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7話
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視界も脳も白一色に染められた気がした。
それは白蛇の色だったかもしれないし、精液の色だったかもしれない。だが大巳にはどちらだろうが関係ないことだ。
白の世界に取り込まれた、その事実だけがそこにある。
今までの常識や良識、傲慢な態度や肥大化した矜持は過去の産物だ。そういったものがすべて白く塗り替えられて真新しい状態になる。
「もう帰るか? それとも変わるか?」
真っ白なキャンバスに、ぽつんと色を落とす三十路男の低い声。
何もにも染まる白の状態になった大巳は、いまさら過去の場所に帰ることを選択しない。
蛇が脱皮するように、古い皮を捨てて生まれ変わるだけだ。
選択した大巳が三十路の男と車で移動した行き先は、山間にある民家だった。
表向きは普通の民家だったが、中に入れば白を基調とした造りになっていた。
バーの床でぬるま湯を浴びせられ、簡単に清拭された体はこざっぱりとしていたが、肉体に燻る熱は渦巻いたまま開放の兆しもない。移動中も、白い部屋に入っても、大巳の頭の中は一つの欲求に満たされている。
この熱をどうにかしたい。吐き出したい。吐き出して、もっともっと新しい熱を蓄えたい。
そんな意識に支配された大巳に行動は早かった。民家に入るなり、三十路の男の前に跪き、ズボンの上からまた膨らんでいない男の股間に顔を埋めて熱い呼吸を押し付ける。
「……ん、ぁ、はぁ……お、お願い……、ちんぽ、ちんぽ……恵んで、ください……ッ」
快楽を得ること、逞しい牡に支配されること、肉体を蹂躙されて悦びを得ること――大巳の肉体も精神も今はそれしか考えられくなっている。
爬虫類のような冷ややかな瞳で見下ろした男は、大巳の白い髪を掴んで股間から引き離す。欲情に塗れた大巳の顔を眺めて男は笑った。
口角が裂けたかのような笑い方だった。
「いいだろう。恵んでやる。まずは自分がただの穴だとわかる格好をしなくてはな?」
笑った男が手にしたのは、アルビノの蛇の瞳に似た赤い色の荒縄だ。白い部屋の中に浮かぶ赤い色に視線を奪われた大巳は陶然と男が自分の体に縄を打つことを受け入れていた。
「……ン、ッ、ふ、ぅ……んッ……」
白い肌にみちりと赤い荒縄が食い込む。
後ろ手に縄を掛けられ、その場所を起点として胸を上下で挟むように胸を緊縛された大巳の唇から、甘い吐息と主に嬌声が漏れる。縄で感じる多少の痛みは快楽にすり替わってしまっている。肌が擦れ、肉はへこみ、骨は軋む……その一つ一つに爛れた熱が上がるばかり。
その後も蛇のように赤い縄が大巳に体に絡みつき、折り曲げて畳んだ膝をハムのように縛り上げてしまう。芸術的なまでに食い込んだ縄の隙間からは、若い肉が誘うようにはみ出るさまが淫らだった。
男が置物を運ぶように大巳をベッドに運ぶ。
折り曲げて伸ばすこともできなくなった左右の足を持ち上げてベッドヘッドに繋げれば、全身を赤い荒縄で縛られた大巳の股間が、最初からその形で作られたオナホールのように晒されてしまった。
「チンポに使われるだけの穴がヒクついて強請っているぞ」
言われなくても分かっていると大巳は思った。
もうずっと欲しくて欲しくてたまらないのだ。
快楽を知った場所を、固くて逞しい肉の凶器で存分に抉って欲しい、内臓が拉げて捩れるほど掻き回して欲しい、自分では届かない深い場所を遠慮なく突き上げて欲しい――脳に刻み込まれた、ただ、ただ、快楽を求めるだけの肉穴……それが大巳だ。
呼吸を乱し、涎をしとどに溢れさせながら媚びるように不自由な腰を揺する。そのたびに揺れる陰茎から溢れる先走りは、ぬめりながら牡としての機能を放棄した陰茎に伝い落ちてシミを作っていた。
