の理想ムーブでしょ」
「あ、引き取られたの?」
「言ってなかったか。そうそう。アルテス家って子どもがお義兄さまだけだから親戚の家からね」
「なるほどね。たしかに色は似てるけど、顔あんまり似てないもん。家族でも似てないことって全然あるけど、納得」
「でも、言いふらさないでよ?」
「大丈夫。言いふらして楽しむような下劣な趣味持ってる子とは友達にならないから」
「私は結構性格悪いけどね」
「自覚してる人は意外と優しいもんだよ。自覚なかったり、毒舌、とかいう言葉でごまかしてる人のほうが性格ねじ曲がってることが多いもん」
「それは、私が言うのもあれだけど、わかる」
「でしょ笑。ところで、ルナは部活はどこに入る予定?」
「テニスかな?適度に運動できる部活に入りたくて」
王子もチャラ男もいるし。
「運動得意なの?」
「こう見えて、得意なんだよ?なんならお義兄さまより走るの速いくらいだから」
the文系のお義兄さまが遅いっていうのが本当は正しいのだが。
「それはびっくり」
「アリアは?」
「私はヴィーくんがいるテニス部でマネージャーをやるか、料理部に入るか悩んでるんだよね」
「今日のオリエンテーションと仮入部で決める感じか。テニス部はどうせ行く予定だからいいとして、料理部もなんなら付き合うよ」
「いいの?」
「うん。だって、数日くらいずれたところでどうってことないし。ところで、生徒会がいなくなったあたりからアリアも敬語が消失してたの気づいてる?」
「あ……」
「気をつけて。婚約者もいるし、大丈夫とは思うけど、蹴落とし合いもあるらしいから」
「ありがとう」
ルームメイトのアリアと食堂へ行き、席に着く。
「なに食べようかな」
彼女が悩んでいるのを横目に私はさっさとボロネーゼを注文した。どうせ、3年間ここで食べるのだ。片っ端から頼んでいって気に入ったのが見つかったらそれらをローテーションすればいい。
「もう決めました?」
「うん。気になるものはまた明日以降頼めばいいかな、と思ってさ」
「そっか、それもそうですよね!じゃあ、オムライスにしよう」
アリアの婚約者とののろけとかを聞いていたら食べ物が届く。
「「いただきます」」
流石に貴族学校の昼食。生麺だし、茹で置きではなく、新しく茹でたアルデンテのパスタでおいしい。
世間話に花を咲かせていると歓声が聞こえた。どうやら生徒会が入ってきたらしい。しかも、どうやらこちらに向かってきている。お義兄さまの戦略かな?と思いながら到着を待つ。
「やあ、君がキールの妹のルナかな?」
「はい!ルナ・アルテスと申します。よろしくお願いします」
笑顔のついでに必殺上目遣いも浴びせておく。目の大きさには自信があるんだわ。
「……っ、俺は生徒会長を務めているレンだ。よろしく」
おい、王子。意外とちょろいな、お前。
「私はハルと申します。会計を務めております。よろしくお願いいたします」
「庶務のヴィンクだよー。よろしく!」
「風紀委員長のグリフだ。以後よろしく頼む」
なるほど、これが王子と取り巻き集団か。とりま全員顔はいい。
「よろしくお願いします!」
「じゃあ、挨拶が終わったなら移動しますよ。席が余ってないんですからここにいても邪魔です。ごめん、ルナ、邪魔して」
「大丈夫です。気にしなくていいですよ」
速攻回収してくれたお義兄さまありがとうございます。
生徒会が撤退するとアリアが大きく息を吐き出す。
「はぁー、こんな近くで生徒会の方々と話すことがないから疲れた」
「わかる。でも、嫌われたら厄介だから」
「猫かぶってたもんね」
「まあ、ああいうのがたぶん貴族に引き取られた女の子の理想ムーブでしょ」
「あ、引き取られたの?」
「言ってなかったか。そうそう。アルテス家って子どもがお義兄さまだけだから親戚の家からね」
「なるほどね。たしかに色は似てるけど、顔あんまり似てないもん。家族でも似てないことって全然あるけど、納得」
「でも、言いふらさないでよ?」
「大丈夫。言いふらして楽しむような下劣な趣味持ってる子とは友達にならないから」
「私は結構性格悪いけどね」
「自覚してる人は意外と優しいもんだよ。自覚なかったり、毒舌、とかいう言葉でごまかしてる人のほうが性格ねじ曲がってることが多いもん」
「それは、私が言うのもあれだけど、わかる」
「でしょ笑。ところで、ルナは部活はどこに入る予定?」
「テニスかな?適度に運動できる部活に入りたくて」
王子もチャラ男もいるし。
「運動得意なの?」
「こう見えて、得意なんだよ?なんならお義兄さまより走るの速いくらいだから」
the文系のお義兄さまが遅いっていうのが本当は正しいのだが。
「それはびっくり」
「アリアは?」
「私はヴィーくんがいるテニス部でマネージャーをやるか、料理部に入るか悩んでるんだよね」
「今日のオリエンテーションと仮入部で決める感じか。テニス部はどうせ行く予定だからいいとして、料理部もなんなら付き合うよ」
「いいの?」
「うん。だって、数日くらいずれたところでどうってことないし。ところで、生徒会がいなくなったあたりからアリアも敬語が消失してたの気づいてる?」
「あ……」
「気をつけて。婚約者もいるし、大丈夫とは思うけど、蹴落とし合いもあるらしいから」
「ありがとう」
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