世界ってなんなんですか?

仲里トメ子

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がーるずとーく

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「朱音ちゃん、ガールズトークしましょ。」




ぽやぽやとした空気でネコ吉おばあちゃんの初恋の人、初めてのキスの話などが語られ少し自分の気持ちが和やかになってきた。

「おばあちゃんはその人と結婚、とかは考えなかったの?」

「考えたわ。考えて、考えて彼に伝えたのん。」

「なんて?」

おばあちゃんは彼を思い浮かべ切なそうに答えた。

「結婚はできない。でも、お互いに永遠を誓うことはできるわ。」

「どういうこと?」

「朱音ちゃんもいつかわかるはずだから大丈夫。朱音ちゃんは彼とどうなのん?」

「彼とは多分、多分だけど、両想いだといいなって。大切な女の子って言ってくれて…。」

「おやまぁ…。朱音ちゃん、いい女ねぇ。」

「もう、おばあちゃん!でね、私も大切だって伝えて…。その…。」

「あらあら、そこまでしたならもう恋人なのん、でも明確ではないわけなのね?」

おばあちゃんはポッと頬を染めたのは一瞬で、私のモヤモヤを共感してくれた。

「後輩の前では恋人扱いしてくれたけど、あのキスのこと覚えてるってことだよね?帰れないよー!恥ずかしいー!」

「ダメよ、朱音ちゃん。この苗木はねぇ、あなたたちの愛で育つの。もう一度きちんとお話して誓いの口付けを交わせば、元気になるのん。」

「く、口…!?」

真っ赤で金魚のように口をパクパクさせる私を優しく撫でてくれるおばあちゃんの手はどこか懐かしかった。

「彼が帰りを待ってるのん。さぁ、自信を持って、行ってらっしゃい。」

「うん…行ってきます、おばあちゃん。」


マンションを出ると、黒髪ロングをポニーテールにまとめセーラー服を身にまとった大人びた美女がこちらを睨みつけながら仁王立ちしていた。

「アンタ、彼のなんなの?」

「え?」

彼女は怒りからか少し顔を歪め涙ぐんだ声を張り上げ、私の肩を揺さぶった。

「シュウの女なのかって聞いてるの!!」

突然のことに動揺し、植木鉢を落としガチャンっと大きな音が響く。

「あ…あ…。」

呆然と立ち尽くしていると彼女はハッとして、植木鉢の欠片を拾い始めた。

「ごめんなさい!私、あなたのもの壊すつもりじゃなくて、シュウが、シュウが…。」

「大丈夫です。ごめんなさい、わたくしもびっくりしてしまって、その…。」

ようやく私も冷静になり欠片を集めた。

「わたくしは古賀朱音と申します。秋輔の…なんでしょうか。わからないですが、互いに尊敬し合っていると思っておりますわ。貴女は秋輔のことが好きなのですか?」

ほぼ拾い終え、彼女はこくんと頷いて頬を染めた。

女の私ですらもキュンとするほど可愛らしかった彼女の指からは少し切ったらしく血が滲んでいる。

「ありがとうございました。指、ごめんなさい。絆創膏なら持っていますからそこの公園に行きましょう。」

彼女はおとなしくついてきた。

公園に着くと、水道の蛇口をほんの少し捻り痛くないように傷を流す。

「私、シュウが好きで、シュウが他の女の子と仲良くしてると思うとイライラして、ダメだってわかってるのに、シュウ…。」

「秋輔のこと、大好きなんですのね…。」

「どうして…どうして…こんなにシュウを想っているのに…!シュウは、振り向いてくれないのって…!ずっと、ずっと思ってた…!うぅ…。」

ぽろぽろと溢れる滴は血に混じって朱を落とし、コンクリートの溝に流れて行った。
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