それは白蛇の色だったかもしれないし、精液の色だったかもしれない。だが大巳にはどちらだろうが関係ないことだ。
白の世界に取り込まれた、その事実だけがそこにある。
今までの常識や良識、傲慢な態度や肥大化した矜持は過去の産物だ。そういったものがすべて白く塗り替えられて真新しい状態になる。
「もう帰るか? それとも変わるか?」
真っ白なキャンバスに、ぽつんと色を落とす三十路男の低い声。
何もにも染まる白の状態になった大巳は、いまさら過去の場所に帰ることを選択しない。
蛇が脱皮するように、古い皮を捨てて生まれ変わるだけだ。
選択した大巳が三十路の男と車で移動した行き先は、山間にある民家だった。
表向きは普通の民家だったが、中に入れば白を基調とした造りになっていた。
バーの床でぬるま湯を浴びせられ、簡単に清拭された体はこざっぱりとしていたが、肉体に燻る熱は渦巻いたまま開放の兆しもない。移動中も、白い部屋に入っても、大巳の頭の中は一つの欲求に満たされている。
この熱をどうにかしたい。吐き出したい。吐き出して、もっともっと新しい熱を蓄えたい。
そんな意識に支配された大巳に行動は早かった。民家に入るなり、三十路の男の前に跪き、ズボンの上からまた膨らんでいない男の股間に顔を埋めて熱い呼吸を押し付ける。
「……ん、ぁ、はぁ……お、お願い……、ちんぽ、ちんぽ……恵んで、ください……ッ」
快楽を得ること、逞しい牡に支配されること、肉体を蹂躙されて悦びを得ること――大巳の肉体も精神も今はそれしか考えられくなっている。
爬虫類のような冷ややかな瞳で見下ろした男は、大巳の白い髪を掴んで股間から引き離す。欲情に塗れた大巳の顔を眺めて男は笑った。
口角が裂けたかのような笑い方だった。
「いいだろう。恵んでやる。まずは自分がただの穴だとわかる格好をしなくてはな?」
笑った男が手にしたのは、アルビノの蛇の瞳に似た赤い色の荒縄だ。白い部屋の中に浮かぶ赤い色に視線を奪われた大巳は陶然と男が自分の体に縄を打つことを受け入れていた。
「……ン、ッ、ふ、ぅ……んッ……」
白い肌にみちりと赤い荒縄が食い込む。
後ろ手に縄を掛けられ、その場所を起点として胸を上下で挟むように胸を緊縛された大巳の唇から、甘い吐息と主に嬌声が漏れる。縄で感じる多少の痛みは快楽にすり替わってしまっている。肌が擦れ、肉はへこみ、骨は軋む……その一つ一つに爛れた熱が上がるばかり。
その後も蛇のように赤い縄が大巳に体に絡みつき、折り曲げて畳んだ膝をハムのように縛り上げてしまう。芸術的なまでに食い込んだ縄の隙間からは、若い肉が誘うようにはみ出るさまが淫らだった。
男が置物を運ぶように大巳をベッドに運ぶ。
折り曲げて伸ばすこともできなくなった左右の足を持ち上げてベッドヘッドに繋げれば、全身を赤い荒縄で縛られた大巳の股間が、最初からその形で作られたオナホールのように晒されてしまった。
「チンポに使われるだけの穴がヒクついて強請っているぞ」
言われなくても分かっていると大巳は思った。
もうずっと欲しくて欲しくてたまらないのだ。
快楽を知った場所を、固くて逞しい肉の凶器で存分に抉って欲しい、内臓が拉げて捩れるほど掻き回して欲しい、自分では届かない深い場所を遠慮なく突き上げて欲しい――脳に刻み込まれた、ただ、ただ、快楽を求めるだけの肉穴……それが大巳だ。
呼吸を乱し、涎をしとどに溢れさせながら媚びるように不自由な腰を揺する。そのたびに揺れる陰茎から溢れる先走りは、ぬめりながら牡としての機能を放棄した陰茎に伝い落ちてシミを作っていた。
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