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ソファで風呂上がりにケータイを弄りながら嬉しそうにしている朱音さま。
そう、結局買えたんだが、俺の2台目という扱いで。
あの後茶麩谷のショップでベテランお姉さん店員に相談して、やはり本人確認の書類がなければダメということで名義は俺にしてくれれば朱音にケータイを持たせられるということだった。
朱音の身分証かぁ…。どうしようもないよな…。
「秋輔ー。写メ!記念写メ撮るわよ、こっち来てちょうだい!」
「はいはい。」
朱音がこだわったのはカメラ機能だった。画質が良く、キレイに簡単に撮れるヤツがいい。
「はい、チーズケーキ!」
「チーズだろ。なにケーキまで食べてんだよ、太るぞ。」
「食べてないー!太るってなによ!もう!」
「ははは。俺にも送っといてな。」
「ふふ、もちろん。美沙貴はツッコミしないボケ殺しだったから、なんか新鮮!」
きゃっきゃっと嬉しそうにケータイを眺め、俺のケータイがピロンと新着メールを知らせるのだった。
その夜、いつもの水やりをした。
月明かりに照らされた世界樹の苗木に水を垂らすとスクッと大きくなった。
「ね、ねぇ秋輔。なんか今この子スクって大きくなったわよね?」
「そうだな。なんだろうな。まぁとりあえず、今日は疲れただろ?寝ようか。」
すっかり自分の部屋になってしまった客間で、布団を敷いてくれてあるのを見て、そういえば最近秋輔は仕事はどうしてるのか気になった。でも、ケータイが、自分の新しいケータイが嬉しくて、美沙貴の番号をプッシュした。最初の三桁を入力して、その後覚えてないことに虚しくなり、唯一登録されている秋輔のデータを眺めてぼーっとしていた。いつの間にか発信していたのか呼び出し音でハッとしてワン切りしてしまった。これくらいじゃ起きないと思っていたのに、ケータイが着信を告げるランプと早く出ろと言わんばかりにバイブレーションが鳴る。
「もしもし、おれおれ。」
「秋輔?起こしてごめん。」
「はい、ダメー。ぶっぶー。」
「え?なによ?」
「おれおれ詐欺かもしれないだろ?気をつけなきゃダメだろ、朱音。」
「よっぽどかかって来ないでしょ?そんなの。」
「そうでもないんだ、ナッツの母さんがよく引っかかっててさ。」
「え、マジ!?ナッツ苦労人ってホントなのね…。」
「なぁ、それ、やめね?俺さ、今日はいっぱい走り回って結局2台目としてしか契約できなかったの悲しいんだ。それ以上朱音が異世界人って突きつけないでくれよ。こうして、一緒の家に居んだから、そんな悲しくさせるようなこと、やめてくれよ…。……プツ。ツーツー」
呆然。ケータイはしばらくツーツー言って何も言わなくなって、画面も落ちてそれまで暖かく感じていた客間が急に冷えるような空気に思わず、秋輔が敷いてくれた布団に潜り込んだ。少し暖かくて安心する中、初めてのケンカに戸惑っていた。秋輔はいつも優しくて、大人で、しっかりしてて、ごはん美味しくて、お人好しで。そりゃ、お布団も暖かいわね。私、なんてこと言っちゃったんだろう…。そうだよね…。明日、謝らなくちゃ。
どう謝るか考えてると眠れなくて、初めて長い夜を過ごした。
そう、結局買えたんだが、俺の2台目という扱いで。
あの後茶麩谷のショップでベテランお姉さん店員に相談して、やはり本人確認の書類がなければダメということで名義は俺にしてくれれば朱音にケータイを持たせられるということだった。
朱音の身分証かぁ…。どうしようもないよな…。
「秋輔ー。写メ!記念写メ撮るわよ、こっち来てちょうだい!」
「はいはい。」
朱音がこだわったのはカメラ機能だった。画質が良く、キレイに簡単に撮れるヤツがいい。
「はい、チーズケーキ!」
「チーズだろ。なにケーキまで食べてんだよ、太るぞ。」
「食べてないー!太るってなによ!もう!」
「ははは。俺にも送っといてな。」
「ふふ、もちろん。美沙貴はツッコミしないボケ殺しだったから、なんか新鮮!」
きゃっきゃっと嬉しそうにケータイを眺め、俺のケータイがピロンと新着メールを知らせるのだった。
その夜、いつもの水やりをした。
月明かりに照らされた世界樹の苗木に水を垂らすとスクッと大きくなった。
「ね、ねぇ秋輔。なんか今この子スクって大きくなったわよね?」
「そうだな。なんだろうな。まぁとりあえず、今日は疲れただろ?寝ようか。」
すっかり自分の部屋になってしまった客間で、布団を敷いてくれてあるのを見て、そういえば最近秋輔は仕事はどうしてるのか気になった。でも、ケータイが、自分の新しいケータイが嬉しくて、美沙貴の番号をプッシュした。最初の三桁を入力して、その後覚えてないことに虚しくなり、唯一登録されている秋輔のデータを眺めてぼーっとしていた。いつの間にか発信していたのか呼び出し音でハッとしてワン切りしてしまった。これくらいじゃ起きないと思っていたのに、ケータイが着信を告げるランプと早く出ろと言わんばかりにバイブレーションが鳴る。
「もしもし、おれおれ。」
「秋輔?起こしてごめん。」
「はい、ダメー。ぶっぶー。」
「え?なによ?」
「おれおれ詐欺かもしれないだろ?気をつけなきゃダメだろ、朱音。」
「よっぽどかかって来ないでしょ?そんなの。」
「そうでもないんだ、ナッツの母さんがよく引っかかっててさ。」
「え、マジ!?ナッツ苦労人ってホントなのね…。」
「なぁ、それ、やめね?俺さ、今日はいっぱい走り回って結局2台目としてしか契約できなかったの悲しいんだ。それ以上朱音が異世界人って突きつけないでくれよ。こうして、一緒の家に居んだから、そんな悲しくさせるようなこと、やめてくれよ…。……プツ。ツーツー」
呆然。ケータイはしばらくツーツー言って何も言わなくなって、画面も落ちてそれまで暖かく感じていた客間が急に冷えるような空気に思わず、秋輔が敷いてくれた布団に潜り込んだ。少し暖かくて安心する中、初めてのケンカに戸惑っていた。秋輔はいつも優しくて、大人で、しっかりしてて、ごはん美味しくて、お人好しで。そりゃ、お布団も暖かいわね。私、なんてこと言っちゃったんだろう…。そうだよね…。明日、謝らなくちゃ。
どう謝るか考えてると眠れなくて、初めて長い夜を過ごした。
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