もしも学校の椅子がトイレの椅子だったら

五月萌

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132 生徒会の仕事7

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1月の下旬。

「来月のバレンタインはどうする? また学校で作る?」と僕は朝の教室で葉阿戸に話しかけた。

「そうしたいけど14日は土曜だよ。君はどうしたいんだい?」
「13日に作るか……、あーでも、生徒会があるなぁ」
「土曜日、俺の家来るかい? 明日姉さんは多分、茂丸とデートに行くと思うからさ」
「うん、でもいいの?」
「大歓迎! ヤキもいるし」
「ヤキなー」

僕は微笑しながら、ズボンとトランクスを脱ぐ。もちろん変態だからではない。この学校の校則だからだ。
キンコンカンコーン

「決まりな! 材料はまた相談な」

葉阿戸はひざ掛けをスカートのようにして巻いていた。そして、便座に腰掛けた。
がらら。
橋本はニヤつきながら入ってくる。

「今度の2月の3日は俺の誕生日だー、プレゼントを持ってきてもいいぞー。んー、今日もいつものメンバーが出席ねー。じゃ、ズボンとトランクスを前にー」

橋本は衣類が集まると、名残惜しそうに帰っていった。




放課後。

「♪~」
「ここは私が代わるので、陽君と買い出し頼みます」
「えー、わかった」

僕が気分よくポンプを回していると、モンが口を出してきた。正直面倒だ。それに寒い。

「ポスカと画用紙と墨汁と~~~~」

モンが書かれたメモ帳の紙を破って僕によこした。
その量は結構重労働だ。

「画房は結構遠いな、チャリで行ってもいい?」
「はい、寄り道はしないでくださいね」
「へいへい」

僕は頭を掻きながら、リュックを手に取った。
(モンはなんで僕を陽とくっつけたがるんだ)
陽は顔を赤くしながら用意をしている。

「「行ってきます」」
「「「いてらー」」」

皆、せっせと回しているが、僕らに挨拶を返してくれた。

「たい君の好きな食べ物何?」
「唐揚げー」

僕らはのんびりと自転車に乗っていた。そのせいか、陽が僕に質問攻めしてくる。

「好きな歌手はー? 嫌いな食べ物は? 初恋は? 誕生日は?」
「ああもう、ちょっとうるさいな」
「ごめん」
「いや、謝られても僕が悪いみたいじゃん。一問一答で返すから、質問は」

僕らはおしゃべりしながら道を進んだ。
そして、到着した。
店に入ると、メモに書いてあるものを陽の持つかごの中に放り込んでいく。
なかなか狭い老舗の画房だ。

「あんた、ひょろいんだから僕が荷物持つよ」

僕は陽の手からかごを受け取り、力任せに運んだ。

「トゥンク。あ、ありがとう」

陽がきれいな目で僕を見つめる。

「そんなに見つめないで」
「ご、ごめん」
「いや、調子狂うな」

僕はレジに商品を持っていく。
(葉阿戸から見ると僕も同じように見られていたのかも)

「6点で4990円です」
「5000円からで、領収書ください」
「10円のお返しと、こちら領収書でございます。ありがとうございました」
「ありがとうございます」

僕らはミッションを終え、店を後にした。
僕は買った物を自転車のかごに丁寧に入れた。

「戻るか」と僕は陽の顔を覗き込む。

「寄り道してこうよ」
「ええー、だめだよ。モンに怒られるって」
「たい君って真面目ー」
「いやいや、……ま、それが取り柄だし」
「ちぇ! この近くに俺の家あるのに」
「それは色んな意味でだめだ。学校に戻ろう」
「いいじゃん? さきっちょだけだから」
「何がだよ。いいから行くぞ」
「おー」

陽は諦めたのか、僕の後ろを走る。

「なんで僕のこと好きなの?」
「そんなの本人に言えるわけ無いよ」
「なんか怪しい、モンに言われたのか?」
「違う! 本当に好きだよ。葉阿戸さんの事もたぶらかしておいて、モン君の名前を出さないでほしいよ! うわぁ!」

陽は僕の自転車にくっついて並列になろうとしたがハンドル操作を誤った。
ブラケットが知恵の輪のように絡まって、2つの自転車は重なり合って倒れかけた。

「おっとっ! 危ねっ」

僕は足を強く前に出して、自転車を斥力で止めた。

「ああー、危なかった」

陽も無事に自転車を斜めに固定させたようだ。

「もう、気を付けて」
「たい君、ごめんなさい」
「まあいいけど、僕は真剣に葉阿戸と交際してるから」
「……」

僕らは勇往邁進し、生徒会室まで来た。

「「ただいまー」」
「どうも」

相変わらず生徒会室は冷えていたしモンの目線も冷たい。
人はまばらで皆、作業していた。

「それじゃあ、作業は一段落したので、お家に帰りましょう」
「「「うす!」」」

皆が帰っていく中で、モンへ対峙した。

「卒業式の準備早くない? まだ2ヶ月後だよ」
「事前に準備しておけばバタバタしなくて済むでしょう」
「まあ、そうだけど」
「私が生徒会室の鍵を閉めるので出ていってください」

モンは語気を強める。

「はいはい」
「たい君、途中までお供します」

陽が僕に声を掛ける。

「本当に途中までだな」

校門の前で陽と別れた。
僕は腹をすかせて帰るのだった。

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