世界ってなんなんですか?

仲里トメ子

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オムライスと名前

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今日は、気合入れて晩御飯作るか!
お嬢様には悪いことしたし…。
大好物ってなんだっけ…?
ええと、思い出せ秋輔。
お嬢様が美沙貴ちゃんの家で食べてた…オムライス!
オムライスには自信あるぜ?
よぉし、ふわとろオムライスに決定!
ソースはデミグラスかホワイトか…。
お嬢様はホワイトが似合いそうだなぁ。
「うっし、いっちょやりますか!」

「ふんふーん。お、いい感じ!」
ソースがいい感じに仕上がってきたところでガラッと音が聞こえた。
「アキー、上がったわよー。」
そう言いながらリビングの扉を開けダルそうに入ってきたお嬢様に少し、ドキッとしてしまった。
疲れていたのか長風呂だったお嬢様はほくほくとほんのり赤く、今日買ったパジャマが思いの外可愛くて、前髪が艶やかに顔にかかっていて…はたと我に返って、いつもの笑顔を張り付け、料理を盛り付ける。
「アキー。髪乾かしてー。もう今日は疲れちゃった!」
ソファーにどかっと座ってタオルを被りこちらを振り返る顔はムスッとしていて、少し甘やかしたくなってしまうのはオレが兄だからだろうか。なんだか妹にそっくりで可愛いと思えた。
「アキー?」
「はいはい、朱音。」
そう言って、ドライヤーを手に取り、朱音の髪に触れる。
朱音がなんか顔を覆っている。
どうしたんだろう…?
「どうかしたか?朱音。」
「…え…。」
ドライヤーの音でなんて言っているか聞き取れなくて、綺麗で細くて短い髪も早く乾きそうだったので、そのまま乾かしてしまおうと続けようとすると、朱音がこちらを振り向いた。
「い、いきなり…名前で呼ぶのズルい…秋輔!」
ドキッとした。
秋輔はあまり呼ばれ慣れていないから。
そう言えば、お互い名前で呼んでいなかったっけ…。
「な、なんか言いなさいよ、しゅ、秋輔?」
「なんか、新鮮だな。これから、名前呼びにするか。」
照れている朱音は小さく頷いて、しおらしくて、いつもより可愛いと思った。
「じゃ、よろしく、朱音。」
「よ、よろしく…秋輔。」
手を差し出し握手を求めるとおずおずと手を握り返してくれた。
「可愛いなぁ。」
「ば、バッカ!」
思わず声に出してたみたいで、殴られてしまった…。
痛い…。
「ごめんごめん。御飯できてるぜ。食べよう、な?」
「仕方ないわね。あー、お腹すいた!」
ふん。と、そっぽ向いている顔はほんのり赤く、今度こそ心の中で可愛いなぁと呟いて、ダイニングテーブルに特製ホワイトソースのふわとろオムライスを置いた。
「こだわりホワイトソースだ。うまいぞ。」
「ありえない!オムライスはデミグラスソースよ!」
げ…!デミグラス派だったか…!
「これはうまいんだって!食ってみろよ。一口でいいから。そしたら作り直すから!」
「…そこまで言うなら自信あるんでしょうね?」
朱音の目が疑いの目になっており憎ましげに睨んでいて、そんじょそこらの男なら心が折れてしまっていることだろう。
だが!
俺は違う!
何故ならば、頼れる兄だからだ!
妹もよく食わず嫌いしたものだ。
慣れている。
ふふ、残念だったな朱音!
お前は今からホワイトソース派にな
「まずい。これ生クリーム多すぎ。」
「……え?」
「まずい!」
「つ、作り直してきまーす!」


「うん、美味しそう。いただきます。」
おじょ…朱音の目の前にはデミグラスソースのふわとろオムライスが置かれている。
赤ワインにこだわり丁寧に味付けした一品である。
朱音の口に一掬い運ばれるオムライスをガン見しながら評価を待つ。
さぁ、どうだ…!
「美沙貴のより美味しい、かも…悔しい…。」
「っしゃー!」
ガッツポーズのオレとは反対に悔しいと言いながらも、美味しそうにパクパク食べてくれる朱音。
オレもオムライスに手をつける。
オレのはホワイトソース。
もったいないからな。
これはこれで美味しいんだけどなぁ…。

風呂上がり、タオルで頭を拭きながらリビングに戻ると朱音はソファーでうたた寝していた。気持ち良さように寝てやがる…。
でも、起こさないと水やりができないしな…。
「おじょ…朱音。あかねー?起きろー。水やりするぞー。」
「んぅ…何よぅ…起きてますわよぅ…は!」
飲んでいた冷たい水のペットボトルをほっぺたに当ててやるとすぐに目を覚まし、苗木に水やりをする。
「秋輔、なんかこの苗木昨日より急に大きくなってない?」
「そうだな。よくわかんねーけど、このままうまくいくといいな。」
10センチ。
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